レインボーリボン メールマガジン 第77号 明日の準備して…

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■■  レインボーリボン メールマガジン 第77号
■■   明日の準備して…
  2020/8/31
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毎月月末、レインボーリボンの活動報告と代表・緒方の思いをお届けするメールマガジンです。

今年は2週間ちょっとの短い夏休み、昨年に引き続き「かつしか子ども食堂・居場所づくりネットワーク」として「夏休みお弁当プロジェクト」に取り組みました。
今年も東京都共同募金会のご推薦によるアサヒ飲料様からの助成金、そして、日本善意財団様からの助成金も新たにいただけることになりました。
まだ最終集計できていませんが、ネットワーク合計で1,000食以上のお弁当を届けることができたと思います。

昨年はボランティアの自転車部隊が炎天下、1軒1軒お弁当を届けたのですが、今年はコロナ危機下の「緊急お弁当プロジェクト」のやり方を踏襲し、お店と家庭との直接のやりとりとしました。酷暑だったせいか、配達してくれるお店を利用した家庭が多かったようです。
600円相当の商品を500円でプロジェクトに提供してくれた協力店は3月から6月の「緊急お弁当プロジェクト」の際は3店舗だったのですが、今回、5店舗に増えました。配達しながら子どもの様子を気遣うなど、営利を超えて、子どもを見守る地域の目になってくださっていて、感染拡大防止のために採り入れたこの直接方式の思わぬ成果となっています。

ただ、やはりこのやり方では我々ボランティアが子どもと顏を合わせることがないので、特に虐待が心配な場合は忸怩たる思いが残ります。
夏休み明け、ある学校で登校してこなかった子について我々のスタッフが「お弁当は取りに行っていたようですよ」と告げると、先生が「生存確認できた」と答えたそうです。
そんな家庭の子どもにはやはり顔を見て声をかけてあげたい、気持ちを汲み取ってあげたいという思いが募ります。

実は今月、不動産会社を回って、お弁当の製造・配達の許可を保健所に申請できるような物件を探し始めました。
コロナ危機が収束するまでは「お弁当プロジェクト」を中心に、しかし少しずつでも親子が憩える「居場所」を取り戻したいと考えています。

今も月に2回、規模を縮小し、会食なしのお弁当持ち帰り子ども食堂を実施しています。
コロナ危機以前から繋がりのある子どもたちの最低限の「居場所」を守ろうという苦肉の策ですが、密を避けるため、オープンに宣伝して誰にでも来てもらうというわけにはいかず、気になる家庭すべてには声をかけられずにいます。

子どもの食事の用意もしないで長時間外出してしまうような親は、やはり地域に「居場所」がない人です。
親自身が子ども時代から家庭、学校、地域に居場所を見いだせない環境で育って来た場合が少なくないと言います。
そんな人も「ここに居ていいんだ」と思えるような「親カフェ」をやってみたい…と、夢が膨らんできました。

なかなか条件に合う物件に出会えない中、しかし半分は、本当に良い物件が見つかってしまったらどうする…と、「怖れ」も感じています。
資金調達の確たるメドも立たないまま、本当に飲食店を開業するのか?そこで働く人を雇えるのか?
ボランティア活動の延長とは次元が違う話で、一度始めてしまったら責任の重さは今までと比べ物にならないと思います。

そんな大きなプレッシャーを抱えているくせに、というか、だからこそなのか、年間予算規模が100万円ちょっとの小さな団体であるレインボーリボンが、このところ少々高額の買い物をしています。
まず、東京ボランティア・市民活動センターの助成金を得て、双方向会議システムZoomの有料アカウントを取得しました。同時に電話FAX機も最新型のものとし、そして、まだ決まっていない助成金を充てに、法人のスマートフォンも購入しました。
秋冬にやってくるコロナウィルス感染拡大第3波に備え、親が感染してしまった場合などに子どもが食事を摂れない事態が起きないように、「はらぺこレスキュープロジェクト」を展開するための道具です。

先月、1万円という、レインボーリボンにとっては高額の研修費を払ってNPOサポートセンターの「Salesforce NPO実践1DAY速習コース初級編」をオンライン受講しました。
「Salesforce」とはこのメルマガを配信しているツールです。Salesforce社の社会貢献の一環として無償で提供していただき、無料の講習会にもたびたび参加させていただいているというのに、私の勉強不足で、会員管理システムなど主要な機能をまったく使えていないのです。
せっかくのシステムを使わなければ、もうそろそろ事務作業も限界に近付いている気がします。

今月末には、これは安価でしたが、NPOサポートセンターの「NPOによるICTサービス活用自慢大会」をやはりオンライン視聴しました。
「自慢大会」の大賞に輝いた「K2インターナショナルグループ」は横浜市を中心に、生きづらさを抱えた若者への自立就労支援事業を展開している団体です。私もこの団体のプレゼンに最も魅力を感じました。
若者支援事業の成果を何で表すのかというと、一般的には若年無業者の「就職率」とか、セミナーの参加者数、時間数という数字になります。しかし、現場で働いているスタッフにとっては「彼は最近、笑顔が増えた」「親子の会話ができるようになった」「食事を摂るようになった」「健康になった」というような、正に肌で感じる「成果」「活動の価値」があります。
それは私たちが子ども食堂でも実感することです。
しかし、活動の成果として「見える化」できるものだとは考えたこともありませんでした。
「それが見えるようになりました!Salesforceで!」というプレゼンの言葉に、衝撃を受けました。
つまり、どんなデータを収集するのか、何を数値化するために分析するのか、といったツールの「使い方」を工夫したのです。
私はICT(Information and Communication Technology)を、単純に、会員管理や寄付金管理の道具としか考えていなかったのですが、この道具は使い方によって、その組織のミッションをより明確にしたり、社会問題を解決する力になるものなのだと、目を見開かされる思いでした。

並行して視聴した動画で、やはりSalesforceで組織改革したという団体の方が言っていた「NPOこそ成長して社会課題を解決するべき(成功するべき)組織」という言葉も印象に残りました。
私たちには解決するべき課題(ミッション)がある。課題解決に向かって成長していくことは、ミッションそのものなのだ…と。

特に感染症対策のために人と対面することが難しい時代、「子どもたちにICT教育を」と主張し、成長することは「子どもの権利」だと世間に向かって唱えている我が団体こそ、ICT導入に努力して、自分自身が成長し、そして「子どもの権利」が実現する社会をつくらなくては。
来月もICT活用のための勉強と、地域の「居場所」になる物件探しに励みます。
                                             (代表・緒方美穂子)

▼かつしか区民大学講座「子ども虐待のリアル 心を痛める私たちにできること」
子どもが泣いているだけで通報するべき?どこに通報すれば良いの?子育て中の人にはどんな声がけが必要?私たちにできることを考えます。
http://www.city.katsushika.lg.jp/event/1000106/1024167.html
9月27日(日)午後2時から4時
新小岩地区センターhttp://www.city.katsushika.lg.jp/institution/1000093/1006724/1006746.html
定員50人(多数抽選)
講師:中島淳さん(スクールソーシャルワーカー)、有園孝延さん(葛飾区子ども家庭支援課)
かつしか子ども若者応援ネットワーク・葛飾区教育委員会共催
申込締切:9月17日(木)

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