レインボーリボン メールマガジン 第113号 9月に意見公募のある「教育プラン」と10月開所の児童相談所

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■■  レインボーリボン メールマガジン 第113号
■■   9月に意見公募のある「教育プラン」と10月開所の児童相談所
  2023/8/31
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毎月末、NPO法人レインボーリボンの活動報告と、代表、緒方の思いをお伝えするメールマガジンです。

異常な暑さで大変でしたが、8月はスポーツ界で様々な感動シーンがありました。
職業柄というか、「活動柄」というか、私は「やっぱり選手一人ひとりが自ら考え、行動し、成長していくことが大切なんだ」という思いを強くします。

「活動柄」というのは、PTA活動から出発して、「こども食堂」や「いじめ防止」といった子どもの幸せを願う活動をしていて、その中で子どもの成長を間近で見た時に心から感動し、自分自身もいくつになっても学びながら成長できる喜びを感じているという意味です。

今月も「葛飾区教育振興基本計画策定検討委員会」の第7回会議に区の社会教育委員として参加させていただき、来年度からの教育プラン5ヵ年計画について意見を申し上げました。
これから計画素案が教育委員会、区議会文教委員会に報告され、9月下旬からはパブリック・コメント(意見の公募)が実施される予定です。今回は区立学校を通して子どもたちからの意見も募集するそうです。このメルマガをお読みくださっている葛飾区在住、在勤の皆さん、ぜひ、素案へのご意見を葛飾区に寄せてください。

第7回会議で「ここはおかしい」「こうした方が良いと思う」とたくさん意見を言わせていただきましたが、それは、残念ながら第6回会議で申し上げた私の意見がほとんど反映されなかったからです。

「葛飾区が目指すこれからの教育」という章が設けられ、SDGsについて、子どもの権利について、それぞれ項目を立てているのですが、まず、SDGsの「誰ひとり取り残さない(leave no one behind)」という基本的な目標が書かれていないのです。
前回会議では私以外の委員からも「誰ひとり…」というキーワードは省略しないようにという意見があったにも関わらず、今回の会議資料でも記載がありませんでした。国の教育振興基本計画でも「誰ひとり取り残さず、すべての人の可能性を引き出す共生社会の実現に向けた教育」と書かれているのに、なぜ葛飾区の基本計画には記載しないのでしょうか。
教育委員会事務局に「記載しない理由があるのなら教えてほしい」と質問しましたが、明確なお答えはありませんでした。

そもそも「誰ひとり取り残さない」という理念を掲げた計画素案になっていないことが問題です。
不登校児童・生徒のための様々な施策は列挙されていますが、学校に行かない子どもや、教育機会を奪われた大人のためにも学ぶ権利を保障した「普通教育機会確保法」(2017年2月施行)に明記されている不登校特例校である「東京シューレ葛飾中学校」、双葉中学校の「夜間中学」には何の言及もありません。
事務局は「事業のすべてを記載すると膨大な量となってしまうので、基本計画に記載すべきものを精査した」と言いますが、精査した結果、「誰ひとり」どころか、多くの人を取り残す結果となっています。
不登校児童・生徒はいま、何人いるのでしょうか?夜間中学を必要としている人は?
その基礎資料さえ会議の回数を重ねる中で省略されています。

子どもの権利に関する項は、今回、他の複数の委員からも「書き直すべき」という意見が出ました。
まず、タイトルに「子どもの権利」という、キーワード中のキーワードがないのです。
前回会議では「子どもの最善の利益に配慮した教育」というタイトルでした。「配慮した」という上から目線はおかしいと意見しましたが、今回出てきたタイトル案は「子どもたち一人一人を大切にした教育」でした。
事務局によると文科省の「生徒指導提要」からとった言葉だそうです。
その「生徒指導提要」の「まえがき」には次の文があります。
「本年6月に「こども基本法」が成立し、子供の権利擁護や意見を表明する機会の確保等が法律上位置付けられました。子供たちの健全な成長や自立を促すためには、子供たちが意見を述べたり、他者との対話や議論を通じて考える機会を持つことは重要なことであり、例えば、校則の見直しを検討する際に、(中略)児童生徒が主体的に参画することは、学校のルールを無批判に受け入れるのではなく、児童生徒自身がその根拠や影響を考え、身近な課題を自ら解決するといった教育的意義を有するものと考えています」。

この「生徒指導提要」に則って考えるのであれば、葛飾区が「計画の基本方針」として「校長の強いリーダーシップの下、教員全員の共通理解に基づく学習指導」と書くのは、やはりおかしいし、子どもの権利の中でも最も重要な「子どもの意見表明権」を「紙幅の都合で」と省略するのは、本当に「何のための、誰のための教育プランなのか」と問い質したい点です。

実はこの教育委員会の会議の前日、葛飾区児童相談所開設準備室や子ども総合センターと、私たち地域で子どものために活動しているネットワークとの意見交換会が開かれました。
葛飾区児童相談所は10月1日に開所します。
それこそ「紙幅の都合で」このメルマガでは意見交換会の内容をご報告できないのは残念ですが、児相の一時保護所準備課長の言葉に感銘を受けたことだけはお伝えしておきます。それは、「保護する時、保護中、保護解除後、あらゆる場面で子どもの声を聴き、子どもの意見を反映できるよう、大人の説明責任を果たせるよう、何重にも仕組みを考えています」というものでした。
(代表・緒方美穂子)

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