レインボーリボン メールマガジン 第84号 春の嵐に舟を漕ぐ
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■■ レインボーリボン メールマガジン 第84号
■■ 春の嵐に舟を漕ぐ
2021/3/31
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毎月月末、レインボーリボンの活動報告と代表・緒方の思いをお届けするメールマガジンです。
3月末日、コロナの嵐が吹き荒れた2020年度が終わります。
感染症の流行という長く続く「災害」があるのだということを知ったこの1年の経験を無駄にすることなく、2021年度も舟を漕ぎ続けなければと思っています。
今月初め、迷った末に大きな助成金申請にチャレンジしましたが、あえなく書類選考で落選しました。
レインボーリボンの身の丈には合わない金額、構想だったので、落選して良かったです。
嵐の中を渡ってきた緊張感と、舟が浮かんでいる海原の深さに気づいてしまった恐怖心に突き動かされての助成金申請でしたが、落選してみて、こんな小さな舟に大きなお金や大きな役割を持ち込んだら、あっと言う間に沈んでしまうじゃないか、と我に返ったところです。
小さな団体だからこそ、1年前の一斉休校に際して迅速に「春休み緊急お弁当プロジェクト」を立ち上げることができました。
こども食堂で繋がっている困難を抱えた家庭に、最初は自転車で、数日後からは仲間の自家用車で、手作り弁当、協力を申し出てくれた施設のお弁当を届けました。
本来はお弁当を届ける車両も保健所の衛生検査を受けなければならないのですが、その手続きをとる時間的余裕はありませんでした。
手続きを無視したことへの批判は甘んじて受けます。しかしあの時は仕方なかったと、今でも思います。
プロジェクトが終わったときに、ある方が「お弁当プロジェクトがなかったら死んでいたと思います」と言った言葉が、あの時は絶対に必要な活動だったのだと信じる根拠です。
「春休み緊急お弁当プロジェクト」は当初、「かつしか子ども食堂・居場所づくりネットワーク」として取り組み始めました。
ネットワークは、葛飾区の社会福祉協議会や教育委員会生涯学習課が主催した子ども食堂に関する講座参加者が、2017年の秋からメーリングリストで情報交換を始め、2018年4月、メーリングリスト登録者を会員として発足しました。
コロナ前までは情報交換、寄付食材のシェアが主な活動で、ネットワークに資金力はありませんでした。
ところが、春の緊急プロジェクトの後も「夏休みお弁当プロジェクト」「冬休みお弁当プロジェクト」と活動を続ける中で、ネットワークにはたくさんの寄付金が寄せられるようになりました。
区や社協に「コロナ禍で苦しんでいるひとり親家庭を支援したい」「こども食堂に寄付をしたい」という申し出があると、ネットワークを紹介してくれるようになりました。
いま、ネットワークにはおよそ160万円の寄付金があります。この春休み、そのお金の一部を使って「春休みごはんプロジェクト」をやりたいと、運営委員会に提案しました。
食品衛生の基準をクリアし、コロナ禍で苦しんでいる飲食店とも協力できるよう、プロジェクトに協力してくれるお店で使える500円相当のチケットを春休みの11日間分、困窮家庭に配布しようという企画です。
しかし、このプロジェクトに反対する運営委員が現れました。
「ネットワークの活動費は、一時的な活動に利用するのではなく、持続可能な仕組み作りに活用すべき」という意見でした。
お金の使い方で意見が対立するとは、そもそもお金がなかったので考えてもみなかったことで、驚き、困りました。
運営委員は「実際にこども食堂や子どもの居場所を運営している団体」ということくらいしか共通認識がなく、しかも昨年春の緊急事態で年度初めの体制づくりもできなかったため、今、誰が運営委員の資格を持っているのか、運営委員にはどんな権限があるのか、意見が対立したらどうやって結論を出すのか、何もかも曖昧だったのです。
結局、3時間半に及ぶ議論の末、ネットワークに所属する団体の中で賛同する団体のプロジェクトとして実施することとし、現在、12団体の賛同、12店舗の協力、一般財団法人日本善意財団様の助成を得て、48世帯107人を対象にプロジェクトが稼働しています。
レインボーリボンもそうですが、ネットワークもこの1年、嵐に揉まれ、良くも悪くも大きくなったのだと思います。
「満足に食事ができない子どもがいることを知りました」と、純粋な気持ちで寄付してくださっている人の信頼を裏切らないように、お金の使い方は厳格なルールを作らなければと思いました。
寄付者の期待は何なのか、ネットワークの役割についても、新年度初めにきちんと話し合いたいと思います。
私はレインボーリボンを立ち上げた時も、市民運動はネットワークに始まり、ネットワークに終わると思っていました。
先に活動している先輩の姿を見て、自分もその仲間に入り、まずは真似をして、やり方を習い、そこから自分なりに一番やりやすい活動の形を生み出し、また周りに仲間を作り、その仲間たちも自分にあったやり方で何かを始め…という循環が、社会を良くしていく、自分たちも幸せになれる。
市民運動、ボランティア活動なので、無理をする必要はないし、活動を始めた当初の目的が達成されたら、あるいは活動を続けられない事情が生じたら、やめてもいいと思っています。
かつしか子ども食堂・居場所づくりネットワークを作ったのも、そういう構想でした。
先にこども食堂を始めた経験をこれから始めようとしている人たちに伝え、それぞれが自分に合ったやり方で活動し、助け合えればさらに輪が広がっていくだろうと。
こども食堂は今、とても必要とされている活動だと思いますが、こども食堂や子どもの居場所づくりという活動が必要ないほど、子ども、子育て家庭が十分に社会のサポートを得られる世の中になれば、解散して良いと思っています。
コロナ禍の1年、急激に増えた寄付も、今、必要な活動をしているからこそ寄せられた善意だと思います。組織強化のためではなく、困っている子ども、親に届けるべきお金だと私は思います。
先日、3カ月ぶりに「あおとこども食堂」を開催することができて、小さな子どもたちの無邪気な笑い声や、思春期に差しかかった子どもの複雑な心模様に触れ、また、この数カ月のお付き合いの中で一度も笑顔を見たことがなかった親ごさんの初めての笑顔に出会い、レインボーリボンの活動の原点を肌感覚として思い出すことができました。
子どもが楽しく、幸せに成長していけますように。
その願いだけです。
「貧困」という大きな社会問題を解決する力は私たちにはありません。
ただ、政府や自治体、大きな組織が作った立派なシステムにも穴があって、そこからこぼれ落ちてしまう人たちに寄り添い、一緒に歩くことはできます。
コロナ禍のように思いもよらない嵐にあって、大きな船がなかなか方向転換できずに立ち往生している中でも、小さな舟は溺れかけた人をいち早く発見し、レスキューに駆けつけることができました。
コロナ前、レインボーリボンは手漕ぎボートくらいの規模だったと思いますが、レスキュー活動に取り組むための助成金、寄付金を集め、今は小型エンジンを積めるくらいになっています。
エンジンを稼働させるためにはまたお金が必要なので、これからの資金計画に悩んでいるところですが、レスキューの必要がなくなったら、また手漕ぎボートに戻ればいいとも思っています。
コロナの緊急事態がなければ、手漕ぎボートをもっともっと増やして、広い海原のどこにいても温かい居場所をすぐに見つけられる世の中を作りたい。
レインボーリボンも、かつしか子ども食堂・居場所づくりネットワークも、そのために作りました。
(代表・緒方美穂子)
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