レインボーリボン メールマガジン 第70号「とにかく早くやろう。無謀な計画だと恥じることはない。」

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■■  レインボーリボン メールマガジン 第70号
■■   「とにかく早くやろう。無謀な計画だと恥じることはない。」
  2020/1/31
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毎月月末、レインボーリボンの活動報告と代表・緒方の思いをお届けするメールマガジンです。

2020という数字の区切りの良い年が明け、オリンピック・パラリンピックが近づいてきました。国内外の政治的変動、気候危機、災害などが連日報じられ、身のまわりでも子どもたちの受験、卒業や進級の時期が迫ってきて、なんとなくソワソワと落ち着かない今日この頃です。

レインボーリボンは今年度、3つの子ども食堂運営費に葛飾区子ども・若者支援活動費補助金の交付を受けているので、3月末の事業報告に向けて食材費や消耗品などのレシート整理を始めました。
同じく「かつしか子ども食堂・居場所づくりネットワーク」も、東京ボランティア・市民活動支援センターの「ゆめ応援ファンド」から3年間継続の助成金を受けているため、1年目の今年の事業報告書と2年目の次年度申請書を作成中です。
私個人としても、昨年から葛飾区子ども・子育て会議委員、葛飾区子ども・若者支援地域協議会専門部会委員という役職を得て、改めて「子どもの貧困」について原点に帰って勉強しています。

来月早々には年に一度、全国の子ども食堂の仲間が一同に会する「こども食堂サミット」もありますし、その仕掛人である豊島子どもWAKUWAKUネットワークの栗林知絵子さんを葛飾区にお迎えする「かつしか区民大学講座」も予定しています(文末にご案内)。

こども食堂は子どもの貧困対策という面だけではない、地域に賑わいを取り戻す交流拠点にもなっている――と言われています。
確かにその通りです。
というか、毎日毎食無料で提供しているのでもなければ、むしろ「貧困対策」とは言えません。
しかし、私たちがなぜ子ども食堂を始めたのかと言えば、東京都大田区で「気まぐれ八百屋だんだん」を営んでいる近藤博子さんが「給食がない日はバナナだけで過ごしている子どもがいる」と知ったこと、それが原点です。
栗林知絵子さんは豊島区のプレーパークで出会った子どもが「家族団らんの夕食」を知らなかったことにショックを受けて、こども食堂開設に動き出しました。
「賑わい」は結果であって、目的ではありません。

しかし全国に3000カ所以上と広がり、行政から助成金も出るようになり、当初の私たちの思い、原点からは離れた様々な動きも見られるようになりました。
年度内にもう一回開催したら助成金オーバーしちゃうから、もう開催しないでおこうという子ども食堂もあるそうです。
一見して困難を背負っていると分かる子どもが来たとき、「他の子が来なくなってしまうから次は来ないで欲しい」と言うスタッフがいたという話も聞きました。
これはもう、子どものための子ども食堂ではなくなってしまいます。
自社製品を子ども食堂に使ってもらいたいというキャッチフレーズで、その商品価格を寄付として募るクラウドファンディングが計画されたこともありました。これは子ども食堂の名前を利用した自社製品の売り込みでしかありません。
他にも子ども食堂を応援するという名目でクラウドファンディングが盛んに行なわれていますが、そこで集められたお金の使い道に、私は疑問を感じています。

私が子ども食堂を始めた原点は、2015年8月、大阪府寝屋川市で中学1年生の女の子と男の子が、まさに居場所がなくて、一晩中街をさまよった挙句、見知らぬ男に殺されてしまった事件です。遺体となった子どもの胃袋はほとんど空だったという報道に、涙が止まりませんでした。誰か一人でも、「ご飯は食べたの?」「うちに泊まっていきなさい」と言ってくれる地域のおせっかいおばさん、おじさんがいれば、この子たちは命を奪われずに済んだのです。
地域に子どもたちの「いのちの居場所」が必要なんだと強く思いました。
レインボーリボンが主宰している子ども食堂は3カ所とも月に1回のイベントでしかありませんが、そこは子どもがお腹を空かしていないか心配するおじさん、おばさんと出会える場所であり、深刻な状態に陥る前にサポートにつながるきっかけとなる場です。

地域のおばさんが勝手にやっている「おせっかい」なので、「公平性の担保」とか「客観的な基準」はなくても動けます。
この子は満足な食事を摂れていないと思ったら、その子の家まで食糧を届けます。
あのお母さんは疲れきっているんだろうなと思ったら、子ども食堂に寄贈された物品を届けたり、愚痴を聞いたり、関係を築こうと努力します。
行政の介入がなければ解決できない事態だと思ったら、相談窓口に行きます。すべては子どもの最善の利益のためです。

先日、葛飾区子ども・若者支援地域協議会専門部会の初回会合がありました。
私は、我々民間だからこそできていることを紹介し、行政と連携して子どもを守る「仕組み」を作りたいと訴えました。
貧困問題を根本的に解決する力は私たちにはありません。しかし、地域で暮らしている子どもに異変が起きたとき、いち早く気づいて行動を起こすことはできます。その行動を最も身近な地方行政が支えてくれて初めて、現実は好転します。

行政は頼もしい存在です。しかし、しっかりとした組織であるからこそ、動きは遅いです。

先月のメールマガジンで書かせていただきましたが、私はこの活動を続ける中で、12月4日にアフガニスタンで銃撃され亡くなった中村哲医師の言葉に、いつも勇気づけられてきました。
ペシャワール会のDVD『アフガニスタン干ばつの大地に用水路を拓く』の中で、医師である中村先生が専門外の治水事業に乗り出そうとした時、アフガニスタンの青年に語りかける場面があります。
「完ぺきな用水路を作ろうとすれば5年、7年かかるが、重要なのは早く水を引いて難民たちを故郷に戻すことだ。とにかく早くやろう。無謀な計画だと恥じることはない。私たちは必ずやり遂げられるはずだ」。

とにかく早くやろう。無謀な計画だと恥じることはない。
新しい事業計画を立てるとき、あるいは行政に対して改革を訴えるとき、心の中でこの言葉をかみしめています。

来年度は「かつしか子ども食堂・居場所づくりネットワーク」として、皆さんから寄付していただく食料を、困難を抱える家庭に配送する仕組みを作る計画を立てています。
(代表・緒方美穂子)
▼かつしか区民大学講座
第1回「いのちの居場所こども食堂」
栗林知絵子さん(NPO法人豊島子どもWAKUWAKUネットワーク理事長)と葛飾区の子ども食堂実践者によるトークセッション
2月16日(日)午後1時30分から4時まで
会場 金町地区センター
第2回「地域交流拠点こども食堂」
湯浅誠さん(社会活動家、東京大学特任教授、NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえ理事長)による講演
3月28日(土)午後1時30分から3時30分まで
会場 亀有地区センター
申込 葛飾区教育委員会生涯学習課 区民大学担当係
http://www.city.katsushika.lg.jp/event/1000106/1022342.html
申込締切 2月6日(木)

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