レインボーリボン メールマガジン 第61号 「『当たり前』の安心感を、70カ所に増やしたい」

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■■  レインボーリボン メールマガジン 第61号
■■   「当たり前」の安心感を、70カ所に増やしたい

2019/4/30
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何につけても「平成最後の・・・」1日ですね。

新しい時代、新しい環境、新しい生活。春は期待と不安が交差する、ストレスが大きい季節でもあります。

小学校新1年生の下校見守りボランティアは、小さな手と手をつないで学校から自宅へ、あるいは学童保育へ、10分足らずの道のりを歩くだけなのに、お母さんがたまたまゴミ出しに出ていてオートロックのマンションに入れないとか、学童に行く日だったのに間違えて自宅に帰ったら誰もいなかったとか、大泣きする子ども続出の、ドラマの連続です。

昨年も、そんな大泣きしていたある1年生を助けてあげた経験があるのですが、その子が今年は2年生になって、入学式で新入生歓迎の演奏を披露していました。

「あの子も成長して・・・」と目を細めたのですが、どうも様子がおかしい。具合が悪いのを我慢しているのでは・・・。ヒヤヒヤしましたが、何とか無事に演奏を終え、ステージから降りていく後ろ姿を見送りました。後から分かったのは、その日の朝、ご両親がケンカしたらしいということでした。

 

生まれてから6年、7年。人生の出発点にいる子どもにとって、学校から帰っていく場所、自分を育ててくれる人、そんな生活の基盤が揺るぎなく安定しているという「当たり前」の安心感がどんなに大切なものか、毎年この時期には思い至ります。

 

4月23日には文京区PTA広報研修「こうすればもっとよくなる!みんなに読まれるPTA広報紙の作り方」の講師を務めさせていただきました。

レインボーリボンのPTA研修は必ず最初に「PTAのミッション」を問うところから始めます。

PTAはもちろん「子どもの幸せ」のためにあります。では、「子どもの幸せ」とは?

究極の「幸せ」は自分の能力や可能性を最大限に発揮できる「成長欲求」の充足だと思います。でも、その成長の道のりを幸せに歩いていくためには、衣食住が保障されていて(生存の欲求)、安定した生活が当たり前で(安全の欲求)、社会に居場所があり(所属の欲求)、自分は大切な存在だと信じられる(承認の欲求)、大人からのケアや励まし、そのままの存在を受け容れる「包摂」が必要なのです。

 

こども食堂を葛飾区で始めて3年が経ち、子どもたちがようやく私を信頼してくれて、「朝から何も食べてない」とか、「家に(父親ではない)おじさんがいる」といった、極めて深刻なプライバシーを打ち明けてくれるようになりました。

打ち明けてくれるまでには様々な経緯があり、子どもは自分の親が世間から批判されそうなことは、黙っていたり、ごまかしたり、慎重に隠すものだということも学びました。

 

深刻な事態は行政の窓口に連絡しますが、すぐに解決できない問題はとても多いです。

私たちに何ができるのか、いつも問い続けています。

行政の専門官に言われることは、「無理のない範囲で、地域で温かく見守ってほしい」ということです。確かに、それしかできることはありません。

 

レインボーリボンは法人化してから5年目の春を迎えました。

設立の趣旨は「多文化共生のPTAを作ろう」。PTAで孤立している外国人のお母さんたちと、もっと心を開いて助け合おうというものでした。

保護者会でポツンと一人でいる人の隣に座って、「いいお天気ですね」と話しかけてみれば、清々しい気分になれて、自分に誇りが持てて、学校に行くのが楽しくなった、そんな経験が出発点です。

何か特別な知識やスキルがあるわけではない、同じ学校や地域で子育てに悩みながら生活している普通の親として、心を開いて助け合おう。支援するとか、指導する、という立ち位置ではありません。

 

4月12日、飯田橋の東京ボランティア・市民活動支援センターで行われた「ゆめ応援ファンド」助成金贈呈式に、かつしか子ども食堂・居場所づくりネットワークの代表として出席しました。

助成金申請の審査はかなり狭き門だったそうです。そこを通してもらった我がネットワークの3年計画――葛飾区のこども食堂・子どもの居場所を倍増、20カ所を目指す、これは必ず実現しなくてはとの思いを新たにしました。

3年計画終了後は、さらに増やし、70カ所を目指します。

私一人、レインボーリボン一団体では、力が及ぼないことがほとんどですが、一人の子どもを見守る一人の大人、ひとつの居場所がどんどん増えて、各小中学校ごとに必ず一つは居場所がある地域になれば、幸せな成長の過程を歩いていけないような、取り残される子どもがいなくなると思います。

 

葛飾区では早い時期にこども食堂を始めた団体として、ネットワークを引っ張っていく役割を担っていますが、やはり、上から指導する立場では決してないことを肝に銘じ、自分とは違う他者に習い、助けてもらいながら、共に生きる、レインボーリボンの原点を見失わないように気をつけていきたいとも思っています。

(代表・緒方美穂子)

▼葛飾区社会福祉協議会講座 始めてみよう子ども食堂(初級編)

http://www.katsushika-shakyo.com/files/2915/5597/8599/186.pdf

日時:6月30日(日)13:30~15:30

場所:ウェルピアかつしか

講師:レインボーリボン緒方、認定NPO法人パルシック大坂智美さん

申込み・問合せ:電話03-5698-2511、FAX03-5698-2513、お問い合わせコーナー

http://www.katsushika-shakyo.com/other/contact/

6月28日(金)まで。

 

▼レインボーリボンの「いじめ防止教室」パンフレットを作成しました。

http://rainbow-ribbon-net.org/blog/ijimebousipannhu/

この教室の内容を紹介し、将来、私たちと一緒に「いじめ防止教室」のファシリテーターを担ってくれる人を募集するため、ガイダンスを開催します。

日時:①7月7日(日)13:00~15:00 ②7月9日(火)10:00~12:00(①②とも同じ内容です)

場所:株式会社テクネス内会議室(東京都台東区東上野5-1-8 上野富士ビル8階)

最寄り駅:JR上野駅浅草口徒歩7分、日比谷線上野駅1番徒歩5分、銀座線稲荷町駅徒歩1分

参加無料、レインボーリボンのHPお問い合わせコーナーよりお申込みください。

http://rainbow-ribbon-net.org/blog/ijimebousi-guide/

 

▼重江良樹監督動画(11分)「こども食堂のカタチ」

https://creators.yahoo.co.jp/shigeeyoshiki/0200020063

 

▼湯浅誠さんヤフーニュース「孤立する人のいない“にぎわい”をつくるこども食堂とSDGs」

地域交流拠点と子どもの貧困対策の両面をもつこども食堂は、「にぎわいをつくりたい。そこからこぼれる子どもを減らしたい」という思いで成り立っている――という湯浅さんの鋭い現状分析。

https://news.yahoo.co.jp/byline/yuasamakoto/20190409-00121364/

 

▼レインボーリボンへのご寄付がホームページからもできるようになりました。

http://rainbow-ribbon-net.org/entry/

子どもに提供する1食分の食材費300円を1口として、12口3600円の寄付(こども食堂の1食オーナー)を募っています。

口座名義:特定非営利活動法人レインボーリボン

  • 郵便振替口座:00170-7-449974
  • りそな銀行 青戸支店(店番号470)普通預金1520535

ご寄付くださった方はお名前、連絡先を下記レインボーリボン宛てにお知らせください。

「レインボーリボンのこども食堂通信」へのご芳名記載の諾否もお知らせいただけますと幸いです。