レインボーリボン メールマガジン 第78号「困っている親」を助けたい

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■■  レインボーリボン メールマガジン 第78号
■■   「困っている親」を助けたい
  2020/9/30
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毎月月末、レインボーリボンの活動報告と代表・緒方の思いをお届けするメールマガジンです。

新型コロナウィルスの感染者数、死者数は日々発表されていますが、そのようなニュースにももう慣れてしまって、緊急事態宣言が出た半年前の緊張感は薄らいでいます。
その代わりというわけではありませんが、心の底に沈んでいる不安やストレスが不意に襲いかかってきたのかと思われる有名人の悲しい事件が相次いで報じられています。
お互いに無理をしないように、自分の心身の健康、安定を第一に大切にしようね、と仲間と連絡を取り合っている昨今です。

無理しない、無理しない、と自分に言い聞かせながら、それでも9月はやはり嵐のような忙しさでした。
まず先月のメルマガに書いた「物件探し」ですが、当てにしていた大きな助成金審査に落選し、カフェスペースの経営はあきらめました。
そこで、コロナ第3波に備えて、親が感染してしまった場合や学校が休校になった場合でも子どもが食事に困らないように、地域で見守り体制を作る「はらぺこレスキュープロジェクト」の事務局機能と食糧保管に焦点を合わせ直し、事務所兼倉庫のための物件を借りることにしました。
飲食店なのか、事務所なのか、迷走しながら7月から3カ月かけて不動産会社を回った結果、ようやく理事全員が納得できる物件を決めるところまで来ました。
来月からの賃借契約ですが、この手続きがまた大変…。
初期費用も思った以上に必要でした。最初は素人考えでワンルームマンションを借りるつもりでいたのですが、法人として借りられる物件はとても少なく、結局借りられた物件は水道もない状態だったため、内装工事や備品の見積もりを大急ぎで取り、その金額の助成金申請も大急ぎで…というドタバタが続行中です。

「はらぺこレスキュープロジェクト」そのものはどうなっているかというと、まだ準備万端とはとても言えない状態ですが、既に具体的な相談が寄せられていて、地域の民生児童委員さんに見守りのネットワーク作りをお願いしています。
その相談は、近隣住民の方がある子どもの様子を見かねてレインボーリボンに連絡をくれたところから始まりました。専門機関に相談を申し込み、相談者の方と、民生委員さんと一緒に、子どもを守る作戦会議を開きました。

作戦会議の日、プロジェクトのチラシ原案を持って行きました。
チラシ表面は「こんな時は助けを呼ぼう!」と書いて、ひとり親がコロナに感染してしまった場合や学校給食がなくなってしまったら栄養のある食事を確保できない家庭には無料でお弁当や食料を届けるプロジェクトであることを説明しました。裏面は、地域で孤立しがちな子育て家庭を見守り、支えるためのボランティア募集記事です。我ながら「子ども、子育て中の親を地域のみんなで支えよう」というプロジェクトの趣旨を説明できたと思っていたのですが、これを見た相談者の方が一言。
「これ、(当該の親御さんは)理解できないですよ」。
おそらく知的障がいがあるのではないかということでした。
なるほど!私はレインボーリボンの原点を忘れていました。

10数年前、レインボーリボンの「お節介活動」を始めた原点は、子どもを夜間ひとりで留守番させていたり、給食費の引き落とし口座を学校に連絡してこなかったり、「困った親」と言われている人たちが、生活のために懸命に働いているシングルマザーであったり、日本語が理解できない外国人であったり、実は「困っている親」だと知ったことでした。
PTA活動を通して仲良くなりましょう、助け合いましょうと、保護者同士の自己紹介カードを多言語で用意したり、障がいのある人とのコミュニケーションをとるためのコツを紹介したり、という活動を始めたのでした。

はらぺこレスキュープロジェクトのチラシは、当該の親御さんに渡すためのやさしい日本語バージョンと、グーグル翻訳を利用した多言語バージョンを作りました。

ところで先日、葛飾区社会福祉協議会主催の「福祉×教育研修」で、学校の先生方にこども食堂について知っていただく機会を得ました。
PTA時代にお世話になった懐かしい先生方も参加してくださり、恐縮しつつ、こども食堂の沿革とコロナ禍の一斉休校から始めたお弁当プロジェクトを紹介し、学校と地域、こども食堂が協働できるアイディアを話し合っていただきました。

「今まで知らなかったが貴重な活動だと思った」
「学校とこども食堂で子どもについての情報共有ができると良い」
といった前向きなご意見をいただき、市民活動の側からはなかなかアプローチが難しいと感じていた「学校」とのネットワーク作りも、案外、夢じゃないかもしれない…と希望を抱きました。

PTAの一保護者であるときは学校の関係者だったのに、NPO法人となると「外の民間団体」として部外者になってしまう、疎外感を味わったときのことを思い出します。
PTAのママ仲間でNPOを作った当時は、まさか事務所を持つような団体になろうとは思ってもいませんでした。
コロナ、一斉休校という災厄の中で、目の前の問題に必死に対応してきた結果、事務所を持つという決断に至りました。ただ、来年も家賃を払えるのかどうか、今は何の保証もありません。

無理しない、無理しない。家賃が払えなくなったら事務所は手放します。
「困っている親」を助けたいという気持ちだけ、私たちの原点、ミッションさえ忘れなければ、失うものは何もないと思っています。
(代表・緒方美穂子)

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