レインボーリボン メールマガジン 第114号 STOP!子どもへの暴力

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■■  レインボーリボン メールマガジン 第114号
■■   STOP!子どもへの暴力
  2023/9/30
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
毎月末、NPO法人レインボーリボンの活動報告と、代表、緒方の思いをお伝えするメールマガジンです。

9月は子どもに対する暴力が焦点となった月でした。

まず、「ジャニーズ事務所」の性加害問題が、10代初めに被害を受けた人々の勇気ある告発によって注目を集めています。
加害当事者の生前にも被害を訴えた人はいて、それを報じた週刊誌報道について「真実である」とする高裁判決が04年に確定したにも関わらず、今まで社会問題化しませんでした。
アメリカ発祥のMee Too運動をきっかけとした文化芸術界での性暴力告発の広がりを報じ、子どもへの性暴力を追及してきたジャーナリストでさえ、「私自身、人権侵害であるという認識が足りなかったと恥じるばかりだ」と述べています。
私も一般的な知識として、ジャニー喜多川氏の昔の性加害疑惑を知っていたのに、現在の「ジャニーズ」所属アーティストや「ジュニア」の人権について無関心だったこと、知ろうとしなかったことを、一人のファンとして恥じています。
経営陣の「知らなかった」という説明には到底納得できないし、納得してはいけないと思います。
ジャニーズ性加害問題は始まったばかりです。実態究明と被害者救済には社会全体で取り組むべきです。警察・司法機関による捜査、政府・国会による調査と再発防止策の策定が必要だと思います。

ジャニーズの問題はどこか遠いところの話だと感じる人もいるかもしれませんが、今月12日、練馬区の現役の中学校校長が元教え子のわいせつ画像所持で逮捕された事件は、多くの人にとって身近な性暴力事件として衝撃的だったのではないでしょうか。
9月29日にはその校長について、別の元教え子に対する準強姦傷害の疑いで、警視庁が再逮捕する方針であると報じられました。

学校で、教師による性加害。
誰もが「知らなかった」では済まされない、すべての人が被害救済と再発防止のために努力しなければならない人権問題です。
特に学校教育、教育行政に携わる人には「自分事」として考え、行動することを望みます。

今月初め、こども家庭庁の有識者会議は、学校や保育所に従業員の性犯罪歴の確認を義務付ける「日本版DBS」創設に向けて報告書をまとめました。早ければ来月の臨時国会に法案が提出されるそうです。
報告書では認可外保育所や学童保育、学習塾などは義務化の対象となりませんでしたが、先月の「四谷大塚」の元講師がわいせつ事件で逮捕された事件をきっかけに、大手受験塾では防犯カメラの設置や採用時の適性検査実施など、性犯罪防止の取り組みが既に行われ始めています。

防犯カメラの設置は犯罪の根絶とまではいかなくても、抑止や、エスカレーションの抑制には役立つと思います。
「いじめ」についても言えることです。

9月28日は、「いじめ防止対策推進法」施行から10年の節目でした。
10年前、私たちレインボーリボンの仲間はNPO法人化に向けて準備を進めている最中、わが子が通う中学校で起きたいじめ事件を知り、また、同じ葛飾区内の別の中学校で起きたいじめ自殺を知りました。
いじめについて、暴力について、まったくの素人だった私たちが1から勉強を始め、「いじめ防止教室」をレインボーリボンの活動の柱に据えました。

先日、学校におけるいじめ・体罰問題について、プライバシーを担保した防犯カメラ設置による解決策を模索しているという大学生のインタビューを受けました。
その学生のプロジェクトは、経済産業省の「次世代を担う社会起業家を育成する官民連携プログラム」に採択されたそうです。
子どもの人権問題に取り組む若者がいて、それを官民で後押しする取り組みがあるということに希望を感じました。

学校現場と教育委員会の取り組みにも期待したいところですが、失望することが多いのも実態です。
生命、心身に重大な被害が生じた等の「重大事態」に認定された件数は、いじめ防止法制定の13年度は179件、コロナ前の19年度に723件、21年度も705件。
21年度の重大事態のうち、深刻化する前にいじめを認知できていなかったのは310件、44%にのぼります。
こども家庭庁は学校や教育委員会ではなく、自治体の首長部局にいじめの相談窓口を作り、認知から解決まで支援する体制を整える方針だといいます。

こども家庭庁は今月、22年度に全国の児童相談所が受けた虐待相談は21万9170件で、過去最多、32年連続で増加していると公表しました。
児童虐待については今月だけでも、奈良県橿原市の27歳男性が交際相手の4歳の長女を暴行し死亡させた傷害致死罪で起訴、千葉県我孫子市の27歳の母親が3歳の息子を布団で巻いて死亡させた傷害致死の疑いで逮捕――などのニュースがありました。
岡山県津山市で2歳の男児が約9時間半、車中に置き去りにされて死亡した事件も「ネグレクト」と言えるのではないでしょうか。

葛飾区では10月1日午前0時から児童相談所が開所となります。
今月は開所式、内覧会で建物の中を見学させていただき、区に「児童相談部」という部署ができるという説明を受けました。我々、地域のボランティアが頼りにしている「子ども総合センター」の子ども家庭支援課も児童相談部の中に組み込まれ、児相と子総センターの緊密な連携が図られるとのことです。

子どもへの暴力が疑われる場面に遭遇したら勇気をもって通報すること、育児疲れから子どもに手を上げてしまいそうなお母さんがいたら寄り添い、助けてあげること、子どもがありのままの自分でいられる「いのちの居場所」を守ること――子どもへの暴力がない社会をつくるために、来月も頑張りましょう。

(代表・緒方美穂子)

写真は葛飾区児童相談所開所式の日。横山雄司・児童相談所開設準備担当部長(中央)、社会福祉法人厚生福祉会の佐々木美緒子先生(右)と。

▼葛飾区教育振興基本計画パブリックコメント募集(10月25日まで)
https://www.city.katsushika.lg.jp/opinions/1009924.html
葛飾区教育振興基本計画2024~2028(素案)
https://www.city.katsushika.lg.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/033/129/050926-1.pdf
▼YouTubeレインボーリボンの「PTAお助けチャンネル」第3弾
【暑すぎる教室を断熱! 子どもたちのために地域と学校が立ち上がった――さいたま市立芝川小学校の挑戦】を公開しました。ぜひご覧ください!

▼レインボーリボンのメールマガジン、バックナンバーは下記URLでご覧いただけます。
http://rainbow-ribbon-net.org/category/mailmagazine/
▼「マリアマさんと3人の子フランス渡航費」は現在、27人の方から211,000円のご寄付をいただいています。誠にありがとうございます。母子は在ギニア仏大使館にビザ申請中です。引き続きご支援をよろしくお願いいたします。
https://rainbowribon.thebase.in/items/76926678

▼レインボーリボンの活動を支えるご寄付をお願いいたします。
口座名義:特定非営利活動法人レインボーリボン
 ●郵便振替口座:00170-7-449974
 ●りそな銀行 青戸支店(店番号470)普通預金1520535
 ●BASEショップ https://rainbowribon.thebase.in/
 ●寄付サイトGiveOne こども食堂・フードパントリープロジェクト
https://giveone.net/supporter/project_display.html?project_id=20483