レインボーリボン メールマガジン 第128号 幸せが100年続きますように

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■■  レインボーリボン メールマガジン 第128号
■■   幸せが100年続きますように
  2024/11/30
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東京都葛飾区を拠点とするNPO法人レインボーリボンの活動報告、代表の緒方の思いをお伝えするメールマガジンを毎月、月末にお届けしています。

レインボーリボンの活動拠点である葛飾区青戸には玩具会社のタカラトミーがあり、青戸商店会連合会が毎年この時期、リアル人生ゲーム「まちあそびin葛飾人生ゲーム」を開催しています。
https://www.machiasobi-aoto.com/

商店会連合会の会長さんは葛飾区青少年育成青戸地区委員会で一緒に活動している仲間で、レインボーリボンのメンバーもリアル人生ゲームの受付など、地域ボランティアとして協力しています。
先月は青戸地区委員会主催の「なかよし運動会」もありました。
地域の運動会も少なくなっている時代、この町は子どもの笑顔のために大人が一生懸命な町だなあと感じます。

そんな温かな空気に浸っていたのですが、先週の「あおとこども食堂」では会場の外で遊んでいた子どもたちが団地住民に「うるさい、帰れ」と怒鳴られてしまい、幸せな気分は雲散霧消してしまいました。
「あおとこども食堂」はUR青戸第一団地の集会所を借りて実施しています。
集会所に隣接するグラウンドで子どもたちはボールを蹴ったり、鬼ごっこをしたり、こども食堂開催時間の午後3時から5時までテンション高く遊んでいるのですが、今までも度々、グラウンド横の棟に住む高齢男性に「うるさい」と怒鳴られていました。今回、グラウンドまでやってきて「あなたたち、何号棟?」とクレームを言って来たのは中年の女性でした。

私が「子どもにも遊ぶ権利があるので…」と割って入ると、その女性は「こっちには高齢者も障がい者もいるのよ。うるさくて寝れないのよ」と言います。「そこを話し合って」と言っても、子どもたちを指さして「あなたたち、ここの住民なの?税金払っているの?」とまくしたてます。最後は「帰れ、二度と来るな!」…。
遊ぶ権利を行使するためには住民として家賃を払っているとか、税金を払っているとか、何か条件が必要だと言うのでしょうか。だとしたら、「子どもの権利」の全否定です。
私が「あなたも子ども時代は遊んだでしょ?」と訊くと、彼女は即座に答えました。
「遊んでないわよ!私は週5日、習い事をしていました」。

この人の中で教育は失敗している…と感じた一言でした。
教育学者の苫野一徳さんの言を借りれば、教育とは「生きたいように生きる」自由を身につけるためのものであり、自由に生きるためには他者の自由も尊重しなければならず、互いを尊重し合い、折り合いをつけながら民主的な、平和な社会を作っていくことを目的としています。

私は苫野一徳さんの「自由の相互承認」の感度を磨く、それが公教育の使命であるという説が大好きです。
「教育」という言葉には上から何かを教え込まれる、従わされるといった負のイメージを持っていたのですが、苫野さんの説に出会ってからは、「教育」や「学校」をフラットに考えられるようになった気がします。
自分の子ども時代を思い出してみると、子どもが意見を言うことを褒めてくれる先生がいた時の記憶は幸せなものだったし、教師の立場を利用してパワハラ、セクハラをする先生が担任だった時の記憶は今でもトラウマとして残っているくらい不幸でした。

今の子どもたちは幸せか不幸かと考えたら、「子どもの権利」がようやく尊重されるべきものとして国の政策にも反映されてきたという意味では幸せですが、遊ぶことを「権利」として主張せざるを得ないほど、遊ぶ場所も時間も奪われているという意味では不幸だと思います。

葛飾区は昨年、児童相談所の開設と同時に「葛飾区子どもの権利条例」を施行し、年度末の3月には「子ども・若者や子育て支援の視点を区政全般に反映した総合的なまちづくりを推進」するとした「葛飾区子ども・若者基本構想」を策定しました。
来月早々からは「葛飾区子ども・若者総合計画」と「葛飾区社会的養育推進計画」の素案に対するパブリックコメントの募集が始まるそうです。
葛飾区はいま、こども政策のラッシュ期到来といった様相です。

今月、博報堂のシンクタンク「100年生活者研究所」がタカラトミーと「100年人生ゲーム」を共同開発したというニュースもありました。
https://www.hakuhodo.co.jp/news/newsrelease/112839/
人生100年時代、お金持ちになることを目的とするのではなく、幸せになること、「ウェルビーイングポイント(=ウェルポ)」を集めることを目的とするゲームだそうです。

「100年生活者研究所」によると、アメリカ・中国・フィンランド・韓国・ドイツ各国では、「生きたい年齢=希望寿命」が平均寿命よりも5~15年高かったのに対し、日本は希望寿命が3.2歳下回ったそうです。
「100才の人は幸せそうに見える」という設問に「そう思う・ややそう思う」と答えた人は、他国では40~60%近くいましたが、日本では21・1%。
日本は幸せに100年生きることが難しい国のようです。

こども政策ラッシュの今の機会を逃さず、子どもたちが遊びの中で多様性を受け入れ、折り合いをつけ、自分も他者も尊重しながら楽しく人生を歩んでいける力を育める社会に、私たち大人の責任で変えていかなければ…と思っています。
(代表・緒方美穂子)

▼レインボーリボンのフードパントリーがNHKの取材を受けました。WEB記事の最後の方で詳しく紹介されています。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20241115/k10014639271000.html

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