レインボーリボン メールマガジン 第118号 能登半島地震の被災者に心を寄せて

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■■  レインボーリボン メールマガジン 第118号
■■   能登半島地震の被災者に心を寄せて
  2024/1/31
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毎月末、NPO法人レインボーリボンの活動報告と、代表、緒方の思いをお伝えするメールマガジンです。

2024年は元旦の能登半島地震で幕を開けました。
想像を絶する現実に直面しながら、「1日1日を大切に生きたい」という被災者の言葉が胸に迫ります。
いまは現地で活動している団体への寄付という形でしか支援できませんが、私自身、2020年にコロナ禍で一斉休校となった時、学校給食がなければ1食も栄養のある食事がとれない子どもたちにお弁当を配り始めた頃、見ず知らずの人から送られてくるご寄付が本当に嬉しかった当時の気持ちを思い出しながら、心を込めて寄付をしています。

【「本当に必要な支援」問題】

29年前の阪神淡路大震災、13年前の東日本大震災などの経験を経て、現地で必要とされる物や人、マネジメントは日々変わるということ、被災者は多様であるということ、様々な知見が積まれてきました。
被災自治体や避難所で迷惑となるような物は送らないように、本当に必要な支援が現地に届くようにと願っています。

1月末のいま、水道の復旧が遅れていると報道されていますが、遅れている原因の一つは、マスコミ各社が宿泊施設などを一斉におさえてしまっていて、他自治体水道局からの応援部隊が現地に活動拠点を作りづらくなっている、という話も聞きます。
マスコミ各社も「本当に必要な報道体制」なのか、番組ごとに大量のクルーをおくるのではなく社としての代表取材体制にスリム化できないのかなど、もう一度考え直してもらいたいです。

「本当に必要な支援」問題は、こども食堂やフードパントリーの活動現場では度々議論となるテーマです。

先月12月13日、葛飾区社会福祉協議会のコーディネートで、区の関係機関とかつしか子ども食堂・居場所づくりネットワークとの交流会を行いました。
昨年度につづく2回目の開催で、こども食堂と行政が直接顔を合わせ、「こんなケースの場合、どの窓口につなぐ?」というお題で、仮想ケースについてグループ討論をしました。
葛飾区は「くらしのまるごと相談課」が新設されたので、ここにつなげばすべて「正解」ではあるのですが…。

今月はその交流会の振り返りと次年度開催に向けての話し合いを、くらしまるごと相談課、子育て政策課、社協の担当者と行いました。
こども食堂等の運営団体側から25名、行政等の関係機関側から15名、参加者40人からのアンケート集計結果では、会全体についてほぼ満足の結果が得られましたが、アンケートの最後に、こども食堂等の活動を行う上で課題と感じることをきいたところ、「本当に必要な支援を届けられているのか疑問」といった答えが複数ありました。

レインボーリボンは「経済的困難を抱える子育て家庭」を対象としたフードパントリーと、「誰でもおいで」のこども食堂を、隔週交互に毎週土曜日開催しています。
パントリー利用登録に際しては「経済的困難」を自己申告してもらいますが、証明書等は求めず、基本的に困難度の審査はしません。

先日パントリーにいらした方が「息子とケンカして、ストレスでメンタルやられた」と愚痴をこぼしながら、「ここに来ると安心できる。受け入れてもらえたと感じる」とおっしゃっていました。
その方はある程度の収入はあるのですが、障がい特性のために仕事が安定せず、また、半年ほど前に事故で大けがを負わされ、賠償請求のために苦労しなければならなかったという背景があります。この方にとっては「愚痴を言える場」、「子育てを支援してくれる場」が本当に必要なのだと思います。

同じ日のパントリーに、5才の男の子がお母さんと一緒に来ました。
この子はこども食堂ではいわゆる「手のかかる子」で、特に、自分より小さい子に暴力的なところもありボランティアが片時も目を離すことができないのですが、なんとこの日は、1才の女の子が親から離れてしまったのを見て、やさしく親御さんのもとに連れて行ってあげようとしていました。
5才は5才なりに成長するんだなあと、感嘆しました。

5才の子のお母さんは「育てづらい子」に苦労していると思います。
以前、こども食堂でとても荒れてしまった後、ようやく帰宅してからLineで心情を伝えてくれました。
「○○は、僕を落ち着かせるためにボランティアさんがこういうことをしてくれた、と話していました。辻褄はあいませんが、〇〇なりに自分が大切にされていると感じているようです。これからもどうかよろしくお願いします」といった内容でした。

私たちの「強み」は、外形的な基準ではなく、会話や表情、態度など、コミュニケーションを通してその人に「本当に必要な支援」に気づくことができるところにあります。

【こども食堂の運営と避難所の運営】

小なりといえども「場」を運営する者としては、そこに集う人びとの安全を第一に考え、人権が守られるように配慮する義務があります。
こども食堂では食品衛生、感染症対策、子どもへの暴力防止に最大限の注意を払っています。

能登の避難所でプライバシー確保が難しい状態があると聞くと、とても他人事とは思えません。
私たちが避難所生活をするときには、こども食堂の運営で得た経験はとても役立つと思います。

見た目では分からない障がいのある人に、合理的な配慮が必要であること。
例えば、発達障がいのある人には音や光、においなど、「我慢できないほど苦手」な困難があります。その人にとっての困難を取り除く合理的な配慮は「特別扱い」とか「わがまま」ではありません。
小さい子どもを抱えた親、障がいのある人、高齢者、それぞれに特別な支援が必要であること。
子どもや女性に対する暴力を許さない「運営ルール」と「環境的な配慮」が必要であること。

何よりも「子どもの権利」を掲げる私たちは、上から管理するとか、押さえつけるような場ではなく、子どもの声に耳を傾け、子どもが意見表明できる場を作ろうと努力しています。
「本当に必要な支援」は何か、こども食堂では子どもに聞くのが一番です。

避難所では、被災地では、どうでしょうか。
支援を必要としている人の声を聴き(コミュニケーション)、支援につなぎ(コーディネート)、運営する(マネジメント)…まさに「政治」の仕事だと思うのですが、政治はいま、何をしているのでしょうか…。
(代表・緒方美穂子)

▼YouTubeレインボーリボンの「PTAお助けチャンネル」
https://www.youtube.com/@PTA-rainbow-ribbon
第4弾「PTAイノベーションに成功する秘訣」3回シリーズの第1回「チャンスのつかみ方」を公開しました!

第2回「「イノベーションの肝はボランティア精神の徹底」も公開しました。

▼かつしか区民大学講座「児童相談所と虐待〜地域で『わたしたち』ができること〜」
葛飾区に児童相談所ができました。児相の機能を詳しく知り、悲しい事件を防ぐために私たちにできることを一緒に考えてみませんか?
日時:2024年2月18日(日)午後2時〜4時30分
会場:青戸地区センター
https://www.city.katsushika.lg.jp/event/1000106/1030458.html

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