レインボーリボン メールマガジン 第108号 ALIVE 生きている
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■■ レインボーリボン メールマガジン 第108号
■■ ALIVE 生きている
2023/3/31
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毎月末、NPO法人レインボーリボンの活動報告と、代表、緒方の思いをお伝えするメールマガジンです。
大手企業の次世代リーダーたちが社会課題の解決策提案というミッションに3か月にわたって取り組む異業種混合の研修プログラム「ALIVE(アライブ)」。
https://www.facebook.com/alive0309
今年度第3期にあたる1月から3月までの研修では、レインボーリボンの「PTAイノベーション」など、非営利4団体が取り組んでいる4つの社会課題を題材に、25社83名の参加者が5~6人のチームに分かれ、課題解決のための「答申」を練り上げました。
答申が各4団体に採用された4チームの「代表プレゼン」がYouTube動画でご覧になれます。
レインボーリボンについては、日本を代表するような大企業の優秀な若手社員26人が、3か月間も、必死になって「日本全国にPTAイノベーションのビッグウェーブを起こすにはどうしたら良いのか」を考えてくれました。
採用させていただいたチームの提案が最も実現可能性を感じられ、ワクワク度が高かったのですが、他の4チームからの提案もどれも素晴らしかったです。
あるチームの提案について、私としては「上部団体との連携」に重きをおいているように感じられ、「市民活動はどんなに大きな団体とも、どんなに小さな団体、個人とも、水平の関係を大切にしている。上下関係を前提とした考え方は受け入れられない」という立場から不採用としたのですが、すべてのプログラム終了後、そのチームのメンバーとじっくり話す機会があり、その人は「上部団体」ではなく、「中間支援組織」を作る道を考えていたのだと分かりました。
中間支援組織とは、ボランティア団体を支援するボランティア団体とも言えるもので、全国の自治体に存在する「社会福祉協議会」が最も身近な中間支援組織です。NPO法人にとっては「日本NPOセンター」という中間支援組織があります。
こういう存在がPTAにもあったらいいな…という私の呟きを、真剣に追求してくれた提案だったのです。
また、どのチームも調査・分析力、情報収集力の高さは、凄まじいほどでした。
私が知らないうちに、まさにコロナ禍の「ピンチはチャンス」で、あるPTAではオンライン会議や連絡網アプリの導入などDX(デジタル化)を進め、あるPTAでは「なくても良い」仕事を廃止するなど、全国各地でPTA改革は進んでいたのです。
そうした先進事例を各チームが紹介してくれましたが、中でも衝撃を受けたのは、兵庫県伊丹市の前田裕子さんのブログです。
https://2coma-blog.com/
「伊丹小学校PTAにて、副会長(2020-2021年度)として『任意加入・役員くじ引きなし』の令和のPTAへ改革しました」とアッサリと言い切る自己紹介から衝撃的でしたが、その活動ブログがとてもリアルで、核心をついていて、「そうそう、私たちが目指している“イノベーション”って、こういうことなんだ」と言いたくなるストーリーが満載なのです。
例えば、PTAのDXが進むと、顔を合わせて会議をしたり、お喋りをしながら作業をする機会がなくなり、保護者同士のつながりが希薄になる――という懸念もありますが、前田さんが実際に取り組んだDXについてのブログによると、
「IT活用の今イチオシのツールはLineオープンチャット」として、運動会のお手伝いやベルマーク整理といった都度ボランティアをLineで募集した結果、あっという間に数10人の枠が埋まったそうです。
「やはり強制的な『委員』は要らないということ」
「PTAにおける『DX』というと、役員の負担軽減の印象が強いかと思われます。
けれども一番の収穫は、保護者が気軽に参加できるようになったことで、『主体的なボランティア』の概念が拡まったことでした」。
私が「そうそう、これ!」と言いたくなるのは、レインボーリボンが掲げる「PTAを誇り高いボランティアに」というビジョンそのものだからなのです。
https://2coma-blog.com/howto-pta-7/
ALIVE研修は終了しましたが、すべてのチームから12人の方が、これからもプロボノ(専門スキルを無償提供するボランティア)としてレインボーリボンに関わると手を挙げてくださっています。
3月31日の今日まで、会計処理やら、子ども食堂の会場確保やら、いろいろなことに追われてPTAイノベーション事業に取り掛かれていないのですが、明日からの新年度、レインボーリボンの原点であるこの課題に本腰を入れて取り組む体制を作りたいと思います。
2023年度はNPO法人としてのレインボーリボンの最終年度となるはずでしたが、前回の理事会で「10年でやめるって言ってたけど、どうする?」とみんなに聞いたところ、全員が「まだ大丈夫」「今は寿命、長いから」と、継続を支持してくれました。
やめるか、どうしようかと考えていたレインボーリボンが、ALIVEで生き返った気がします。
ALIVEは「生きている」という意味だそうです。
大切なことをたった一言で表しているネーミングだなと思いました。
今月は葛飾区で子ども支援に取り組んでいる3つのネットワークで主催した「ゆめパのじかん」映画上映会と、それに続く山田雅太さん(かわさき子どもの権利フォーラム顧問)講演会もありました。
「ゆめパのじかん」は、約1万㎡の広大な敷地にプレーパークや音楽スタジオ、創作スペース、学校に行っていない子どものフリースペースなどがある「川崎市子ども夢パーク」のドキュメンタリー映画です。
プレーパークで遊ぶ子どもたちの弾ける笑顔と、「学校」に押し潰されそうになりながらも「ゆめパ」で生き返る子どもたちの成長の軌跡が見事に描かれていて、映画終了後の感想アンケートは、どれも観た人の感動がビッシリと書き込まれていました。
映画の中で「ゆめパ」運営責任者の西野博之さん(認定NPO法人フリースペースたまりば理事長)は、自身が思春期から青春期にかけて「生きていてもいいけど、死んでもいいや」と思っていたと話します。
「生きている」ことがどんなに大切か、それは子どもが自分で感じ取らなければ、誰も教えてあげることができません。
ご講演いただいた山田雅太さんは、2000年、日本初の「子どもの権利条例」を作った川崎市で、当時の教育委員会の中で条例づくりを担当した先生です。
1998年からの2年間に200回を超える子ども、市民との対話を経て、「子どもはその権利が保障される中で、豊かな子ども時代を過ごすことができる。子どもの権利について学習することや実際に行使することなどを通して、子どもは、権利の認識を深め、権利を実現する力や責任などを身につけることができる。また、自分の権利が尊重され、保障されるためには、同じように他の者の権利が尊重され、保障されなければならず、それぞれの権利が相互に尊重されることが不可欠である」という条例を作りました。
山田さんは講演の中で、多摩川河川敷で中学1年の上村遼太さんが少年3人に殺害された事件にも触れ、「生きていれば21歳…上村遼太さんに『子どもの権利条例』は伝わっていたのか?」と、条例が制定されたらそれで終わりではなく、その理念を市民に浸透させていく不断の努力が必要だと強調されました。
子どもを被害者にも加害者にもしたくない。
子どもたちの最も身近な非営利活動団体、PTAこそ、「生きている」意味を親と子どもがかみしめることのできる絶好の「器」だと信じています。
(代表・緒方美穂子)
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