レインボーリボン メールマガジン第64号 民間が創る「仕組み」が、やがて「公共」になる

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■■  レインボーリボン メールマガジン 第64号
■■   民間が創る「仕組み」が、やがて「公共」になる

2019/7/31
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レインボーリボンの1ヵ月の活動報告と、代表・緒方の思いを伝えるメールマガジンです。

 

7月は新しいことを3つも始めてしまいました。

 

4日、「葛飾区子ども・若者計画策定記念 葛飾の子ども・若者支援を考える公開シンポジウム」を開催し、区内の3つの市民ネットワークが初めて共同で動き始めました。

葛飾区で最も伝統ある子ども支援団体「かつしか子育てネットワーク」と、フリースクールの運営など不登校の子ども支援に30年の実績がある東京シューレを中核とする「かつしか子ども・若者応援ネットワーク」、そして私たち、昨年度生まれたばかりの「かつしか子ども食堂・居場所づくりネットワーク」です。

 

シンポジウムは平日の夜、広報期間も非常に短かったにも関わらず、定員50人の会議室に入りきらない人が集まり、熱気あふれるものとなりました。

これを出発点として、区行政に実効ある子ども若者支援の施策を実現していかなくてはなりません。

8月にも引き続き作戦会議を重ね、区長に声を届けようと相談しています。

 

13日、「あおとこども食堂」では、こども食堂開催中に大地震が起きたという想定で、初めて防災訓練を行いました。

これは「かつしか子ども食堂・居場所づくりネットワーク」と「NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえ」共催イベントとして、葛飾在住の防災士で、むすびえの事務局を担っていらっしゃる葛西優香さんを講師に迎え、スタッフ事前研修も行うなど、かなり真面目に取り組みました。

 

当初、幼児や障がいのある子たちは避難訓練に参加しないだろうと思い、半分は遊びスペースを残しておいたのですが、大人たちの真剣さを感じ取ったのか、意外にも子どもたち全員が葛西さんのお話をしっかり聞き、1分間、頭と目を守る「シェイクアウト」ではちゃんと机の下にもぐり、屋外への避難、安否確認、その後の防災食調理と試食に積極的に、楽しみながら取り組んでくれました。

 

初めての防災訓練としては大成功だったと思います。

でも、これも新しいことを「やった」で終わりではなくて、「始めた」ことです。

こども食堂終了後の反省会で早くもスタッフから「定期的にやらないと忘れちゃうね」という声が出ていましたし、やり残したこともたくさんあります。

 

まず、会場の危険な箇所の点検と改善です。

出入口付近に横積みにされている会議机は、大地震がきたら遊びスペース側になだれ込み、怪我につながるし、出入口を塞いでしまうと、事前研修で葛西さんから真っ先に指摘されました。

机を集会室の奥に移動し、揺れても倒れないような縦置きにしたいと思いました。

が、我々は月に1回、こども食堂開催のために集会所を貸していただいている身。防災訓練当日に机を移動することは同意していただけましたが、「原状復帰」を条件とされてしまいました。

「この置き方では危険なんですよ。安全な置き方があるんですよ」と、今後もお話していきたいと思います。

 

実際に地震が起きたら、子どもは自宅に帰すのか、避難所に連れて行くのか、保護者との連絡方法は、などなど・・・

まだまだ詰め切れていない問題が山積みです。

 

3つめの今月始めた「新しいこと」は、「夏休みお弁当プロジェクト」です。

 

かつしか子ども食堂・居場所づくりネットワークが赤い羽根募金の東京都共同募金会から推薦を受け、アサヒ飲料「こどもたちの明るい未来づくり基金」助成金を受けられることになりました。

そこでネットワークの子ども食堂11カ所から、学校給食のない夏休み期間、栄養のある食事を1日に1食は届けたい8世帯20人をピックアップし、土日祝日を除く毎日、お弁当を届け始めました。

 

区内の2つのお弁当屋さんにご協力いただいていますが、1つは障がい者の就労継続支援事業としてお弁当の製造販売をしている「ぽむの樹」です。

https://pomm2.jimdo.com/

 

雨の日も、この数日の暑~い日も、保冷バックで衛生的にお弁当を配送してくれているのは、自らの就労準備としてこのプロジェクトの配送ボランティアに登録してくれた方々。

彼ら彼女らをしっかりサポートしてくれるのは、ネットワーク運営委員でもある社会福祉法人新栄会の方々です。

http://www.shineikai.or.jp/

 

夏休みの始まりから今日で1週間半。

すべてが初めての取り組みで、まだまだヒヤヒヤドキドキの毎日ですが、とにかく無事故でプロジェクト完遂まで頑張ろうと思っています。

 

そんな日々の中、こども食堂「先進県」の滋賀県で県の助成金制度が廃止されたことを新聞記事で知りました。

滋賀県は子どもの貧困問題に取り組む有名な専門家が長年活動を続けていたり、社会福祉協議会が積極的に子ども食堂を開設運営している地域で、私にとっては羨望の的でした。

ところが、知事は企業など民間からの寄付やいろいろな協力を得る態勢が理想だとして、昨年度末、こども食堂助成制度を廃止したそうです。

同じ記事の中で、こども食堂支援団体の主宰者も「自治体の補助金に永続性はない。企業からの寄付集めを支援するコーディネーターを置くなどの支援策も検討すべき」と発言していました。

 

正直、がっかりです。

私はまったく逆だと思います。

行政が今の枠組みの中ではすぐには取り組めないけれど、世の中で必要なことを、私たち民間がやり始めているのです。

学校給食がない日はお菓子で空腹をしのいでいたり、心に寂しさを募らせている子どもが現実にいるということに気づいたから、私たちはお弁当を届けるのです。こども食堂を開催するのです。

この取り組みを、「仕組み」にまですることが目標です。

 

ほとんど「永続的」と言える補助金を得ている伝統的な地域の組織、町会や子ども会なども、最初は住民の助け合いから始まった会合や行事が、やがて行政の枠組みの中で機能し、今の世の中の「仕組み」となったのだと思います。

その伝統的な「仕組み」にも経年劣化があり、こども食堂のような新しい取り組みに活路を見出そうという動きもあります。

 

大げさですが、私たちは社会の「仕組み」づくりに参画している民主主義の担い手だという誇りを胸に、とりあえず明日もお弁当を無事に届けることに専念します。

 

(代表・緒方美穂子)

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