レインボーリボン メールマガジン 第134号 大人ができることは、傷つけないこと、愛すること

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■■  レインボーリボン メールマガジン 第134号
■■   大人ができることは、傷つけないこと、愛すること
  2025/5/31
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東京都葛飾区を拠点とするNPO法人レインボーリボンの活動報告、代表の緒方の思いをお伝えするメールマガジンを毎月、月末にお届けしています。

PTA研修の季節が始まりました。5月9日に川崎市川崎区で、27日に東京都文京区で「PTA広報のミッション&ノウハウ」研修を実施させていただきました。
https://rainbow-ribbon-net.org/pta/20250509-27pta/
5月はまた、「総会」の季節です。
レインボーリボンは第11回定期総会を開催し、昨年度の振り返りと今年度方針を話し合いました。
「総会」と言っても結成当初から変わらず、約10人の「ママ友」を中心としたこじんまりとした会です。11年目ともなると孫のいるメンバーもいて、だんだんママ世代でもなくなってきました。
私もPTA研修で「先生」と呼ばれてもおかしくないような貫禄(?)がついてきたかもしれません。

世代交代ができると良いのですが…。
レインボーリボンに多大なご寄付をくださるある方が、定期的に事務所を訪ねてきてくださるのですが、今回は特にこの点を強く指摘されました。
あなたが倒れたらもう終わりですか?いま支援している人たちはどうなるの?

毎週土曜日、こども食堂またはフードパントリーの開催場所に欠かさずやってくる小学2年生の子の顔が浮かびます。
レインボーリボンがなくなったって生きていけないことはないだろうけど、土曜日はどうやって過ごすんだろう?土曜日に何かを発散したり、いろいろな人と関わったり、泣いたり笑ったりする体験がなくなってしまったら、その他の曜日がもっとつまらなく、生きづらくならないだろうか…。

その子がレインボーリボンの運営する「居場所」に来るようになって、もう4年。
コロナ禍の真っ最中、物心ついた時はお母さんと2人きりの生活だったと思います。コロナが少し落ち着いて、私たちの「居場所」も再開し始め、地域のたくさんの子どもたちが集うようになりましたが、その子は「人との距離感」をつかみかねていたような気がします。
自分よりも小さい子に力加減なく接触したり、終了時間が過ぎてもボランティアさんに甘え続けたり、お母さんに叱られると大暴れしてしまったり…。
そんな「困った」子を見ると、なるほど、この子は「困っている」んだなと理解する感度は、こども食堂を運営していて身につけました。
「困った行動」には「やめてね、謝ってね」「もう終わりだから帰ってね」「落ち着いてね」と説得しつつ、その子の「遊びたい」「可愛がってほしい」という願いには、最大限、応えられるように努力してきました。
大人にとって都合の良い、聞き分けの良い子どもに矯正したいのではなくて、自分は大切にされている、愛されているという確信をもってほしいのです。その安心感、自己肯定感があれば、子どもは自分の力で自分の人生を歩む、立派な大人に成長していけると思います。
子ども自身の力で。
私たち大人ができることは、その子を傷つけないこと、愛することしかありません。

子どもが自己肯定感を育めるような「居場所」がたくさんできることを願って、7年前から葛飾区内の子どもの居場所運営を連携支援する「かつしか子ども食堂・居場所づくりネットワーク」も引っ張ってきました。
そのネットワークの年に1回の総会にあたる「運営委員会」も今月、開きました。
https://katsushika-kodomoshokudou.net/2025/05/13/20250513unneii/

ネットワークは2018年発足当初の6団体から2019年10団体、20年14団体、23年21団体、24年は22団体と、数としては右肩上がりに増えてきました。
しかし、この間、活動をやめてしまう団体も、利用者からのクレームによって問題が明らかになった団体もありました。
今回の運営委員会では、子どもの居場所の運営者は、「子どもの貧困」という社会問題に関心を持ちながら、誰もが自分の居場所を見つけられる開放された場を理想とし、そこに来る子の中に「困難」を抱えた子どもがいたら見逃さず、見守り、必要なときは行政や専門機関につなげられるように、しっかりとアンテナを張る――という基本、ネットワーク活動の「初心」を確認させてもらいました。

こども食堂やフードパントリーをやっているということで、何か慈善活動のような「いいこと」をしているという自己満足に陥っていないか、本当に子どもの顔を見て、声を聴いて、子どもの願いに応答しているか、子どもの居場所を運営する大人は常に振り返るべきだと思います。

「何々をするべき」という表現は好きではありませんが、人様からご寄付をいただいたり、行政や企業の助成金をいただいたり、何よりも子どもや親御さんに信頼してもらって成り立っている活動なのですから、責任があると思うのです。

レインボーリボンは信頼をいただいて、責任を引き受けてきたからこそ、やめられなくなっているわけですが…。
これからも継続し、若い世代に引き継いでもらうためには、今の事業規模では無理だなあと思います。お給料も社会保険もちゃんと保証できる団体になるためには、自主事業だけではなく、行政委託事業も受注できるような規模にならないと…と、考えていたのですが…。

最近、あるセミナーで出会った方は、行政委託の「子どもの居場所」を運営しているNPO法人の人でしたが、そのNPOは法人化から22年だと言っていました。
「地域で目の前の子どものために必要なことをやっていたら、行政にも信頼されるようになって」と。
なるほど、今やっていることを大きく飛躍させようとしなくても、そういう継続の仕方もあるのだなと、少し肩の力が抜けました。
(代表・緒方美穂子)

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https://giveone.net/supporter/project_display.html?project_id=20483