レインボーリボン メールマガジン 第126号 岩を穿つ子どもたちの「リアル・ボイス」

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■■  レインボーリボン メールマガジン 第126号
■■   岩を穿つ子どもたちの「リアル・ボイス」
  2024/9/30
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東京都葛飾区を拠点とするNPO法人レインボーリボンの活動報告、代表の緒方の思いをお伝えするメールマガジンを毎月、月末にお届けしています。

今月は地元の中学校で全3回の「いじめ防止教室」を実施させていただきました。
ブログで簡単に紹介しております。
https://rainbow-ribbon-net.org/blog/20240905ijime/
https://rainbow-ribbon-net.org/blog/20240919ijime/
ブログに書いた「いじめ加害者という立場」からの「解放」を予感させるストーリーは、胸を締め付けられる思いで読みました。中学生にとって「いじめ」はどこか遠い世界の話ではなく、現実に日々苦しんでいる自分の問題なのだと、改めて痛感しました。
「いじめ防止教室」は「人との交流安全教室」。
「交通安全教室」のように、すべての子どもたちに「人との交流安全」のスキルを伝える教育が普通に、全国で実施される日が日本にも来ることを願っています。

今月は奇しくも「中学生」について考える機会が多く、「中学校内の居場所サミット2024」にも行ってきました。
https://rainbow-ribbon-net.org/pta/20240916ibasyo/
近年、「不登校対策」として様々な「居場所」のあり方が検討、試行されています。
実は私が「居場所サミット」に出かけたのも、かつしか子ども・若者応援ネットワークとして来年3月に開催を予定している「葛飾のこども・若者はいま――不登校30万人時代のリアル」という講座の内容を考える上で参考にしたかったためです。
3月の講座に向けて、葛飾区の中学生の声も取材中です。

11月に開催される「子どもの権利条約フォーラム2024 in 東京」のプレイベントとして、家や学校、よく行く場所、住んでいるまちなどで、子どもがふだん「なんかイヤだな」「なんかおかしいな」と感じている「モヤモヤ」を実行委員会が募集しているのですが、これまでに集まった子どもの声がインスタグラムで公開されていて、とても興味深いです。
https://www.instagram.com/kodomoya_crcc/
「小学校の休み時間が5分しかない」って、確かにイヤだよね、おかしいよねと気づかされたり、「世界大戦にならないか不安」(17才)、「政治はちゃんと機能しているのか」(12才)という声にドキリとしたリ、「子どもだからって嫌だと言うなとか、それって違うんじゃないかと言うと怒られたり叩かれたり…」(13才)という声に、私自身、中学生の時に「大人は子どもの正論に太刀打ちできない時に『生意気言うな!』って言うんだよな…」とガッカリしたことを思い出しました。

認定NPO法人3Keys は10代の子どもたちへの支援に長年取り組んでいる団体です。
https://3keys.jp/
虐待や貧困、不登校といった問題を抱えて家や学校、地域に居場所がない子どもはもちろん、そうした大きな問題を抱えていなくても、今の思春期世代の子どもたちは、親の期待やSNSなどを通じた友人との過剰なつながりの中で、ひとりでゆっくり過ごせる時間がないといいます。
同団体は「非交流・非プログラム」で「何もしなくても良い」10代の居場所を運営しており、こうした取り組みに行政を巻き込み、全国に広めるためのクラウドファンディングに挑戦しています。
https://congrant.com/project/3keys/12575
3keysの 10代向け支援サービス検索・相談サイト「Mex(ミークス)」は年間100~200万人に利用されていて、2023年に子どもたちに最も多く検索されたキーワードは「行ける居場所」だったそうです。
https://me-x.jp/
代表の森山誉恵さんによると、同サイトで「死にたい」といった声が寄せられた場合、当初は相談窓口などにつなげていましたが、そこからほとんどの相談者が窓口へは向かわず、「Mex」からも離脱してしまったそうです。相談=解決には必ずしもならず、生きづらさを抱える10代は相談窓口より、家から出て過ごせる場所の情報や、学校を安全に休める方法を求めているということです。

私も「いじめ防止教室」では「大人に相談しよう」と呼びかけるのですが、それはかなりハードルの高いことだよなあと思ったり、勇気を出して相談した子がかえって傷つけられなければいいけど…と心配だったりします。

今月、新刊本の『虐待経験者たちのREAL VOICE 親が悪い、だけじゃない』(山本昌子 角川書店)を読みました。本の基となったドキュメンタリー映画『REAL VOICE』もU-NEXTで観ました。
YouTubeでも公開されています。
https://www.youtube.com/watch?v=R8LhlmtvBMs
書名の「親が悪い、だけじゃない」はどういう意味だろうと、今も考え続けています。
傷ついた子どもの心にあるものはそんな単純なものではないという意味なのか、児童虐待という社会問題の原因は「親」以外にもあるという意味なのか…。その両方なのかな。

私たちはみんな、かつて子どもだったのに、大人になるにつれて子ども時代に感じていた息苦しさを忘れ、子どもたちの権利を押しつぶす側の人間になってしまっているのかもしれません。
大切なことを忘れないように、「岩を穿つ雨垂れ」の声にいつも耳を傾けていたいと思います。
(代表・緒方美穂子)

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▼YouTubeレインボーリボンの「PTAお助けチャンネル」
「学校との協働――ここまでできる!?PTAの教育ソリューション」
今回は葛飾区立花の木小学校前PTA会長の風巻宏さんにお話を伺いました。
https://www.youtube.com/watch?v=WC0tLyIF_70

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