レインボーリボン メールマガジン 第92号 私がヒーローなんて、やっぱりおかしい!

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■■  レインボーリボン メールマガジン 第92号
■■   私がヒーローなんて、やっぱりおかしい!
  2021/11/30
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NPO法人レインボーリボンの1か月の活動報告と、代表、緒方の思いをお伝えするメールマガジンです。

11月は終わり頃になって急に冬の寒さがやってきました。
でもコロナの感染状況が落ち着いていて、フードパントリー、こども食堂は計画どおり開催できているので、心はポカポカです。

Aちゃんが初めてレインボーリボンの事務所に来たのは今年の3月、お母さんが押すベビーカーに乗っていました。
前の週に「フードパントリーの土曜日にはどうしても行けないのですが、食料をいただけませんか」というお母さんの連絡を受けて、私は翌週の月曜日、パントリーが終わったばかりのガランとした事務所で一人で待っていました。
当時はまだ利用者の経済状況など、詳しい事情の聞き取りはしていない時期で、お米2キロとパスタ1袋、レトルト食品何点かをお渡ししただけなのですが、そのお母さんは「こんなにいただけるんですか」と、とても喜んでくださいました。Aちゃんのためのお菓子やおもちゃなどは何もなかったのですが、Aちゃんにとってはお母さんの笑顔が一番うれしかったのだと思います。帰っていくとき、ベビーカーのAちゃんが「よかったね!よかったね!」と言っていたのを覚えています。

それから少しずつ困窮の実態をお聞きするようになり、当時はAちゃんに食べさせるため自分は絶食状態で、激ヤセしてしまっていたということも知りました。

そのAちゃんが最近、ひらがなを書けるようになったと、お手紙を持ってきてくれました。
「おがたさん 〇〇(自分の名前)」と書いてあって、前回お土産に渡したお花の絵、切手や郵便番号らしき絵も描いてくれています。
その次の回には、「〇〇(自分の名前)が見つけた」と、大きな綺麗なイチョウの落ち葉をひとしきりみんなに自慢していたのに、「じゃあね、バイバイ」と手を振ると、大事そうに両手で持っていたその葉を、プロポーズの時のような仕草で私に捧げてくれるではありませんか。
「え~、くれるの?ありがとう」とびっくりしたところ、お母さんが「家でも、おがたさん、おがたさんって言ってます」と教えてくれました。
ボランティアの皆さんの奮闘で成り立っている活動なのに、私一人がAちゃんのヒーローになってしまって申し訳ないのですが、きっと3月のファーストコンタクト以来、お母さんを笑顔にしてくれるレインボーリボンの象徴が「おがたさん」になったんだろうと、「役得、役得」と勝手に納得しています。

Bくんのお母さんは昨年のコロナ禍以来、早い段階からレインボーリボンのフードパントリーに繋がっています。コロナの影響で様々な変化を経験しているご家庭で、Bくんもきっと大きなストレスを抱えながら、多感な思春期を過ごしています。
照れ屋のBくん。春には、かつしか子ども食堂・居場所づくりネットワークの「春休みごはんプロジェクト」にお礼をしたいと鉢植えの花を買ったのに、自分では渡せなくてお母さんが持ってきてくれました。
そんなBくんが「あおとこども食堂」にボランティア参加してくれました。
小学生女子が多い遊びコーナーで大丈夫だったかな~と心配しましたが、後で写真を見てみると、Bくんも満面の笑みで写っていて安心しました。

こども食堂開催中はいろいろと忙しく、参加者と一緒に楽しむ余裕はあまりないのですが、後で写真を見ると「わ~、こんなに笑っている!」と感激することがよくあります。
特にファーストコンタクトでは表情がこわばっている親御さんが多いので、回を重ねるごとに増えるその人の笑顔は本当に宝物で、この活動をやっていて良かったと心から思える何よりの「ご褒美」です。

感染状況が落ち着いているとこうした「ご褒美」を受け取る機会もたくさんあって、活動が順調に軌道に乗っていることに満足してしまいそうになります。
が、私たち民間団体の「困窮者支援」が軌道に乗って、うまく回っているという事態に、違和感というか、「何かおかしい」という気持ちはずっとあります。

コロナ前、こども食堂に来てくれる子どもたち、親御さんたちに「あなたは困窮していますか?」なんて聞いたことはありません。
「大変失礼ですが、月収どのくらいですか?」なんて聞くようになったのは、フードパントリーの利用者の中に、困窮しているわけではなく家計の節約のために来ている人がいることが分かり、そのことが本当に困窮している利用者を深く傷つけていたからです。フードパントリーはこども食堂とは違って、多様な人が一緒に楽しむ「居場所」ではなく、困窮している人を助ける「支援の場」として必要とされていました。

昨年来、毎回来ていた人が来なくなったり、新たに申し込みがあったりで、フードパントリーの利用者は入れ替わりつつ、30世帯前後で推移しています。
必要な支援なのに、コロナの脅威が突然降ってわいた当時は行政がフリーズしてしまい、まったく頼りにならなかったので、私たち民間が頑張りました。
もう選挙も終わり、政治と行政の出番でしょう。

「こども庁」創設に向けた有識者会議が29日、報告書を公表しました。
岸田首相は「子ども目線に立ち、縦割り行政を排した子ども政策の理念を目指す」そうですが、文科省をこども庁の外に置いたまま、本当に縦割り行政を排すことができるのでしょうか。
子どもに食べさせるために自分の健康を犠牲にしているお母さんたちの労働条件、家庭環境を問題にすることもなく、子ども目線に立つことなんてできるのでしょうか。

一時しのぎではない、未来を保証するためのセイフティネットは政治・行政にしか作れないと思うからこそ、私たちがヒーローにならざるを得ないような今の状況は「やっぱり、おかしい!」と声をあげていかなければなりません。
(代表・緒方美穂子)

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【ご参考】さとふる「ワンストップ特例制度」入門ガイド
https://www.satofull.jp/static/onestop.php

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