レインボーリボン メールマガジン 第139号 緒方家とこども食堂
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■■  レインボーリボン メールマガジン 第139号
■■   緒方家とこども食堂
  2025/10/31
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東京都葛飾区を拠点とするNPO法人レインボーリボンの活動報告、代表の緒方の思いをお伝えするメールマガジンを毎月、月末にお届けしています。
今回は少し趣向を変え、レインボーリボンという団体、特に「こども食堂」の活動について、緒方個人の視点から、家族の歴史と照らし合わせながら振り返ってみたいと思います。
「レインボーリボン」という名前は私の夫が考案しました。
20年も前の話、ひとり娘が小学校にあがり、私はPTA活動に夢中になっていました。
PTAで「子どもたちの幸せのために」という共通の目標に向かって頑張る仲間ができたこと、それに、孤立しがちな外国人のお母さんを手助けする「多文化共生」というミッションを自分に課したことで、社会での自分の居場所を見つけた頃です。
活動するグループの名前を「おせっかいおばさんの会」にしようか、ちょっとカッコ悪いか、と悩んでいたとき、夫が「多文化のレインボー、仲間とつながるリボン」というアイディアを授けてくれたのです。
娘が中学3年生になり、卒業に伴ってPTA仲間とお別れしなければならないと思うと辛くて、NPO法人を作りました。
こども食堂を始めたのは、NPO法人化してから2年後です。
レインボーリボンが初めてこども食堂を開催したのは、2016年4月30日の土曜日、葛飾区男女平等推進センター、通称ウィメンズパルの調理実習室でした。
ウィメンズパルでやるので「パルこども食堂」。
場所をどうする、お金はどうする、子どもたちはどうやって呼ぶ、保健所の許可は必要?…
どのくらい右往左往したか、もう覚えていませんが、なんとか初開催の日を迎え、初日からたくさんの子どもたち、親たちが来てくれて、大にぎわいの食事会を終え、家に帰ってきたとき、夫と娘はリビングで夕飯の最中でした。
「どうだった?」と訊かれて、「よかった」と一言答えたときに、たぶんそれまでの緊張の糸がプツリと切れたのでしょう、いい年をして子どものように泣きじゃくってしまったことを覚えています。
それから半年後には別の場所で「あおとこども食堂」を開催することになりました。
私の様子が大変そうだったのか、それとも楽しそうだったのか、この頃から夫も調理ボランティアとして関わるようになり、高校生の娘も子どもの遊び相手として参加するようになりました。
ある時、娘の高校の先生が見学にいらして、「お母さん、彼女が初めてボランティア参加した翌日、すごく興奮して、とにかくすごかったって報告してくれたんですよ」と教えてくれました。
何がすごかったのか、はっきりとした理由を聞いたことはありませんが、大学受験を控えてキリキリしていた娘の顔が、その頃、少し明るくなったような気はしました。
娘はこの頃まで「私は子どもはキライ」と言っていたのですが、社会人となった今、しっかり子どもに関わる仕事に就いています。こども食堂にも度々ボランティア参加してくれます。
夫は今や調理ボランティアの大黒柱的な存在となり、小さい子に「こども食堂のカレーが大好き」なんて言われてはデレデレしています。
レインボーリボンは「PTAを誇り高いボランティア活動に」という合言葉で始まった地元のママ友達によるささやかな活動から、こども食堂の活動を通して大きく成長してきました。
初期の頃は「こども食堂」というネームバリューがものを言いました。
食材を買うにしても会場を借りるにしてもお金が必要になり、「私たちに寄付してくれる人なんているのかな」と半信半疑、及び腰で始めた募金集めも、驚くほどの成功体験となりました。
こども食堂の活動を続けるうちに、自分たちの勉強不足、認識の甘さを痛感する事態にも何度か出くわし、勉強会を開いたり、仲間同士で話し合ったり、活動の中身としての成長もありました。
最大の試練だったなと思うのは、2017年12月から約2年間運営した「よみかき宿題こどもカフェ@なぎ」です。
様々な困難を背負った子どもを対象としたこども食堂でしたが、一人ひとりの「困難」の底の深さに触れながら、一人ひとりに何とか向き合い続けた活動でした。
2020年3月のコロナ危機によって閉所してしまったのですが、ここで繋がった子どもたちが、コロナ禍の最中も「フードパントリー」や「お弁当プロジェクト」を継続する原動力となりました。
繋がりを切ってしまったら命に関わる「困難」を抱える子どもたちの存在が、コロナ時代のレインボーリボンを強く、大きく成長させてくれました。
今は月に2回の「あおとこども食堂」と月に2回の「フードパントリー」、毎週土曜日を活動日として、団体理事でもある中核的なスタッフ2名、毎回献身的に働いてくれるボランティア・スタッフ数名、それに「あおとこども食堂」には常に10数名のボランティアが応募制で参加してくれます。
「パルこども食堂」と「こどもカフェ@なぎ」は閉所してしまったのですが、活動の量は増え、質的にも、あまり大きな失敗はしないところまで経験を積んできたかなと思います。
今月最後の「あおとこども食堂」は、実は緒方家の親戚の結婚式と重なってしまい、我々3人が最初から最後まで不在という、もしかしたら初めてのことでドキドキでしたが、ふたを開けてみれば、いつも通り、子どもたち、親たちの笑顔があり、多少のトラブルもベテランのボランティアさん中心に乗り越えることができて、「緒方さん、また休んでも大丈夫かも」とのことでした。
すごいな~、大げさに「後継者育成」とか頑張らなくても、10年近くやっていれば自然に「こども食堂」自体が自立して動き出すんだな、と思いました。
精魂込めて育ててきたレインボーリボンのこども食堂。そのこども食堂に私たち自身も育てられ、成長し続けています。
(代表・緒方美穂子)
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