レインボーリボン メールマガジン 第95号 世界平和と子どもの権利実現のために

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■■  レインボーリボン メールマガジン 第95号
■■   世界平和と子どもの権利実現のために
  2022/2/28
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毎月末、NPO法人レインボーリボンの活動報告と、代表、緒方の思いをお伝えするメールマガジンです。

ついにウクライナで戦争が始まってしまいました。
テレビで恐怖に震える子どもの顔を見ると、涙が出てきてしまいます。
今までアフガニスタンでも、シリアでも、そして、あまり報道はされませんが北朝鮮やアフリカの国々、クーデターが起きたミャンマーでも、子どもが犠牲になる姿に涙し、無力感にさいなまれてきました。

今は全世界がウクライナを注視していて、ロシア国内でもプーチン大統領を非難する声が高まっていることが救いです。
SNSの発達が功を奏して、全世界の若者たちが自分事として「戦争反対」の声を上げています。

圧倒的な暴力の前に、私たち市民は一度は無力感に打ちひしがれても、そのまま黙ってはいません。
日本人も中国をはじめアジア各国を侵略した歴史を反省し、二度と繰り返さないための仕組みを考え、平和を構築するために努力し続けてきた歴史があります。

私は昨年11月、オンラインで行われた、早稲田大学韓国学研究所、ソウル大学日本研究所、韓国国際交流財団の共同主催による「日韓市民100人未来対話」に参加させていただいたのですが、その「対話録」が今月、自宅に届き、このところ毎夜、就寝前にパラパラと読むのを楽しみにしています。
国交正常化以来最悪と言われる日韓関係ですが、相手国を大好きだと思っている市民は両国にたくさんいるのです。

私はオンライン対話で戦争中の従軍慰安婦問題に関連した発言をしたのですが、それは、このメルマガのような媒体ではなかなか言えなかったことです。
今回、ウクライナで起きている戦争を目の当たりにして、過去に目を背け過ちを繰り返すことは許されないと、勇気をもって言おうと思いました。

いま、ご存命なのか知る由もない方のお名前をここに記して良いのか、躊躇もあります。
しかし、事実として私は1994年8月、韓国の「太平洋戦争犠牲者遺族会」で姜順愛(カン・スネ)さんの証言を聞きました。当時、私は新聞記者でした。
姜さんは「14歳のとき、看護婦の仕事だと騙されてサイパンに連れて行かれた。日本政府が従軍慰安婦は強制ではなく、お金をもらう商行為だったと言っていると聞いて、本当に驚いた。悔しい気持ちのままでは死ねない」と証言されました。
96年6月には、金相喜(キム・サンギ)さんと板垣正・自民党参議院議員(当時)との面会が報道に公開されて行われた際、板垣議員に「金銭的支払はなかったのか」と問われ、「一切ない。15歳で強制連行された。中国各地を転々として、爆撃にも遭った、自殺も図った。いま、私が生きてここにいるのに、どうして本当だ本当じゃないという話をしますか」と、小柄な金さんが肩を震わせる姿を見ました。
韓国は数え年ですから、14歳といえば日本では13歳、15歳といえば14歳の子どもです。

私が11月のオンライン対話で発言した内容は2点あって、1点目は「韓国の支援団体が設置したブロンズの少女像は、少女を騙して連れて行った歴史を忘れてはならないという象徴であり、共感をもっている。でも、日本で少女像に共感していると発言するのは怖い」ということ。
もう1点は、「現在、SNSを通して子どもが騙されて性を搾取される問題は世界中で起きている。子どもは私たちの未来。世界市民として子どもを守るために力を合わせたい」ということです。

レインボーリボンのような小さな団体が大風呂敷を広げていると思われるかもしれませんが、私たちが地域で取り組んでいる子ども食堂やフードパントリーも、誰もが人間として尊重される社会を作るための市民による平和運動の一つだと思っています。
こうした小さな営みが連なって平和な世界をつくるのだと信じています。

話題は変わりますが、2月は神奈川県大和市で7才の次男を窒息死させた容疑で母親が逮捕された事件の報道もありました。
長男、長女、三男も幼くして亡くなっているという、驚くべき事件です。

深刻な子ども虐待に対応するため、2016年に児童福祉法が改正され、東京23区でも児童相談所を設置できることになりました。
葛飾区でも来年、区のほぼ真ん中の広い土地に、4階建て、職員144名の児相を設置する計画です。
2月6日、「3つのネットワーク(かつしか子育てネットワーク、かつしか子ども若者応援ネットワーク、かつしか子ども食堂・居場所づくりネットワーク)」の勉強会に、忠宏彰・葛飾区児童相談所開設準備室長に来ていただきました。

公権力の行使も可能な児相の設置に加え、現行の子ども総合センターの機能も強化され、要保護児童対策地域協議会(要対協)の構成メンバーには民生・児童委員なども入り、その会議体「援助調整会議」では子ども食堂などの意見を聞いたり、見守りを依頼することもあるということです。
虐待通報の受付は24時間、365日。
児相に併設される一時保護所は全個室、お風呂も一人で入れる、学校への通学もケースによっては可能という、子どもの権利に配慮した構想です。

しかし、この構想が実現したら、実際にいま、ちゃんとご飯を食べさせてもらっていない子どもは行政に保護されるのかといえば、親子分離に親が同意するか、子どもがそれを望むか、といった壁を越えることは難しく、結局、神奈川県の今回のような事件を防ぐ決定打にはならないのです。

本当に子どもの権利を実現するためにはどうしたらよいのか、行政や法律にできなくても、我々、市民にできることはないのか…。

レインボーリボンはこの2年間、コロナ禍への緊急対応、応急措置に明け暮れてしまった感があります。気がついた時には最悪の事態に至っていたということがないように、4月からの新年度活動計画にとりかかりたいと思います。
(代表・緒方美穂子)

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