レインボーリボン メールマガジン第63号 子どもを守る「私たち」は家庭や地域、どこにでも居る
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■■ レインボーリボン メールマガジン 第63号
■■ 子どもを守る「私たち」は家庭や地域、どこにでも居る
2019/6/30
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6月には児童虐待防止法が改正され、子どもへの体罰が禁止されました。
児童福祉法も改正され、児童相談所は虐待の疑いがある時に素早く子どもを保護する「介入」担当の職員と、親子関係の修復を支援する「支援」担当の職員と、役割が分離されることになりました。
しかし、深刻な虐待が起きていても介入担当の職員が親子分離の必要がないと判断し、支援担当も積極的に関わることがなければ、より危険な状態が放置されてしまうという事例もあるそうです。
実際に子どもが生きて成長している現場で、どう子どもを守るのか――行政だけに任せてはおけない、私たちみんなの課題です。
こども食堂を運営している児童福祉の専門家が「もしも夜中に怖いことが起きたら、その時は交番に逃げなさい」と子どもに教えているという話を前号のメルマガで書きましたが、その交番が襲われる事件がまた起きてしまいました。
交番も広くドアを開けておくことができなくなってしまいます。
実際、私も最近、交番で道を訊こうとしたところ、しっかりと鍵がかけられていて、ガラス越しにノックしてもなかなか出てきてくれなかったので少し驚きました。
これでは夜中に子どもが駆け込むなんて、できないかもしれないと思いました。
暴力がエスカレートしていく、そのシワ寄せが弱い立場の子どもに向かいます。
今月も札幌市で2歳の女の子が衰弱死し、母親と交際相手が傷害容疑で逮捕され、新潟県長岡市では市職員である母親が乳児を殺した疑いで逮捕されました。
また、千葉県野田市で虐待によって殺された栗原心愛ちゃんの母親に対する執行猶予付きの有罪判決がありました。
夫のDVによって支配されていたことが情状酌量されました。
暴力は最初は「しつけ」だとか、「いじり」「ふざけ合い」という仮面を被っていても、物理的な力や精神的な支配による人間関係である以上、どんどんエスカレートしていくものなのです。
今月は地元の中学校で「いじめ防止教室」を実施させていただきました。
被害者、加害者、傍観者という3者で作られる「暴力の輪」。
輪っかが小さいうちに鎖を断ち切るんだよ。
「いやだ」「やめて」って、ちゃんと言える?
3週間にわたって、3時間の授業時間を使ういじめ防止教室を始めて4年目となりますが、いつにも増して生徒たちに熱く語ってしまいました。
今月はPTA研修も3カ所で実施させていただきました。
6月4日には新宿区で、8日には江東区で、PTA広報研修に、22日には川崎市中原区民館に呼んでいただき、PTA役員さんと共に「PTAのミッションとイノベーション」を考える研修を行いました。
川崎市は多文化共生の先進地、憧れの地です。
研修に先立ち、先月28日、「ひきこもり」の男性に小学生と保護者が殺された事件について、犠牲者のご冥福をお祈りしました。
川崎市は日本で初めて「子どもの権利条例」を作ったまちであり、奇しくも今月は、全国初、ヘイトスピーチへの罰金を盛り込んだ差別撤廃条例が話題になっていました。
そんな人権先進地で起きた悲惨な事件は、ともすると私たちの無力感を誘いますが、いま現実に子どもたちの幸せのためにPTAで動いている人たちを前に、「あきらめるわけにはいかない、頑張ろう」と、私自身、気力を振り絞りました。
PTA研修では「子どもたちにとって『今』はどんな時代?」と投げかけ、いじめの問題、虐待の問題、子どもの貧困問題などを提示します。
いじめ防止対策推進法成立後も続くいじめ自殺の波。
虐待通報は12万件を超え、殺される子どもは毎年100人程度。
相対的貧困の子どもは「7人に1人」と言われています。私たちこども食堂運営者は、「朝も昼も、何も食べていない」という子どものつぶやきに出会ったとき、現実の世界で起きている子どもの「受難」に大きなショックを受けています。
川崎市中原区のPTA研修で、中学校のPTA役員さんが作ったイノベーション計画が傑作でした。
「子どもと一緒に学校生活を体験してみよう」というのです。PTA活動として修学旅行もついていく、授業も一緒に受けると。
突飛なアイディアに思われるかもしれませんが、私は中学校でいじめ防止教室をやったばかりだったので、とても良い具体策だと思いました。
不登校の子どもの数は、子どもの受難を象徴するもう一つの数字です。
日本財団の調査で、「不登校」と「不登校傾向にある」中学生を合わせると44万人にのぼることがわかり、NHK特集で大きく取り上げられていました。
https://www.nippon-foundation.or.jp/who/news/information/2018/20181212-6917.html
この数は中学生の8人に1人が「学校が苦しい」と感じていることを示しています。
学校は「子どもの貧困対策のプラットフォームに」と期待されながら、現場の先生はOECD加盟国中、仕事時間は最も長く、スキル・アップのための時間は最も短いという状況で、これ以上、いじめ対応だとか不登校対応だとか、追い詰めないでほしいというのが本音ではないでしょうか。
だったら誰が子どもを守ってくれるのか・・・。
やっぱり親である「私たち」、地域で子どもを見守る「私たち」としか、答えようがないと思うのです。
川崎の事件で、「ひきこもり」に対する偏見が助長され、親が「ひきこもっている自分の子どもも事件を起こしてしまうのではないか」と不安に思い、実際に親が子を殺す事件も起きてしまいました。
「不登校」や「ひきこもり」が悪いのではありません。
学校や世の中に居場所を見つけられずに苦しんでいる子ども、若者、そのまま中高年になってしまった人たち。
親とか、先生とか、隣のおばちゃんとか、「私たち」は、「心配しているよ」「生きていてほしいよ」「あなたにも居場所はあるよ」というメッセージを送り続けましょう。
6月12日、子どもの貧困対策法の改正案が成立し、貧困改善に向けた計画づくりが市区町村の努力義務となりました。
葛飾区ではこの春、「葛飾子ども・若者計画」が策定されました。今まで見過ごされてきた子どもの貧困や若者のひきこもりなど、困難を抱えた子ども・若者を社会全体で包括的に支援するための足掛かりです。
この計画策定に尽力した葛飾区子ども・若者支援地域協議会会長の藤岡孝志・日本社会事業大学教授を講師にお迎えし、7月4日にシンポジウムを開催します。
葛飾区で最も伝統ある子ども支援団体「かつしか子育てネットワーク」が主催し、フリースクールの運営など不登校支援に30年の実績がある東京シューレを中核とする「かつしか子ども・若者応援ネットワーク」、そして我が「かつしか子ども食堂・居場所づくりネットワーク」も共催します。
区内の3つのネットワークが共催する初めての試みです。
かつしか子ども食堂ネットワークは来月から、学校給食のない夏休み期間、必要な家庭にお弁当を毎日届ける「夏休みお弁当プロジェクト」に取り組みます。
このネットワークのホームページも今月、公開にこぎつけました。
https://katsushika-kodomoshokudou.net/
今後、お弁当配送ボランティアも募集しますので、どうかご注目ください。
(代表・緒方美穂子)
▼葛飾区子ども・若者計画策定記念 かつしか子育てネットワーク公開シンポジウム
「葛飾の子ども・若者支援を考える」
日時:7月4日(木)18:30~20:45
場所:ウィメンズパル3階 洋室A 参加無料
講師:藤岡孝志・日本社会事業大学教授
申込み:レインボーリボンのメールアドレスで受け付けております。rainbow_ribbon_mail@yahoo.co.jp
▼レインボーリボンの「いじめ防止教室」ガイダンス(保護者等大人向け説明会)
日時:①7月7日(日)13:00~15:00 ②7月9日(火)10:00~12:00(①②とも同じ内容です)
参加無料
場所:株式会社テクネス内会議室(東京都台東区東上野5-1-8 上野富士ビル8階)
最寄り駅:JR上野駅浅草口徒歩7分、日比谷線上野駅1番徒歩5分、銀座線稲荷町駅徒歩1分
申込み:レインボーリボンのメールアドレスで受け付けております。rainbow_ribbon_mail@yahoo.co.jp
▼レインボーリボンのこども食堂通信No7を発行しました。
http://rainbow-ribbon-net.org/news/tuusinn-no7/
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