レインボーリボン メールマガジン 第129号 2034年の未来日記
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■■ レインボーリボン メールマガジン 第129号
■■ 2034年の未来日記
2024/12/31
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東京都葛飾区を拠点とするNPO法人レインボーリボンの活動報告、代表の緒方の思いをお伝えするメールマガジンを毎月、月末にお届けしています。
毎年、年末の12月31日は活動報告ではなく、少し先の「未来日記」を書くことにしています。
今年の未来日記は10年後の2034年、こども食堂で談笑する3人の会話を描きます。登場人物3人は、2021年末のメルマガで描いた「2031年の3人」です。
2021年12月31日のメールマガジン「月と太陽と星の未来日記」
https://rainbow-ribbon-net.org/mailmagazine/mail-no93/
2031年の「月子」は68才という設定だったので、今回、2034年には71才になっています。
「陽介」は23才だったので、今回は26才。「遊星」は9才だったので、12才です。
【2034年の未来日記】
陽介:月子さんもいよいよ引退ですか…寂しくなりますね。
月子:な~に言ってんの!こども食堂の運営をやっと若い人に引き継げると思ったら、「こどもの家」の理事長って、何をするんだか分からないけど、とにかく責任とってくれればいいからって、わけの分からない役を押し付けてきたのはキミでしょう…!
陽介:アハハ、まあね。
遊星:もうすぐ完成だね、僕の施設の隣にできる家。まあ、施設も家みたいなものだから、僕は泊まりに行っても行かなくてもいいんだけど、学校の友だちが泊まりに来るときは行こうかな。友だちとお泊り合宿…楽しみ~!
陽介:遊星には設計の段階からいろいろと意見をもらって、感謝だよ。障がいのある子もない子も居心地よく過ごせる家ができたと思ってる。私みたいに自分が男か女か、人に決めつけられたくない人にとっても、トイレもお風呂も安心して使える設計にしたんだ。家庭に問題がある子も、ない子も、誰でも遊びに来られるんだよ。
遊星:障害のない家だね。バリアフリーだね。月子さんに教えてもらったんだよ。僕の足が「障害」なんじゃないって、僕が移動しづらい周りの環境に障害があるんだって。
月子:おお~、遊星、よく覚えていたね!嬉しいよ!
遊星:僕、来年は、児童会の会長に立候補する。僕の学校、もうすぐ立て替えなんだって。「こどもの家」に子どもの意見を言ったみたいに、学校にも子どもの意見を言うんだ。
月子:なるほど。児童会役員の選挙はいつなの?
遊星:来年、夏休みの前。
月子:あら!6年生になってすぐじゃない。選挙運動はちゃんとできるの?
遊星:オンラインの選挙運動と、自由参加の演説会が2回あるんだ。他の候補者への批判は禁止だよ。自分が当選したらみんなの周りの環境をこういうふうに変えたいんだっていう「政策」を、低学年の子にも分かるように工夫して発表するんだ。
月子:がんばってね~。みんなが幸せになれるように。たとえ選挙に負けても、遊星の考えが誰かに伝わったら、きっといつかは幸せな世の中をつくる力になるから。
陽介:遊星が児童会長になったらきっといい会長になると思うけど、でも選挙には勝ち負けがあるから、もし負けてもくじけないでね。
遊星:大丈夫。勝っても負けても学校の友だちだから。みんな、いい学校を作ろうっていう気持ちは同じだから。
月子:く~っ!どっかの国のエラい人に聞かせてやりたいね~!いやいや、世界中の権力者に聞かせたいよ!一番大きな権力持ってる人が、いい世界を作ろうなんて思ってないんだから。この地球がどうなったっていいと思ってるんだよ。自分たちだけ月だか木星だかに移住しようってさ。
陽介:月子さん、興奮すると血圧が…。
月子:そ、そうだったね…落ち着いて、落ち着いて、でも、怒りは忘れないよ。
陽介:月子さんの世代が「怒り」を言葉にしてきてくれたから、私たちは楽しいことを実現させる活動ができていると思います。
月子:私たちの前には言葉にできないほどの「怒り」を抱えた世代がいたわけで…、でも頑張って言葉にしてくれる人もいて、その思いをつないできたから、10年前には日本被団協がノーベル平和賞を受賞したり、ね。
陽介:あれからもう10年か…。日本も何度か政権が交代して、やっと核兵器禁止条約に署名したね。
月子:「使わせない」ために、ここまで何とか頑張ってきたよね、世界中のみんなが。核兵器が誕生してから来年で90年。100年になるまでに「廃絶」できるのかな…。
遊星:僕が大きくなって、廃絶させるよ!世界中の子どもたちの声を集めて。
月子・陽介:おお!頼もしい!
遊星:僕には子どもの声が聞こえるんだ。まだ小さくて親に殴られても何にも言えない子どもの声が聞こえる。言葉では自分の意見を言えない障がいがある子どもの声も聞こえる。隣の国から爆弾がどんどん飛んできて、家族がみんな殺されて、明日生きていられるかどうか分からない国の子どもの声も、聞こうと努力する、これから。
月子:うん、うん。そうだね、そうだね。
陽介:今度できる「こどもの家」ね、「国際こどもの居場所ネットワーク」に入っているんだよ。子どもには幸せに生きる権利があるけど、まだ小さい子とか障がいがある子、安全な地域で暮らしていない子は特別に保護しないと権利が守られないでしょ。法律的に保護する制度は国や自治体がこの20年くらいかけて整備してきたけど、実際にその子が愛情を受けて生活したり、その子にあった学びの環境を用意したりするには、私たちみんなの協力が必要でしょ?だからネットワークができたの。月子さんたちが作ってきた「こども食堂」のネットワークが役に立ったよね。
月子:私たちがやってきたことなんて、ホントに小さな地域活動だけど、若い人たちはすごいよ。あっという間に日本中どころか世界中の仲間とつながっちゃうんだから。今度の「こどもの家」にもアフリカの孤児を受け入れるんだよね。
陽介:そう。アフリカの言葉と文化を私たちが学びながら、その子に日本を受け入れてもらえるように頑張らないと。緊張もあるけど、ちょっと楽しみ。
遊星:僕がいるから大丈夫だよ。
月子・陽介:うん、うん。そうだね、そうだね!
【2034年の未来日記でした。】
今年もお世話になりました。皆さま、よいお年をお迎えください。
(代表・緒方美穂子)
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