レインボーリボン メールマガジン 第94号 コロナ禍という大災害の長期化、「心の被災」が深刻です。

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■■  レインボーリボン メールマガジン 第94号
■■   コロナ禍という大災害の長期化、「心の被災」が深刻です。
  2022/1/31
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毎月末、NPO法人レインボーリボンの活動報告と、代表、緒方の思いをお伝えするメールマガジンです。

年末年始は何とか平穏に過ごせたと思っていたら、年明けとともにオミクロン株の猛威に襲われた日本列島です。
私も濃厚接触者となり、1月は月の半分を自宅で過ごしました。
家族の発症が初旬、中旬だったので、まだ宿泊療養や入院の手当てをスムーズにしていただけましたし、ひとりで過ごした自宅には日ごろから備蓄している食料も十分にあり、レインボーリボンのこども食堂もフードパントリーも、仲間がしっかりと開催運営してくれました。
何の心配もないと言えるほどの恵まれた状況でしたが、それでもやはり不安に襲われていたようで、宿泊療養を終えた家族が帰ってきた夜にはあまりにもぐっすり眠れて、今まで眠れていなかったのかと驚いてしまいました。

レインボーリボンは一昨年の10月、第3波の頃から「はらぺこレスキュープロジェクト」と銘打って、コロナ感染してしまったひとり親家庭などに食料を届ける活動に半年間取り組んだのですが、当時の支援対象者はどんなに心細く、困っていたことか、今さらながら実感しました。

今はオミクロン株の軽症を中心とした流行ですし、自宅療養者には行政による食糧支援もあります。
一昨年、昨年に比べたらまだマシとも言えますが、しかし、もう2年もこの状態が続いているのに、感染しているかもしれないと思っても検査を受けられない、入院治療を受けられない、薬をもらえないという「不安」がまったく払拭されていないというのは、いったいどういうことでしょうか。
国の責任は大きいと思います。

病気になっても大丈夫、助けてもらえるという安心感のある社会を作るには、もちろん私たち自身の責任もあります。

コロナ禍によって「経済格差」は以前よりも広く、深く進行しています。その被害を、特に子ども、子育て家庭の「被災」を何とか和らげようと、私たちNPOなどは困窮者への食糧支援に取り組み、そこに多くの方々が寄付を寄せてくださっています。
しかし、コロナ禍という大災害がここまで長期化すると、「心の被災」がとても深刻な状態になっていて、昨年末くらいから、レインボーリボンのフードパントリーを利用している子育て中の親御さんからメンタル面でのSOSを何件も受けています。
心理の専門知識のない私が迷いながら、悩みながら対応していますが、こんな場当たり的な対応に事態を解決方向に向かわせる力なんてあるはずもなく、いつか大きな事件事故に発展しませんように、と祈るばかりです。

濃厚接触者としての自宅待機期間が明けた翌日、葛飾区の「女性のための防災対策等検討委員会」に出席しました。
この日の議題にはなかったのですが、「コロナ禍による心の被災に対策を考えてほしい」と発言させていただきました。区の危機管理課主宰の委員会で訴えたのは、実は昨年8月、区の教育委員会に抗議した一件があったからです。
昨年8月、地域の青少年育成地区委員会の活動として「コロナ時代の心のケア」オンライン講座を企画しました。
ただでさえ夏休みの終わりは子どもの自殺が心配される時期です。臨床心理士の先生に、ストレスを抱える子どもたちの心のケアについてご教示いただこうという趣旨で、保護者の皆さんに広く参加を呼び掛けたいと思いました。
ところが、教育委員会は講座の周知に学校から保護者への連絡用に導入したアプリを使わせてくれないと言います。その理由が「地域からのお知らせをアプリで流すと、災害などの緊急時に情報が錯そうしてしまうから」というものでした。
災害時こそ、地域、学校、保護者が情報を共有するべき時ではないでしょうか。
だいたい私たちの税金で導入したアプリを、私たち区民の地域活動に使わせないというのはどういうことでしょうか。
コロナ禍という災害時に子どもの心を守ろうという地域の取り組みも、一般的な「地域からのお知らせ」と扱われてしまうのでしょうか。
納得できず、「区長への手紙」を書いたところ、その講座1回に限り、アプリを使ってよいというお許しを得ました。

女性防災委員会でこの顛末を紹介し、「子どもに関わる政策については縦割り行政による弊害が指摘されるようになってきたが、防災・危機管理に関しても縦割りの弊害がある」と訴えました。

しかし、行政の機関が前例踏襲で終わらせずに課題に取り組んでくれたり、部署を越えて連携して動いてくれたり、我々民間と協働してくれた時の感動的な事態の展開も、このコロナ時代に経験させてもらっています。

孤立して困窮した人が誰にも助けてもらえない絶望感を抱くような社会は、誰にとっても安心感のない、不安に満ちた世界です。
でも、助けを求めて検索してみたり、周囲のアドバイスに耳を傾けてみたり、少し視点を変えたり視野を広げたり、NPOの支援を受ける、行政の福祉を求める、そこから世界が変わると思います。
前代未聞の大災害を現在進行形で生きている私たちは、とにかく工夫して、柔軟に、自分の心と体の健康を第一に大切にしながら、何とか生き残る方策を考えるしかありません。
(代表・緒方美穂子)
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