レインボーリボン メールマガジン 第124号 「こどもの貧困解消」あきらめない夏です。

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■■  レインボーリボン メールマガジン 第124号
■■   「こどもの貧困解消」あきらめない夏です。
  2024/7/31
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東京都葛飾区を拠点とするNPO法人レインボーリボンの活動報告、代表の緒方の思いをお伝えするメールマガジンを毎月、月末にお届けしています。

異常な暑さと、コロナ第11波も来ているという感染症流行の中、レインボーリボンとしては子ども食堂とフードパントリーの開催だけは、何とか途切れることなく続けています。
小中学校の夏休みが始まり、給食のない8月末まで、この物価高でますます困窮する世帯を少しでも助けようと、ご寄付くださる方々の善意を届けるプロジェクトもいくつか実施しています。

「経済的困難を抱える子育て家庭」に利用登録してもらっているレインボーリボンのフードパントリーは、コロナ禍真っ最中だった2022年度は53世帯でした。が、今月はついに113世帯にまで増えました。
利用登録にあたっては世帯年収をお聞きしていますが、平均は225万円。多子で100万円台というような世帯もあります。

認定NPO法人キッズドアが6月、支援家庭を対象にとったアンケートでは、1821件の回答中、9割が母子世帯、今年の年収見込み「200万円未満」が約半数、食費1カ月に1人当たり1万円未満(1人1食110円程度)で暮らしている家庭は2人家族で35%、3人家族で44%に達したそうです。

公益財団法人あすのばの支援対象世帯4012人への調査によると、世帯年収の平均は178万円、コロナ禍で失業等による収入減があった家庭は53%、物価高によってさらに家計が苦しくなったと答えた家庭は85%でした。

レインボーリボンのような小さな団体でも、支援現場では「子どもの貧困」はますます厳しい様相を呈しているように感じます。
「貧困」とは単に「貧乏」であるということではなくて、「孤立」に追い込まれている状態です。
初めてフードパントリーに来るときの親御さん、お子さんの、ある種「呆然」とした表情、それがボランティア・スタッフと顔見知りになり、だんだんと冗談も言い合えるような関係性ができて笑顔を取り戻していく様子を見ていると、コロナ禍が一段落したとしてもこの活動はやめられないなあと思うのです。
やっとの思いでフードパントリーにつながったある母親の言葉が忘れられません。
「今まで誰にも頼れなかった。助けてもらえるとわかっただけでも安心した」。

先月、「子どもの貧困対策法」の改正法である「こどもの貧困解消法」が国会で成立しました。
「貧困により、こどもが適切な養育・教育・医療を受けられないこと、多様な体験の機会が得られないこと、権利利益を害され、社会から孤立することのないよう」と、法の目的が明確になりました。

「適切な養育を受けられない」最悪のケースが虐待死です。
7月18日、愛知県警は小学1年生の女の子を死なせたとして母親の内縁の夫を傷害致死で、母親を保護責任者遺棄致死の疑いで逮捕しました。
このような事件が何度も何度も繰り返される現実に、怒りの感情が爆発しそうになりますが、児童虐待の背景には「親の貧困」、「虐待の連鎖」があることを冷静に意識して、親を責めるだけではなくて支援することの必要性も忘れないようにしなければなりません。

「適切な教育を受けられない」ケース、特に不登校の子どもの現実には厳しいものがあります。
不登校30万人時代となり、昔ほど「何が何でも学校へ行け」といった子どもの人権を無視した対応は少なくなりましたが、実際にわが子が不登校になったとき、じゃあ、どうしたら良いの?成長期の子どもはどこで何をしたら良いの?という親の問いに、私たち支援者がスッキリと答えるのは難しいです。
親に経済力があれば、学校以外の学びの場、体験の機会を探すこともできると思いますが、ひとり親家庭にとっては非常に限られた選択肢しかありません。

葛飾区では中学校に「適応教室」(教室に入れない生徒が過ごせる学校内の居場所)を増やしたり、スクールソーシャルワーカーが学校と区の福祉機関や我々のような民間団体と連携して支援にあたっていますが、最近は小学生の不登校もとても多く、対応はまったく追いついていません。
無料学習塾や進路相談、生活相談などにあたっているしっかりしたNPOもあるのですが、そうした支援を受けられる場は常に定員オーバーで、ボランタリーに関わるスタッフの献身的な努力で運営されている状況です。

こどもの貧困解消法では「学校教育の充実や体制の整備」「民間団体が行う支援活動への財政措置」なども国や自治体の責務として追加されました。
行政も民間団体も、もうひと工夫、もうひと頑張りが求められています。

困難を抱える中学生に大学生ボランティアや教師経験者等が無料で学習支援をする「一般社団法人神戸みらい学習室」は、2017年、神戸市の職員が中心となって作った団体です。
https://www.kobemirai.com/
神戸市では、公務員が報酬を得て社会貢献活動に参加できる「神戸市地域貢献応援制度」が導入されていて、この活動を後押ししているそうです。

沖縄県名護市で生活困窮世帯の中学生を対象に学習支援をしている「名護市学習支援教室ぴゅあ」は、名桜大学と名護市の共同事業として11年目を迎えるそうです。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000006.000129647.html
中学生にとっても、学生ボランティアにとっても「居場所」となっている温かい雰囲気があり、年に数回、市役所の生活支援課の職員と学生の合同学習会や情報交換を行っているという地に足の着いた運営です。

葛飾区にも頑張っている行政職員、NPOの活動家もいるし、立派な大学もあります。
もうひと工夫、もうひと頑張り、あきらめずに歩き続けましょう。
(代表・緒方美穂子)

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http://rainbow-ribbon-net.org/category/mailmagazine/
▼YouTubeレインボーリボンの「PTAお助けチャンネル」
「学校との協働――ここまでできる!?PTAの教育ソリューション」
今回は葛飾区立花の木小学校前PTA会長の風巻宏さんにお話を伺いました。
https://www.youtube.com/watch?v=WC0tLyIF_70
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 ●寄付サイトGiveOne こども食堂・フードパントリープロジェクト
https://giveone.net/supporter/project_display.html?project_id=20483