レインボーリボン メールマガジン 第101号 どんな子どもも、親も、見捨てない。
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■■ レインボーリボン メールマガジン 第101号
■■ どんな子どもも、親も、見捨てない。
2022/8/31
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毎月末、NPO法人レインボーリボンの活動報告と、代表、緒方の思いをお伝えするメールマガジンです。
8月も気持ちを塞ぐ大変なことがたくさんありました。
なので、明るい話題から始めたいと思います。
今月、フードパントリー利用者からもらった嬉しいメッセージをご紹介します。
「いつもお世話になっています。
やっと就職が決まり、少し自立の目処がたちました!
離婚して1番苦しかった時に助けて頂いた御恩は一生忘れません。
ありがとうございました!」
もうお一人。
「昨日、2年半の調停に決着がつき、無事に離婚が成立しました。
まだまだ長引き裁判になりそうだったので…(中略)
とりあえず、(子どもが)小学校に入学する前に離婚ができて一安心です。
今後とも、よろしくお願い致します!」
フードパントリーの利用者はほとんどがひとり親家庭ですが、DVの加害者から逃げて怯えて暮らしているとか、相手が離婚や親権、養育費支払いに同意してくれないとか、様々な事情を抱えていらっしゃいます。
形の上では両親夫婦がそろっていても、生活費を渡してもらえない経済的DVを受けている人の場合は本当に辛いだろうなと思います。子どもが小さければ仕事に就くのは難しいし、保育園にも入りづらい。子どもが大きくなるにつけ、進学や進路が心配でますます離婚は難しく、経済的自立も遠のいていってしまいます。
何よりも周囲に理解されない孤独感、孤立が辛いだろうなと思います。
困難家庭、困窮、孤立する人は一人ひとり様々な個別の事情を抱えていて、現実的に食べるものがないとか、友だちと同じような学校行事や社会活動に参加する機会がないとか、直接的な目の前の苦難もあれば、それを周囲に理解されない、差別される、攻撃される、自己防衛のためにますますSOSが出せなくなるといった、将来にわたる「負のスパイラル」に陥りがちです。
特に、子どもの場合。
理不尽な仕打ちにあったときに、怒りをコントロールしながら、正当な権利を主張するなんて、そんなことは大人にとっても難しいことです。
突飛な形で感情を爆発させたり、ストレス発散のための非行に走ったり、あるいは思春期以降になると自分の内面に深く溜めこんで、自死や、社会に対する破壊的な行動によって苦しみを終わらせようとするかもしれません。
我が子を虐待してしまう親もまた、そのような子ども時代を過ごした人であったり、DV被害の渦中にいる人であったり、虐待行為の背景には「負のスパイラル」があるはずです。
今月、こども食堂実践者の会の仲間がFacebookで紹介していたので、「ゆずりはのジャム」を注文しました。
https://yuzuriha.theshop.jp/
ジャムと小冊子『はじまりのことば――目黒女児虐待死事件を考える』のセットで購入しました。
アフターケア相談所「ゆずりは」の高橋亜美さんは、「かわいそう」という言葉は時に真実を見えづらくすると書いています。
「必要なのは誰も責めることのない はじまりのことば」だと。
私にとって「はじまりのことば」は何だろうと考えてみると、天童荒太さんの絵本のタイトル、「どーした、どーした」だなあと思いました。
3年前のメルマガで書いたものです。
子どもの身体に痣を見つけたら、「どうした、どうした」と訊きます。
中学生が飲酒喫煙をしていたら、「どうした、どうした」と心配します。
今月、「自称「子ども食堂」で中学生に酒を飲ませる 容疑で運営の男を逮捕 那覇署 沖縄」というニュースがありました。
https://news.yahoo.co.jp/articles/4dbfcead131ac207f61c6b6455d4334e4f9e66bf
この件の事実関係を知る立場にはありませんが、悲しかったのは、自分はこども食堂の応援団だと、それこそ「自称」している有識者が、「報道を受けて、大変驚くとともに、強い憤りを感じています」と簡単に言い捨てたことでした。
こども食堂や子どもの居場所を実践していくと、始めるまでは想像もできなかった「ドラマ」に直面します。「ドラマ」は「トラブル」にも見えます。その子ども、あるいは親に「はじまりのことば」をかけることができるのかどうかによって、多様性を受け容れ、困難を抱える人に寄り添う居場所なのか、それとも規律や常識を乱す者は排除する、自己満足的な偽善の活動なのかが試されるのだと思います。
沖縄のこども食堂でどんな「ドラマ」があったのか、運営者はどう対応したのか、ネットニュースではまったく分かりません。
でも、こんなふうに運営者が警察に逮捕されることもあるんだなあと、怖さを感じました。
加えて、自称「こども食堂応援団」の有識者がこんなにも簡単に逮捕された運営者を切り捨てる姿にふれ、世間で「一般名詞」になりつつある「こども食堂」が、私たち実践者の思いとはかけ離れた思惑に利用されているのではないかという疑念が湧きおこります。
こども食堂実践者の会の仲間で、親子が一緒にいることに少し疲れてしまったときに子どもが無料でお泊りできる居場所を運営している人がいます。
以前、その方に愚問を発してしまいました。
「無料だったら簡単に子どもを預けちゃえっていう親もいるんじゃないですか?」
「そういううちの子にこそ、来てほしい!」
即答されて、恥じ入りました。
そうだ、そうだった。そういう子どもにこそ、来てほしいと思って、居場所を提供したいと思って、こども食堂を始めたんだった…。
誰一人取り残さない社会を目指して、私たちはどんな子どもも、どんな親も、絶対に見捨てない。
そんな覚悟を新たにした8月でした。
前号でお伝えした「Mさん」については、また次号以降、続報します。
(代表・緒方美穂子)
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