レインボーリボン メールマガジン 第112号 ギニアの母子支援、PTAのこと、学校のこと

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■■  レインボーリボン メールマガジン 第112号
■■   ギニアの母子支援、PTAのこと、学校のこと
  2023/7/31
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毎月末、NPO法人レインボーリボンの活動報告と、代表、緒方の思いをお伝えするメールマガジンです。

毎日危険な暑さが続く猛暑の候、皆さまにお見舞い申し上げます。
今月のメルマガは
【ギニアにいるマリアマさん親子へのご寄付のお願い】
【PTAイノベーション事業に少しずつ取り組んでいるご報告】
【学校で子どもの権利を実現するためには】
の3項目について書きたいと思います。

【ギニアにいるマリアマさん親子へのご寄付のお願い】

昨年10月、葛飾区柴又のアパートからギニアの首都、コナクリに帰国したディアロさん一家について、当時ご支援、ご寄付、心を寄せていただいた皆さま、本当にありがとうございました。
この件について初めて知るという方は、10月31日のメルマガをお読みいただけますと幸甚です。
http://rainbow-ribbon-net.org/mailmagazine/20221031mail/

あの後、予想はしていたものの、マリアマさんと3人の子どもたちには大変な苦難が待っていました。
ディアロさんは日本でもそうであったように、家族の生活を成り立たせようという意思がまったくない人で、マリアマさんが一人で、住む家も当面の生活費も、何とか工面しています。
長男のアマドゥ君(9才)は学校に行けず、次男のアルファディオ君(6才)はほとんど食べずに痩せてしまい、末っ子のファトゥマタちゃん(3才)は中耳炎の治療を受けられず後遺症が心配されています。

日本から送り出す時に望みをつないだマリアマさんの叔父さん、フランス国籍を持ち、医師のお仕事を既に引退しているソー叔父さんは、コナクリ空港でディアロ一家を出迎え、その後も実家のあるマムーという中核都市に滞在し、マリアマさんと3人の子どもたちをフランスに連れて行く準備をしてくれています。

先月の中頃、マリアマさんから驚くべき知らせがありました。
ディアロさんが再婚したというのです。相手はディアロさんの亡くなったお兄さんの妻だと。
今、故郷のティンボで、再婚した奥さんと、マリアマさんと結婚する前の元奥さんと、その他大勢のファミリーと共に暮らしていると。
私はギニアの法律も風習も分からず、ただ想像するだけなのですが、おそらくギニアでは男系のファミリーの中から稼ぎ頭の一人が世に出れば、その稼ぎ頭を中心とした共同体が成り立つのではないかなと思います。
ディアロさんの亡きお兄さんは在日本大使、在アメリカ大使まで歴任した方なので、その遺産で暮らしを成り立たせる共同体の中に、帰国したディアロさんも戻っていったのではないかと。

コナクリに残されたマリアマさんは、ソー叔父さんの援助の下、ようやく親子4人のパスポートを得ました。
あとはフランス行きのビザが降りるのを待って、ソー叔父さん一家が暮らすパリへの移住をめざす――ようやくここまで来ました。

最近のニュースを見ていると、フランスでも人種差別は過酷なものがあるようだし、多くの困難を背負った3人の子どもたちが、移住さえすれば将来が開けるわけではないと思います。
しかし、少なくとも学校に行き、将来は自らが選択する職業に就くチャンスのあるフランスへの移住を、どうしても叶えてあげたいのです。

そして、マリアマさん。
マリアマさんは7才のとき養子に出され、重労働と虐待の中で生きてきました。ケガをしても治療してもらえなかった傷跡、鞭で打たれた痕、大きな心の傷が今も残っています。
マリアマさんの希望は、利発なアマドゥ君に教育を受けさせること、障がいのあるアルファディオ君が適切なケアを受けること、女の子であるが故に忍従を強いられる理不尽な権利侵害からファトゥマタちゃんを守ること、子どもたちの幸せだけです。

コナクリからパリへの航空券エコノミークラスは12万~19万円。4人で48万円から76万円です。
167人の方が3000円の寄付をしてくだされば50万円。親子4人の渡航費用を送ることができます。
レインボーリボンのBASE寄付ショップで「マリアマさんと3人の子フランス渡航費」一口3000円を募集しています。皆さまの温かいご支援をお待ちしております。
https://rainbowribon.thebase.in/items/76926678

【PTAイノベーション事業に少しずつ取り組んでいるご報告】

YouTubeの「PTAお助けチャンネル」動画第2弾「【多文化共生】娘が不登校に…登校のカギはPTA?聴覚障がいの母と多文化共生」を公開しました。
https://www.youtube.com/watch?v=K0BcIOUsywM

レインボーリボン発足当初からのメンバー、聴覚障がいのあるママ「デフママ」(デフ(Deaf)は、英語で「耳がきこえない」という意味)の青木さんインタビュー動画です。
2年後の2025年、デフリンピック(ろう者による国際スポーツ大会)が日本で初めて開催されます。ろう者の文化への関心も盛り上げていけたら良いなと思っています。

今月は東京都福祉保健財団の「子供が輝く東京・応援事業」への助成金申請をしました。
申請した事業名は「PTA―TOKYOお助け隊100人ネットワーク創設プロジェクト」。
PTAイノベーションに成功した先輩たちを、現在PTA改革に取り組んでいる人や悩んでいる人を助ける「お助け隊員」として100人集めたいというプロジェクトです。
いま、YouTubeやTwitterなど、ネットの世界では「PTAなんていらない」というネガティブ・キャンペーンが渦巻いています。
役員・係の仕事を強制するとか、個人情報の横流し、不明朗会計など、確かに問題点はたくさんあるけれど、子どもの幸せのために頑張っている親と教師のボランティア活動を「なくしてしまえ」という論調にはどうしても抗っていかなければと思っています。

【学校で子どもの権利を実現するためには】

前号のメルマガでもご報告したとおり、今年度、葛飾区教育委員会から「社会教育委員」と「教育振興基本計画策定委員」を委嘱されています。
「教育振興基本計画」いわゆる「教育プラン」の骨子案前半部分の議論が委員会の時間内に終わらず、書面で意見書を提出しました。

基本計画を貫く「理念」がないということ。
・こども基本法、持続可能な開発目標(SDGs)の理念が反映されていないこと。
・その結果、すべての施策において「子どもの声を聞こう」とか、不登校、いじめなどの当事者に意見聴取をしようという姿勢が一切ないこと。
・コロナ危機の3年間に関する検証も考察もないこと。

絶対に容認できないと思ったのは、「いじめによる重大事態の調査を行う体制について【検討する】」という文言です(【】付けは緒方)。
葛飾区では2014年、中学3年生がいじめによって自殺しました。
学校も教育委員会も「自殺ではない」「いじめではない」と言い続け、2018年、葛飾区いじめ調査委員会(第三者委員会)は、いじめ防止対策推進法の定義に従えば「いじめ」だが、「当調査委員会は、あえて法律上のいじめの定義をそのまま当てはめることはせず」、「本件はいじめを原因とした自死ではない」と答申しました。
しかし答申の3か月後、葛飾区は「(加害)生徒たちが行った行為は、法の「いじめ」に該当する。生徒たちの一連の行為が当該生徒の自死への衝動に影響を与えた可能性は否定できない」という「区の見解」を発表し、区長と教育長が謝罪しました。
第三者委員会の答申に問題があったことは明らかで、そのような答申を出した委員の人選は間違っていたのです。
いま、「重大事態の調査を行う体制について【検討する】」段階ではありません。
調査委員会には被害者側が推薦する委員を少なくとも1人以上、任命するべきです。

日本で最初に「子どもの権利条例」を制定した川崎市では「市教育委員会事務局教育政策室人権・多文化共生教育担当指導主事」という役職があるそうです。
葛飾区でも教育委員会の中に「子どもの権利担当指導主事」を置いてはどうでしょうか。
いじめや教員による不適切な指導、ハラスメント、部活動における暴力など、学校で子どもの権利侵害が起きたときに被害者を守る仕組みがあまりにも脆弱です。

PTAも学校も、いったい何のための、誰のための「器」なのか、多くの人に考えてもらえるように、8月も頑張ります。
(代表・緒方美穂子)

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