レインボーリボン メールマガジン 第81号 SDGs 持続可能な未来の物語

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■■  レインボーリボン メールマガジン 第81号
■■   SDGs 持続可能な未来の物語
  2020/12/31
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毎月月末、レインボーリボンの活動報告と代表・緒方の思いをお届けするメールマガジンです。
1年最後の大晦日は、未来日記を書くことが恒例となっています。
今年の最後は、今日から10年後、2030年の未来日記を書いてみたいと思います。

★☆★☆ ここからは2030年、20歳の大学生、サヤカの物語です。 ★☆★☆

私は今、大学2年生。
グローバル・マネジメント学部で、30年以上前に緒方貞子さんが国連難民高等弁務官として実践した
「人間の安全保障」を研究し、私自身、世界平和の実現に貢献できる人材になろうと努力している。

今年も未知の感染症が世界のある都市で確認され、国際的な人びとの往来は今、制限されている。
しかし10年前のCOVID-19(新型コロナウィルス)の経験から人類は多くのことを学び、
かつてのような混乱はない。
航空業界や観光業、飲食業など、経済活動を抑制せざるを得ない業種の企業が存続できるよう、
日本社会で発達していた災害保険の仕組みを参考に、国連が主導して各国の政府や民間企業が
網の目のような安全保障協定を結んでいる。

地域社会では「お互い様」の精神が尊ばれ、子ども、高齢者、障がいのある人、外国人など、
特に支援が必要な人びとを見守るネットワークが根付いている。
このような「有事」には、急に生活が困窮する人も生まれる。そのような異変にいち早く気づき、
誰一人取り残されないよう、必要な支援を届けることができるのは民間のネットワークである。
政府も地方自治体も、民間の緊急支援活動を援助している。

10年前も、COVID-19発生時の危機を最も早く脱した国は、結局、先進国でも大国でもなく、
民間の活動を政府が支援し、情報公開によって国民の信頼を得ていた、台湾という小さな政府だった。

緊急支援活動の中には「子どもの権利」を守るための活動も含まれている。
感染状況から集合対面の授業が難しい地域ではオンライン授業や個別指導が行われ、
リスクの低い「外遊び」やスポーツの個別指導は積極的に推進され、
子どもの学ぶ権利も、遊ぶ権利も、成長する権利として保障されている。

今では「生活保護」は国民の権利だと誰もが認識しているが、10年前はそうではなかった。
貧困や「生きづらさ」は「自己責任」、「自助」で何とかするべきだという雰囲気がはびこっていた。

10年前、COVID-19の世界的な感染拡大で世の中がパニックに陥っていた時、
私は10歳、小学5年生だった。
その前の年、両親が離婚して、父は家を出て行った。
母は「大丈夫、お母さんはすぐに仕事を見つけてあなたを大学まで出してあげるからね」と
言っていたけれど、まさかのパンデミック…。
母の仕事はなかなか見つからなくて、父からの毎月のお金も届かない月があったみたい。
まず、ガスが止まって、お風呂は2日か3日に1回、銭湯に行くようになった。
次に電気が止まって、暗いし寒いし、ご飯もないし、しばらく隣県の母の実家に身を寄せた。

母の実家では親切にしてもらったけど、私は学校にも行けないし大好きな子ども食堂にも行けなくて
とても寂しかった。
夜になると私は子ども食堂でもらったぬいぐるみを抱いて、よく泣いていた。
ある日、母が「家に帰ろうか」と言った。
「子ども食堂がね、これから毎週やることにしたんだって。お弁当だけじゃなくてお米とかいろいろ
食べるものを用意してくれているんだって。」
今考えると、そんな頼りない、わずかな希望で、母はよく家に帰る決心をしたなって思うんだけど、
10歳の私はとにかく嬉しかった。

また友だちと会えたのが一番嬉しかったけど、母は家にお金がないことを学校では言っちゃダメって
言ったし、私も恥ずかしくてそんなことは言うつもりもなかった。
でも、週に1回の子ども食堂では、母はスタッフさんをつかまえては「仕事がない」とか
「電気代が払えない」とか、正直に、たくさん愚痴っていた。
子ども食堂のスタッフさんたちは母とお喋りしたり、私と遊んでくれたり、帰りにはその日の夕食の
お弁当と、企業や近所の人が寄付してくれるお米とか野菜、お菓子や文房具、おもちゃなど、
抱えきれないほどのお土産を持たせてくれた。

子ども食堂から帰った日は私も母もニコニコ笑顔で、ゆっくり眠れた。
私はどちらかというと引っ込み思案で、スタッフさんに素直に「ありがとう」とは言えなかったけど、
「大きくなったら恩返しする。困っている家族を助けられる人になる」と母には宣言していたそうだ。
母がそれを伝えたら、子ども食堂の人たちは泣いちゃったんだって。
子ども食堂が未来を担う人材を育てているんだな、持続可能な社会を作っているんだなって。

あの頃、たくさんの人に応援してもらって、私はこの世の中、捨てたもんじゃないって思えた。
今度は私がたいへんな思いをしている子どもたちの力になって、未来を創りたい

★☆★☆ 2030年は国連の持続可能な開発目標SDGsのゴールと定められた年です。★☆★☆
大変な年だった2020年、レインボーリボンを支えてくださった皆さまに心から感謝申し上げます。
(代表・緒方美穂子)

▼「コロナ時代を生きる・子ども食堂」
2021年1月10日(日)13:30~15:30 葛飾区金町地区センター
講師:湯浅誠さん 入場無料
申込・問合せ先:葛飾区教育委員会生涯学習課 TEL03-5654-8475

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