レインボーリボン メールマガジン 第117号 子どもには生きる権利がある
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■■ レインボーリボン メールマガジン 第117号
■■ 子どもには生きる権利がある
2023/12/31
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毎月末、NPO法人レインボーリボンの活動報告と、代表、緒方の思いをお伝えするメールマガジンです。
年末の今日、2023年を振り返ると、まずは「あおとこども食堂」、「フードパントリー」、ともにコロナ5類移行後の利用者増になんとか対応してきました。
こども食堂は「密」を避けよと言われた3年間、ごく少人数でなんとか続けてきましたが、今年は会場に人があふれてしまい、安全管理の面からも何か対策を立てなければ…と、逆の悩みが生じています。
フードパントリーは、コロナ禍の当初、利用登録された約90世帯に加えて、新たな利用登録が約40世帯あり、現在、月に2回のパントリーは毎回50世帯前後の利用があります。
こども食堂とフードパントリーの事業継続にほとんどのエネルギーを割かざるを得ない中、来年、法人化10周年を迎えるレインボーリボンとしては、残り僅かな体力、知力、気力をふりしぼってPTAイノベーション事業、いじめ防止事業にも取り組んでいます。
しかし、代表である私の年齢的な限界もいよいよ見えてきて、今までどおりのやり方では持続可能ではないな…と、組織基盤の強化を課題として意識している今年の年末でもあります。
ギニアのマリアマさん親子支援については、7月にフランス渡航費用のご寄付を呼びかけさせていただき、その後、フランス行きを断念、11月に寄付金の使い道を「セネガル行き」へと変更することを、寄付者にご了承いただきました。
30件、24万5千円(1700ドル)のご寄付を送金し、親子は12月15日、セネガルに入国しました。
「皆さんにお礼を伝えて。ありがとう、ありがとう、本当にありがとう」とマリアマさんは泣きながら電話をくれました。
さて、このメルマガを最近受け取ってくださるようになった方には唐突かもしれませんが、実は毎年、大晦日のメルマガには「未来日記」を書くことにしています。今回もお付き合いください。
今年の未来日記は10年後、2033年のある日。
場所は都内のある公立小学校の多目的ホールです。
【ここから2033年、未来の想像の世界です…】
木目調の柔らかい床に、窓から明るい陽が射し込んでいます。
1年生から6年生まで、大きい子も小さい子も入り混じって、思い思いに床に寝転んだり、ソファに座ったり、お喋りしている子も、黙々と本を読んでいる子もいます。
造り付けの本棚はPTAが手作りしたものです。(この時代、PTAはもちろん自由参加のボランティア活動。やりたい人がやりたことをやっています。)
これから講演が始まる舞台の上にはイスと机、マイクとパソコン。
子どもたちはこのホールで講演を聞いても良いし、自宅でネット中継を見ても良し、講演に興味のない子は好きな教室で好きな勉強をしていても良いのです。
ただし、サポートしてくれる先生をつかまえられるかどうかは分かりませんよ。先生も講演を聞きたいかもしれませんからね。
ちなみに今日は公開授業です。この学校のこの授業に参加したい人は誰でもインターネットで参加することができます。
さあ、講師が入ってきました。
お洒落なスーツをビシッと着こなした若い女性のようです。
「皆さん、こんにちは!…わあ、元気なあいさつ、ありがとう。
今日、お話させていただく衆議院議員の大空虹子です。この度、子どもの権利庁長官に任命されました。今日は長官としての初仕事なので、とても張り切っています。皆さん、よろしくお願いいたします。
この公開授業は『人生の先輩に聞く』というテーマなんですね。
私は今年、28才なので、みんなよりちょっと先輩かな。私の28年間の人生をお話しますね。
私はいま、こんなにペラペラと喋っていますけれど、実は18才まではホントに無口な子でした。大人とはもちろん、友だちともほとんどお喋りができなかったの。言葉が出てこなかった。
なぜかって?それはね、自分に自信がなかったからです。
母との2人暮らしだったんだけど、その母はね、精神疾患を患っていたんです。心の病気だったの。
母は時々、妄想にとりつかれてしまって、人前でも堂々と真っ赤な嘘をつく人でした。嘘といっても、妄想だから、本人はそれが本当だと信じ切っているの。
うちの娘がピアノ・コンクールで優勝して、あ、うちの娘って私のことね、今度、ドイツに演奏旅行に行くんだなんて、え~ってビックリすることをペラペラ言いふらすの。私がいる目の前で。私、ピアノなんて触ったこともないのに。
小さい時からそうだったから、私は『言葉』というものがよく分からなかったのね。
母のそんな振る舞いも恥ずかしかったけど、一番つらかったのは『徹夜泣き』。
『徹夜泣き』って、私が名前をつけた母の症状なんだけど、夜、布団に入ってから朝まで、ず~っと泣きわめくの。昼間あったことを大事件みたいに大げさになげいたり、普段から自分は誰々さんにいじめられているんだとか、自分には幼い頃に生き別れたお兄さんがいるんだとか、あることないこと、わ~わ~、泣いて訴えて来るの。娘の私がお母さんみたいに「よしよし」って慰めてあげないと、どんどんエスカレートして、包丁を持ち出して「死ぬ」とか言い出すのよ。
小学6年生の頃、母の症状がひどくて、私は睡眠不足で、学校に行くこともできなかったし、食事をする、入浴をするといった日常生活ができなくなってしまいました。
母子2人でゴミだらけの部屋に引きこもっていたの。
半年くらい、生きているのか死んでいるのか、わからない日々でした。
行政の福祉の窓口の人が何度も訪ねて来てくれて、かたくなに閉じこもっていた母がようやく病院に行くと言ってくれて、ヘルパーさんが部屋の中をキレイに片づけてくれて、私はギリギリ、中学校入学までに普通の生活ができる状態になったの。
中学から高校にかけて、ひたすら理系の勉強を頑張りました。言葉が苦手だったから、自分には理系しかないと思っていたのね。
転機は10年前の2023年でした。
私は18才。大学受験を目の前にして、『大学生になって一人暮らしをしたい。母から離れたい』という気持ちと、『母は私がいなければ生きていけない。一生、私が面倒をみていかないと』という気持ちの間で揺れ動いていました。
誰かに相談するということは、言葉が苦手な私にはとても難しいことだったんだけど、『虹子ちゃん、若者相談窓口に行きましょう』と言ってくれた人がいたの。
こども食堂のおばさんでした。
おばさんは小学生の時からずっと私を見守ってくれていたのね。私は子どもでよく分からなかったけど、引きこもり状態になってしまった時とか、中学から高校に進学する時とか、節目節目で行政の人や、奨学金の提供団体なんかとつないでくれて、時々モンスターになってしまう母にも辛抱強く付き合ってくれて、それでこの時は、私には進路のことや親のこと、自分の心の問題を相談できる相手が必要だって判断してくれたのね。
若者相談の窓口の人は、優しいお姉さんでした。
言葉が出なかったら少しずつでいいよって言ってくれて、絵を描いたり、ゲームをしたりしながら、少しずつ少しずつ、私の心の扉を開けてくれたの。
1年くらいかかったかな。でも、心の扉が開いたら、わ~っと言葉が出てきました。
自分でも、私、こんなことを考えていたんだって、ビックリするくらい。
私は子どもを守る大人になりたいと思いました。
自殺する子どもが年間500人以上いるとか、トー横に集まる子どもたちが自分を傷つけていたり、テレビではパレスチナの子どもたちが血まみれで泣いていたり、当時は本当に目も耳も覆いたくなる世の中でした。
こんな世界を変える力が欲しいと思いました。
それで政治家になったの。
政治家の仕事にはいろいろなものがあるんだけど、まずは『こんな世の中にしたい』っていう目標をみんなと決めることね。
私は子どもの命が守られる世の中にしたいです。
今はみんな、学校でどんな勉強をするのか、どうやってするのか、先生と相談しながら決めることができるよね。昔はそうじゃなかったんだよ。大人が決めたものを、決められたやり方でやるしかなかったの。そのやり方についていけない子どもは取り残されて、自分には価値がないんだとか、もっと追いつめられると、死ぬしかないんだと思ってしまっていたの。
子どもには生きる権利がある。
どんな家庭、どんな国に生まれても、大切にされて、成長する権利があります。
何を学び、どんな大人になりたいのか、自分の生き方を自分で決める権利があります。
それが、私の28年の人生を通して皆さんに伝えたいことです。
ご清聴ありがとうございました。」
お行儀よく座って聞いていた子も、床に寝そべって聞いていた子も、みんな大空虹子さんの方に笑顔を向けて、拍手が湧きおこりました。
小さい子にはちょっと難しい話だったけど、普段から「けんり」について学ぶ授業がたくさんあるので、大空さんの講演はなんとなく理解できたようでした。
【2033年のある日、未来日記でした。】
(代表・緒方美穂子)
▼葛飾区社会福祉協議会主催「いきがい・つながり・地域貢献活動フェア」(参加費無料)
葛飾区内で活動するNPOや地域貢献団体の紹介、交流の場。
日時:2024年1月14日(日)午前 10時〜午後1時
会場:亀有地区センター リリオ館7階(亀有3-26-1)
対象:区内外のNPOやボランティアに関心のある人、企業担当者など
参加:直接会場へお越しください(時間内入出場自由)
講師:熊谷 紀良 氏(東京ボランティア・市民活動センター)
参加団体(6団体):NPO法人レインボーリボン、kuuma、RMJ、NPO法人葛飾幼児グループ、かつしかライフリズム、ノーポイさぽーたー倶楽部 かつしか
▼かつしか子ども・若者応援ネットワーク主催「児童相談所と虐待〜地域で『わたしたち』ができること〜」
葛飾区に児童相談所ができました。児相の機能を詳しく知り、悲しい事件を防ぐために私たちにできることを一緒に考えてみませんか?
日時:2024年2月18日(日)午後2時〜4時30分
会場:青戸地区センター
対象:15歳以上の方
講師:森下 英志 氏(葛飾区児童相談部 相談援助担当課長)、中林 貴紀 氏(葛飾区児童相談部 児童保護担当課長)
コーディネーター:佐藤 力 氏(弁護士)
https://www.city.katsushika.lg.jp/event/1000106/1030458.html
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