レインボーリボン メールマガジン 第115号 心のふるさと
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■■ レインボーリボン メールマガジン 第115号
■■ 心のふるさと
2023/10/31
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毎月末、NPO法人レインボーリボンの活動報告と、代表、緒方の思いをお伝えするメールマガジンです。
パレスチナ・ガザ地区の悲惨な状況が連日報道され、10月はつらい月となりました。
ウクライナでも、アジアでもアフリカでも、人道危機は続いています。
レインボーリボンは国際問題に関われるようなしっかりした団体ではありませんが、身近に困っている人がいれば、どこの国の人であっても絶対に見捨てないという「覚悟」だけはあります。
【ギニアに帰ったAくんとの電話】
1年前、8才のAくんは生まれ育った日本を発って、父母の故郷であるギニアに帰国しなければなりませんでした。無一文のギニア人一家5人のために、帰国費用122万円の寄付を集めたのも、私たちの「覚悟」の取り組みでした。
122万円はAくんの父親のせいであっという間に使い果たされ、挙句にその父親は母子を捨てて自身の出生地である「田舎」に帰ってしまい、いま、幼いきょうだい3人と母親はギニアの首都近くの町にとどまり、フランス在住の叔父さんを頼って渡仏するためにビザ申請をしています。
この親子の運命にも、パレスチナ問題は少なからず影響するかもしれません。
アフリカから貧困や圧政を逃れ、かつての植民地宗主国フランスに渡航する若者は多いと聞きます。しかし文化の違いや根強い差別もあり、アフリカ系移民やイスラム教徒がフランスの治安問題となっているようです。
その上、中東情勢の悪化により人々の対立が激化してしまったら、ギニア人母子にフランス入国の許可が降りる日はさらに遠のいてしまうのではないか、とても心配です。
ギニアでは電話するにはネット回線を一時的に購入するため貴重な生活費を削らなければならないし、通信環境が非常に悪く、途切れ途切れの会話となってしまうのですが、「Aくんが夜、眠れていない。いつも怒っている」と聞いて、電話口でなんとか励まそうとしました。
私「フランスの叔父さんがみんなを引き取ってくれるまでの辛抱だよ。もう少し、がんばって」
Aくん「フランスには行きたくない。日本がいい」
私「そうだよね。でも、大人になって、働けるようにならないと日本には来られないんだよ」
Aくん「(ギニアでは)学校に行ってない。食べものがない」
私「つらいよね。フランスに行ったら学校に通えるよ。叔父さんが生活をみてくれる。それまでお母さんを助けて、がんばって。フランスに行ったら一生懸命勉強して、日本に来られるように…」
日本でも最貧生活だったのですが、それでも学校に通えて、食料支援を受け、医療も保障されていました。他のどこでもない、日本が彼にとって生まれ育たった「ふるさと」です。
今は本当につらい状況ですが、あと10年もすれば、きっと自力で日本に帰ってきてくれると信じています。
(渡仏費用のご寄付を募っています。文末をご覧いただけますと幸いです。)
【Bくんが帰りたい「ふるさと」は…】
20歳の若者、Bくんとの電話も今月の印象深いエピソードです。
私たちはBくんが小学生のときから彼を知っています。
Bくんには障がいがあり、外国ルーツでもあり、とても複雑な「困難」を背負った子でした。
高校に入学して間もなく、とうとう家庭にBくんの居場所がない状態になってしまい、他県の施設に入所することになりました。18才で施設を卒業し、今はまた別の県のグループホームに入所しています。
そのBくんからSNSで「相談があります。僕は葛飾区に帰りたいのに帰れない。どうしたらいいですか?」というメッセージが来て、私は頭の中で、家庭には帰らない方がいい、彼を受け入れてくれる施設を探さなくては…と、困惑しつつ、とりあえず話を聞こうと電話してみました。
話を聞いてみると、葛飾区に引っ越してきたいということではなくて、ただ、こども食堂に遊びに行きたいのだということでした。
内心ホッとしたのと、Bくんにとって「帰りたい」場所は家庭ではなくて、レインボーリボンのこども食堂だったんだな、と、悲しいような、嬉しいような、複雑な感情が込み上げた電話でした。
【PTAイノベーション事業はつづく】
東京都福祉保健財団に助成金申請をしていた「PTAお助け隊100人ネットワーク創設プロジェクト」は今月、残念ながら落選通知が届きました。
PTAが変われば子どもを取り巻く環境が大きく変わる、「こどもまんなか社会」の実現に近づく――という主張に説得力がなかったのか、
あるいは、助成金がなくても自力でやりなさい、という審査員の判断だったのか…。
どちらにしても結果を受けとめ、今の力量の範囲で事業を続けるしかありません。
PTA活動を通して出会った普通の「お母さん」である私たちの小さな取り組みが、子どもたちの帰りたい「ふるさと」、居場所を守っているのだということに自信をもって。
目の前にいる子どもの権利を守ることが、戦争のない未来につながると信じて。
(代表・緒方美穂子)
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