レインボーリボンのメールマガジン第50号「子どもを暴力の被害者にも加害者にもしない」

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■■  レインボーリボン メールマガジン 第50号
■■   子どもを暴力の被害者にも加害者にもしない

2018/5/31
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春は、初々しい元気な子どもたちの姿に希望を感じる季節でもあり、一方、悲惨な事件が起きては社会に激震が走る季節でもあります。

新潟市で小学2年生の女の子が近所に住む23歳の会社員に殺された事件は、またしても学校の登下校時、自宅のすぐ近くで、顔見知りの男による犯行でした。

「またしても」というのは、昨年3月、千葉県松戸市で小学3年生のベトナム人の女の子が殺された事件を思い起こすからです。犯人は近くに住み、小学生の登下校見守り活動を行っていた保護者会の会長でした。

 

小学生が登下校時に襲われるというショッキングな事件は、2000年代に入ってから多発しており、2004年3月高崎市、11月奈良市、2005年11月広島市、12月には栃木県今市市の小1女児が下校時に行方不明となり、いずれも遺体で発見されました。

卑劣な犯罪が繰り返される中、学校やPTAが子どもたちの登下校の安全を守ろうと様々な対策に取り組み、地域住民の意識も高まっています。実際、住民による不審者目撃情報によって、連れ去られた子どもが発見救出された事件もありました。

それだけに、保護者会会長が犯人だった昨年の松戸市の事件は、子どもを守る活動に携わる我々にとって、大きな衝撃でした。

 

事件を防ぐ手段はなかったのか。犠牲となった子の死を無駄にしないために、当惑を乗り越えて考えていかなくては・・・と、この1年、私なりに思い悩んできましたが、妙案は浮かびません。

 

子どもを性の対象とすることは犯罪です。

性関係はお互いの合意の上に成り立つものであって、相手の合意なく関係を強要することは暴力です。子どもは大人と対等の立場で判断したり、意思決定、意思表示はできません。だから、どんな状況であれ、どんな立場であれ、子どもを性の対象とすることは暴力なのです。

子どもを性の対象として見ている大人は、やはり「異常」です。松戸市の犯人は児童ポルノを収集していたそうです。そんな異常な大人が周りにいないか、アンテナを立てて、「なんとなくヘンだ」と思ったら、子どもに近づかせないように注意しなくてはと思います。

 

子どもを犯罪から守るためには、なるべく多くの、地域のいろいろな人が関わって、犯罪者に気づくためのアンテナがたくさん立っている状態を作るしかないのかな・・・そんな気持ちで、今年も近隣小学校の新1年生の下校お迎えボランティアに参加しました。

 

小学1年生は本当に小さくて、元気で、危なっかしく、かわいいですね。手も、心も、柔らかく、傷つきやすい存在です。

「さあ、おうちに帰ろう」と手をつないだら、自然な感情として、この小さな命が理不尽に摘まれることのないように守ってあげたい、と思います。

そして一人ひとりの子どもとコミュニケーションがとれるようになると、次には、その子が楽しそうに、幸せそうに笑っている顔が見たいと思うようになります。

もっと親しくなれば、その子が好きなことに打ち込めたり、得意な分野で頑張ることができたり、才能、能力を発揮して成長していく姿が見たいと思います。

 

PTA研修の講師依頼をいただくと、私は「マズローの5大欲求図」を教材に入れます。

アメリカの心理学者が提唱した、人間の成長欲求を示したピラミッド型の図ですが、その頂点の「自己実現の欲求」は、子どもにその欲求を満たしてほしいと願う「教育」、「子育て」の究極の目的、ミッションでもあると思います。

だから、今般の日本大学アメフト部の問題のように、指導者が教え子を暴力の加害者になるように仕向けてまで勝利を得ようとしたり、自らの保身、出世、売名に利用するなどということは、「教育」とは無縁の、まさに大人が子どもを支配する「暴力」そのものだと思います。

 

5月28日、レインボーリボンの第4回通常総会を開きました。

「総会」と言っても、10数人のボランティア仲間が集まって、ふだんなかなか落ち着いて話せないことを言い合う、こじまんまりとした会です。

お互いの近況報告などをしながら、「こども食堂はいいよね~」という話に花が咲きます。

うつむきっぱなしでコミュニケーションをとることが難しかった子どもが次第に笑顔を見せてくれるようになって、好きなことや頑張っていることを話してくれるようになり、大勢の人の前に立って自分の夢を語るようになるまでに成長する姿を、私たちは見ているのですから。

 

私たちが最近、目をみはっているのは、子どもの成長もさることながら、その親たちの変化です。

いつも無表情で、「今日、お子さんはこんな様子でしたよ」と話しかけても関心を示さなかったお母さんが、先日はこども食堂に来た瞬間から笑顔でした。

また、別のお母さんはいつもジャージ姿で身なりに無頓着な様子でしたが、ある時、髪を素敵な色に染めて、先日のこども食堂には綺麗な民族衣装を着ていらっしゃいました。

 

子どもが安心できる自分の居場所を見つけたら、親も安心できたのでしょう。同時に、今までどんなに辛い親子関係だったのかなと、心が痛みます。

こども食堂は孤独な子育てに耐えているお母さんに、一人だけで頑張らなくても大丈夫ですよ、地域の私たちが支えますよと伝える場でもあります。

 

5月16日、「政治分野における男女共同参画推進法」が成立しましたね。

母親が「孤育て」に追い詰められないように、そして離婚などで一人親になった時に養育費が確保されるように、非正規の不安定な雇用や男性の半分しかない賃金で貧困に追いやられている現状が改善されるように、ぜひ、政治の世界に女性が出て、世の中を変えてほしいと思います。

 

変えてほしいというか、私たちが変えていきたいと思っているし、実際、変えているんだと思います。一人の子ども、一人のお母さんの表情が変わっていく現場に立ち会いながら、その笑顔を守っていく責任を自覚しています。

NPO法人化してから4年が過ぎ、5年目の活動方針を総会で決めました。今年度も「子どもを暴力の被害者にも加害者にもしない」「違いを認め合い、尊重し合う多文化共生の社会」という私たちのミッションを胸に、歩み続けます。

(代表 緒方美穂子)

▼レインボーリボンのホームページを全面リニューアルしました。ぜひ、ご覧ください。

http://rainbow-ribbon-net.org

 

▼かつしか子ども若者応援ネットワーク講座「ゲームとのつきあい方」

子どもはなぜゲームに夢中になるのか。どうゲームとつきあっていけば良いのか。

6月30日(土曜日)午後2時から4時 新小岩地区センター 三田佳幸氏(東京ゲーム交流会代表) 申込締切 6月21日(木曜日)

http://www.city.katsushika.lg.jp/event/1000106/1017930.html

 

▼子どもの性被害相談アプリ「ne-ne(ねーね)」(NPO法人ライトハウス)

このアプリからマンガ「Blue Heartブルー・ハート」の電子版を読むこともできます。

女の子も男の子も、匿名での相談も可能。

相談アプリne-ne:https://s.lhj.jp

 

▼レインボーリボンでは子どもに提供する1食分の食材費300円を1口として、12口3600円の寄付(こども食堂の1食オーナー)を募っています。

口座名義:特定非営利活動法人レインボーリボン

  • 郵便振替口座:00170-7-449974
  • りそな銀行 青戸支店(店番号470)普通預金1520535

ご寄付くださった方はお名前、連絡先を下記レインボーリボン宛てにお知らせください。

「レインボーリボンのこども食堂通信」へのご芳名記載の諾否もお知らせいただけますと幸いです。

 

このメールマガジンは、代表の緒方はじめ、スタッフと名刺交換させていただいた方、

弊団体のイベント・講座にご参加いただいた方にお送りしています。

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