大人はいつ、気づくのでしょうか。

楽しい夏休み・・・。
18歳までが「子ども時代」だとしたら、たった18回しかない大切な思い出の季節です。
その夏休みを、遠いところの病院で過ごした中学2年生の少年がいました。中学1年生の夏から始まったいじめが原因でPTSD(心的外傷後ストレス症候群)を発症し、子ども専門の病院に入院したのです。
一昨年、2013年7月のことです。その年の9月、いじめ防止対策推進法が施行されました。
ご両親は法律に則って、第三者調査機関の設置を求めましたが、学校側は「法が秋に施行され、教育委員会から方針が降りてきたら検討したい」と。
そしてその後、調査機関が設置されることはありませんでした。

PTSDの原因となったいじめが行われていた、2012年の夏。
それは、2011年10月、滋賀県大津市の中学2年生の少年がいじめのために自殺に追い込まれた事件で、学校や教育委員会の隠ぺい体質が世間から大きな批判を浴びていた時期です。
いじめ防止対策推進法の制定にまでこぎつけた大きな世論のうねりの中で、それでも子どもたちの世界では密かに、厳然と、いじめは行われていました。

被害生徒の親も、加害生徒の親も、なぜ気づかなかったのか・・・。
大津の事件に心を痛めて「わが子の学校は?」と心配していた親たちは何をしていたのか・・・。
私たちは泣きました。

大津事件の前年2010年10月、足立区で中学3年生の男子がいじめによって自殺しました。
品川区の区立小中一貫校でも2012年9月、いじめを受けていた7年生(中学1年生に相当)の男子が自殺しました。

いじめ自殺と認知されていなかったり、親が公表を望まないなど、報道されない「事件」の噂も度々あります。

7月5日、岩手県矢巾町でいじめのために自殺した中学2年の村松亮くん。
お父さんは「どうして気づけなかったのか、悔やんでも悔やみきれない」と泣いています。
校長は「落ち着いた学校という意識があり、過信や心の隙があった。命に係わる情報を教員が共有できなかった」と話しているそうです。
いじめ防止対策推進法で学校には必ずいじめ防止のための組織を置き、教員や関係者が情報を共有しなければならないと定められているのに。村松くんはあんなにもハッキリとSOSを発信していたのに。

子どもが亡くなってようやく、大人たちは気づくのでしょうか。

冒頭のPTSDを発症した事件について、その後の当該教育委員会の議事録には記述が見当たりません。いじめ事件の報告件数は何件で、その内容は軽いと書いてあります。まるであの事件はなかったかのようです。

法律ができても、法律に沿って行動しなければ、何度でも同じ事件が起きるでしょう。
すべての親たちに、もう後悔の涙を流さないために、できるところから「いじめ防止」に立ち上がることを呼びかけたいのです。
特に小中学校のPTAの皆さん、自校でいじめ防止対策推進法に定められた措置が行われているかどうか、きちんと監視しましょう!

私たちレインボーリボンは、「いじめ防止プログラム」「暴力防止教育」をすべての小中学校に導入することを求めています。