レインボーリボンメールマガジン第48号「学び、夢見て、生きていこう」

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■■  レインボーリボン メールマガジン 第48号
■■   学び、夢見て、生きていこう

2018/3/31
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3月はたくさんの人と出会う機会があり、今回初めてメルマガを送信させていただく方も多いです。

3月2日、NPO法人豊島子どもWAKUWAKUネットワークの栗林知絵子さんにお声掛けいただき、「子ども食堂をまちのプラットフォームに」と題した合宿研修初日に参加しました。

全国各地から熱き情熱あふれる子ども食堂運営者が集結し、なんと、代々木の青少年オリンピック記念センターでのお泊り合宿でした。私は2日目、立ち上げたばかりの「こどもカフェ@なぎ」の開催日だったため初日のみの参加でしたが、全国の同志との出会いにモチベーションはものすごくアップしましたし、研修全体の講師、NPO法人コミュニティ・オーガナイジング・ジャパンの室田信一・首都大学東京准教授の講演もとても興味深いものでした。

2日目のワークショップでは、自ら体験したことを話し、体験からの学びをみんなで共有する「ストーリー・オブ・セルフ」という実践があったそうで、せんだいこども食堂代表の門間尚子さんが臨場感あふれる報告をしてくれています。

NPO法人コミュニティ・オーガナイジング・ジャパン

http://communityorganizing.jp/workshop/voice/sendaikodomosyokudo/

この合宿の翌週、3月11日は言うまでもなく東日本大震災7年目。日曜日のこの日、葛飾区ではランフェスタなどイベントも目白押しでしたが、社会福祉協議会・地域貢献活動サポートデスク主催のシンポジウム「こども食堂のこれまでこれから」に多くの方が参加してくださり、私は前週に続いて栗林さんにお会いできました。

栗林さんの講演は今まで何度も聞きましたが、この日は「ストーリー・オブ・セルフ」、つまり、栗林さんが子ども食堂を立ち上げ、それを全国に広める活動を始めた原点を初めて伺いました。

プレーパークに遊びに来る子どもたちの中に「車で生活してたんだよ」「食べ物ちょうだい」という子がいたこと。家族で食事をした経験がない中学生、でも、その中学生は地域の支えの中で高校に進学し、就職し、今は納税者となっているというストーリーです。

私もパネリストとして栗林さんの横に座り、レインボーリボンのストーリーを語りました。

司会者から子ども食堂を始めたきっかけを問われ、2014年に栗林さんが出演したNHKの「あさイチ」が忘れられなかったからと答えました。――あの、いのっちと有働アナの「あさイチ」も3月いっぱいで終わりなのですね。

さらに司会者から「最初に取り組んだことは何ですか」と問われ、「勉強です。子どもの貧困について本を読んだり、栗林さんの講演を聞きに行きました」と答えました。何事も最初は、学びです。

このシンポジウムの3日前、8日に葛飾区で「子ども食堂ネットワーク」を立ち上げるための第1回相談会を開催しました。

やはり地域貢献サポートデスクが昨年9月に企画してくれた「一緒に子ども食堂やりませんか」という講座の参加者を中心に40数名が登録している「かつしか子どもの居場所メーリングリスト」を現実世界のネットワークに発展させようという趣旨です。(メーリングリストは3月11日のシンポでさらに登録者が増え、60人になりました!)

この相談会で6人の世話人を選出し、27日には第1回世話人会を開きネットワークの目的、活動内容などを話し合いました。

世話人の一人が、8日の相談会で参加者一人ひとりが「名前と所属、いま、何している?(仕事、活動など)、課題、あるいは夢(今後こうしたい、こんな悩みを抱えている、ここに来た動機)、自己アピール(こんな仕事ができます、こういう立場でお役に立てます)」を語った「3分間自己紹介」がとても良かった、すでにネットワークを作っていたと、私の進行を誉めてくださいました。

考えてみると「3分間自己紹介」は、ストーリー・オブ・セルフでしたね。

今回、ネットワーク立ち上げに力を貸してくださっている人たちは、区内で子ども食堂や子どもの居場所を運営している団体・個人、これから子ども食堂を開設しようとしている団体・個人、ボランティア参加している人、しようとしている人たち・・・だけではなくて、実は、障がい者自立支援、生活困窮者自立支援、海外の紛争地などでの難民支援、自然体験などの持続発展教育の実践者など、幅広く、しかも専門性の高い分野で活躍されている人たちです。

そして、何といっても「強み」は、区の教育委員会生涯学習課の職員さんが強力にバックアップしてくれていることです。

生涯学習課の職員さんには、レインボーリボン立ち上げの頃からお世話になっています。

レインボーリボンがまだ「PTAのママ仲間」だった頃、外国人の保護者と共に多文化共生のPTA作りに挑戦しているという話に興味を持ってくださり、応援してくれた、生涯学習課の小菅哲朗さん。

悲しいことに、2013年8月にご病気のため、若くして他界されてしまいました。

ある集会での私の発言に関心をもってくださって、「ちょっと話を聞かせてよ」と区役所に呼び出されたのは10年以上前のことです。小菅さんは聞き上手で、私は夢中になって喋り続け、ようやく生涯学習課を辞して時計を見たところ、「3時間・・・」と驚いたことを思い出します。

小菅さんが引き出してくれたストーリー・オブ・セルフが、レインボーリボンの原点なのです。

葛飾区の子ども食堂ネットワークはまだ実態はありませんが、次々年度くらいには子ども食堂のためのフードバンクを立ち上げたい、という大きな夢を抱いての出発です。

豊島子どもWAKUWAKUネットワークと全国版のこども食堂ネットワークが毎年開催している「こども食堂サミット」で、一昨年、事例紹介された福岡県のNPOの取り組みが目指すべきモデルです。

ふくおか筑紫フードバンク

http://chikushifoodbank.net/

小菅さんはじめ、社会教育主事という専門職の方々が私たちの取り組みを応援してくれるバックボーンが「生涯学習」という理念であることは、偶然ではないと思います。

学び、夢見て、実現に向けて努力していく。まさに「生きる」ということであり、人間社会を創っていく営みそのものです。

いつものメルマガはこのくらいで終わるのですが・・・、今月は超長文になってしまいますが、やはり付け加えておかなければならないことがあります。

3月28日、葛飾区いじめ調査委員会(第三者委員会)が最終報告書を区長に答申しました。

http://www.city.katsushika.lg.jp/information/1000088/1011164/1017529.html

2014年4月9日、当時中学3年生だった区立中学校の男子生徒が自死しました。

その日、部活動でチーム編成について話しあっていた時、男子生徒は黙り込み、動かなくなったそうです。複数の生徒が彼に霧吹きで水をかけ、ピンポン玉をあて、ズボンを下ろそうとしたそうです。

翌日、学校は全校集会で「不慮の事故」と説明しました。息子を亡くしたご両親は6月4日、学校に対して生徒からの聞き取り調査を要請します。12月1日には教育委員会に再調査を要請しましたが、教委は「いじめではない」と回答し、翌年2月以降、両親の代理弁護士と教委とのやりとりが続きました。

この間、教委は「自殺ではなく、過失による転落事故」「いじめを想定して調査を行っているが、本人からの聞き取りが不可能であるため、当日の状況でいじめであったのか、その場限りのからかいであったのかの判断ができなかった」等、回答しています。

9月、代理人弁護士が区長に再調査を要請。11月、教委は「死因は事故ではなく、自殺」「いじめと評価しうる行為」と見解を改めました。

2016年4月、いじめ防止対策推進法による調査委員会(第三者委員会)が設置され、今年まで19回に及ぶ会議を開いています。

28日の答申を読んで、愕然としました。

「いじめを原因とした自死ではない」という結論でした。

「生徒たちは無反応になった当該生徒を窓際に移動させ、霧吹きで水をかけ、(中略)これらの行為は生徒たちの間でふざけている行為として日常許容されているという共通認識の下、当該生徒を覚醒させる目的で行われた行為であり、社会通念上いじめと評価できない」。

なぜ、このような結論になったのか、答申の前半に理由が書かれています。

「調査委員会に求められる調査は・・・(中略)・・・いじめに該当するのであれば、関係者に対してどのような指導を行う必要があるかどうかという現実の対応に影響を与える・・・(中略)・・・あえて法律上のいじめの定義をそのまま当てはめることはせず」・・・

つまり、生き残っている、ピンポン玉を当てたりズボンを下ろそうとした生徒たちをおもんばかって、いじめの定義をいじめ防止対策推進法よりも甘く見積もったということです。

「教育的配慮」でしょうか。

友だちが黙り込んで動かなくなった、表情がなくなった、そういう場面に遭遇したら、これは異常事態だと気づくこと。その場の安全管理責任者、つまり先生に通報すること。

ふざけただけ、からかっただけ、それが相手の命にも関わることがあるのだという教訓。

すべての子どもたちに伝え、「いじめ」をなくすために行動を変えようと呼びかけたいです。

生き残った者は、学び、夢見て、いじめのない世界を実現するために、生きていくしかありません。

(代表 緒方美穂子)

▼子どもの性被害相談アプリ「ne-ne(ねーね)」(NPO法人ライトハウス)

このアプリからマンガ「Blue Heartブルー・ハート」の電子版を読むこともできます。

女の子も男の子も、匿名での相談も可能。

相談アプリne-ne:https://s.lhj.jp

▼レインボーリボンでは子どもに提供する1食分の食材費300円を1口として、年間12口3600円の寄付(こども食堂の1食オーナー)を募っています。

口座名義:特定非営利活動法人レインボーリボン

●郵便振替口座:00170-7-449974

●りそな銀行 青戸支店(店番号470)普通預金1520535

ご寄付くださった方はお名前、連絡先を下記レインボーリボン宛てにお知らせください。

「レインボーリボンのこども食堂通信」へのご芳名記載の諾否もお知らせいただけますと幸いです。

▼レインボーリボンのホームページ
http://rainbow-ribbon-net.org

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