レインボーリボン メールマガジン 第93号 月と太陽と星の未来日記
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■■ レインボーリボン メールマガジン 第93号
■■ 月と太陽と星の未来日記
2021/12/31
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毎月末、NPO法人レインボーリボンの活動報告と、代表、緒方の思いをお伝えするメールマガジンです。
年末の12月31日は活動報告ではなく、少し先の「未来日記」を書くことにしています。
今年は10年後の2031年の年末、こども食堂でご飯を食べながら談笑している3人の会話を想像してみました。
♪♪♪♪♪ 2031年12月のある日♪ こども食堂にて ♪♪♪♪♪
月子:今年も終わりだね~。国連のSDGsは去年をゴールに設定していたけど、まだまだ達成できていないことが多すぎるよね。
陽介:達成できてないってことが分かっただけでも、良かったと思うな。
遊星:エスディージーズって何?
月子:遊星くんが生まれる前に国連が決めた「持続可能な開発目標」だよ。
陽介:遊星も誰もかれも、み~んなが幸せに生きていける社会をつくろうっていうこと。
遊星:僕は幸せだよ。僕のお母さんも幸せだといいな。
月子:うん、今どうしてるだろうね。遊星くんが18才になったら面会できるんだっけ?
陽介:そう。私が子どもの頃はまだ日本に「こどもの権利基本法」がなかったから、子どもはどうしても親の支配下にあったんだけどね、今は子どもの権利が親の養育権よりも尊重されているの。
遊星のお母さんは一人で遊星を育てていたんだけど、疲れきっちゃったんだよね。
今は心も体も健康を取り戻せるように、ちゃんとケアを受けながら社会復帰の練習をしているから大丈夫だよ。その間、遊星は自分の部屋があって、栄養のある食事もあって、自分にあった勉強やスポーツや趣味を楽しめる環境が保障されているんだから、お母さんも安心していると思う。
遊星:うん。僕、施設の先生も友だちも大好き。
月子:良かったね~(涙)。
陽介:も~、月子さん、最近よく泣くよね~。
月子:加齢とともに涙腺も弱くなるんですよ。
陽介:女性は泣いても変な目で見られないからいいよね~。
月子:陽介は見た目、オトコだからね…。
陽介:オトコって言わないで!
月子:あ、ごめん。
陽介:いいけど、べつに。やっと職場でもトランスジェンダーってカミングアウトできたし。人に何と思われようと、けっこう平気になってきた。
月子:たくましくなったね。初めてこども食堂に来たときは折れちゃいそうだったけど。
陽介:10年くらい前かな。コロナ禍のときだったよね。私まだ中学生で。親に万引きさせられてた。
遊星:えっ!
陽介:うちの母親はね、オトコをとっかえひっかえ、私の下に弟や妹が4人もいるんだけど、全員父親がちがうんだよ。母はあんまり家にいなかったな。物心ついたころから私が弟たちの面倒を見ていたの。まともな食事にありつけたのは給食だけだったよ。母はたまに家に帰ってくると機嫌が悪くてね、私に万引きして来いって。ひどいでしょ?
ある時、警察に連れて行かれて、それから家に帰されて、その時からだったよね、市の子ども家庭センターの人がこども食堂のことを教えてくれたの。
月子:コロナ禍でね、一緒にご飯を食べることはできなかったんだけど、お弁当やお米やレトルトなんかを持って帰ってもらったんだよね。
陽介:ものすごい量で、びっくりした。
月子:でも、次に来た時には「もっとください」って言われて、こっちがビックリしたよ。
陽介:万引きして来いっていう親だもん。お米2キロもらったら、次は5キロもらって来いって言うに決まってるでしょ。
月子:最終的には毎月30キロくらい、持って行ってたよね。
遊星:サンジュッキロ?
月子:まあ、6人家族の1か月分のお米と考えると、そのくらいかな。でも、陽介のおうちは生活保護も受けていたし、児童扶養手当だって入ってたはずだし、私たちが困窮家庭に渡していたお米は善意の寄付でいただいた物だから、こういう家庭に渡しちゃっていいのか、実際、すごく葛藤があったよ。
遊星:カットウ…?
月子:悩むこと、迷うこと。
陽介:でも、月子さんたちが食料をくれなかったら、また万引きさせられてたから…。
月子:そうなんだよね~。
陽介:10年前の自分は親から離れて生きていけるとは思っていなかったから、その時の自分を支えてくれて、月子さんたちにはホント、感謝してる。
月子:食料を渡してただけだけどね。当時はSDGsの一環で食品ロスを削減するフードドライブも盛んになっていたし、「コロナ禍で苦しむ子どもたちを救おう」って寄付してくれる人たちが本当に多かったし。
陽介:2020のはずだったオリンピック・パラリンピックが2021になって、いろんなことが転換した年だったな。パラリンピックの「We The 15」っていうメッセージは強烈だった。全人口の15パーセントは何らかの障がいを持っているって。当時は自分も障がい者じゃないかっていう恐怖心みたいなものに押しつぶされそうだったけど、パラリンピックの選手を見ていたら、障がい者って全然恥ずかしいことじゃないって思えた。もしもその中に自分も入るんだったら、すごく誇らしい、胸を張って「We The 15」って言いたいって、考え方が180度変わった。
月子:そうだったんだ。確かに、オリパラの頃から「多様性」が尊重される世の中に変わってきたかな。
陽介:まだまだ。「性の多様性基本法」ができるまで私はがんばるぞ。国籍や人種の多様性だって、10年くらい前にスリランカ人のウィシュマさんが名古屋入管で亡くなった後もこの国では…。
遊星:タヨウセイって何?
月子:みんな違ってみんないいってこと。
遊星:ダメだよ。
2人:え?
遊星:子どもが分からない言葉で子どものことを決めちゃダメなんだよ。
月子:なるほど。遊星の学校では子どもが校則を決めるんだよね。
陽介:それも10年ほど前に始まったムーブメントだよね。ルールメイキング・プロジェクト。経産省がコロナ禍でも学びを止めない「未来の教室」を始めて、そこにNPOやプラットフォーマーが協働して「みらいの校則」を広めた。あ…、遊星には難しい?
遊星:難しいけど、嫌な気持ちじゃないよ、いま。子どもはいつでも自分の気持ちを言っていいんだよ。
月子:そうか、ごめん、SDGsは誰も取り残さない社会なのに、ずっと遊星を取り残して話してたね。で、今の遊星の気持ちは?
遊星:カレーをお替わりしたい。それから、外で遊びたい。
月子:うんうん、ボランティアのおじちゃん達が作る豆カレー、最高だからね!お替わりしておいで。それから、暗くなるまで思いっきり遊んでおいで!(涙)
2人:また泣く~(笑)
♪♪♪♪♪ 2031年12月ある日の物語、いかがでしたか? ♪♪♪♪♪
10年後にまだ人類が生きて、こんな会話を交わしていられるように、2022年もなるべく節電したり、戦争に反対したり、困っている人を助ける活動を続けていきたいと思います。
皆さま、良いお年を。
(代表・緒方美穂子)
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【ご参考】さとふる「ワンストップ特例制度」入門ガイド
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