レインボーリボン メールマガジン 第62号「コカセン、交番、110番、どんな地域を作る?」
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■■ レインボーリボン メールマガジン 第62号
■■ コカセン、交番、110番、どんな地域を作る?
2019/5/31
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5月は悲しいニュースが多すぎて、何をこのメルマガで取り上げるか悩みます。
このメルマガはレインボーリボンの代表、緒方が、勝手にいろいろな人に送りつけているようなものです(不本意に感じる方がいらっしゃいましたらお詫び申し上げます。お手数ですが文末のアドレスに「配信停止」とご連絡ください。)・・・が、意外な人から「読んでいる」と言われることもあります。
5月の最初にそう言った人は、2018年3月の目黒区5歳児虐待死事件から読むようになったそうです。
私は「こども食堂がもっと増えて、学校や行政と連携することができれば、児童虐待の防止、早期発見のための有効な仕組みの一つになり得る」と主張しています。
なぜそう思うようになったのか、すべて実際の体験に基づいています。
2016年4月から「パルこども食堂」の運営を始め、先輩NPOの子ども支援に習いながら、同年11月には「あおとこども食堂」をオープンしました。
「パル」では、様々な困難を抱えてうつむいている子どもが、ただ「ご飯を一緒に食べる」という居場所があるだけで、劇的に変わり、成長していく姿を目の当たりにしました。
「あおと」は近隣の小中学生に「誰でもおいで」と呼びかけたオープンな場なので、困難を抱えた子どもや親が来てくれるかどうかも分かりませんでしたが、「こども食堂」という絶妙なネーミングのおかげで、「母子家庭なので食糧を安く買えるところを教えてもらえませんか」「障がいのある子が楽しく過ごせてありがたい」等々、繋がりを求める親子が足を運んでくれています。
2017年12月には、日本語支援や学習支援が必要な子どもに限った登録制の居場所として「よみかき宿題こどもカフェ@なぎ」をオープンしました。
教育、福祉、心理など、どの分野にも専門知識のないシロウトの「地域のおばちゃん」としてどんどん活動を広げていく中で、不安に思ったり、迷ったり、困ったりしています。
そんな時は子ども支援活動の先輩や、こども食堂運営者のネットワークに頼ります。
特に「虐待ではないか」と思ったとき。
よく聞いたワードは「コカセン」です。
子ども家庭支援センター、略して「子家セン」。
市区町村によって名称が違うこともありますが(ちなみに葛飾区では「子ども総合センター」です。)地域の育児相談を担う行政窓口です。
虐待が疑われるケースについて私が悩んでいると、知識経験のある仲間は「コカセン、コカセン、そういう時はまず、コカセンよ」とアドバイスしてくれました。
行政窓口に電話をかけることは、私にとってもかなり高いハードルでしたが、ある時、子どもが本当に困って我が家にやって来たとき、私の頭の中に「コカセン」のワードがあったので、思い切って電話することができたのです。
子どもが困って、私も困って、行政に助けを求めることができました。
いま、首都圏でこども食堂を運営している仲間たちが自主的に集まって、3ヶ月に1回のペースで勉強会を開いています。
今月もその勉強会があり、素晴らしい活動をされている仲間の話を聞きましたが、しかし子どもや親の困りごとを我々こども食堂運営者が自分で抱え込んでしまうことの危険性も話し合いました。
「シロウト」のおばちゃん、おじちゃんにできることには当然限界もあります。困難に直面している子どもたちの小さなメッセージを見逃さずに行政につなぐ、それも私たちの大切な役目だと思います。
そして善意で対応したことでも、誤解されたり、非難されてしまうかもしれません。
やはり、行政や公的な機関に助けを求めることは我々自身を守ることにもなると思いました。
こども食堂運営者は子どもの困りごとにはいつでも駆けつける熱い思いを持っていますが、それでも24時間どこにでもスーパーマンのように飛んでいくことはできません。
もしも夜中に怖いことが起きたら、その時は交番に逃げなさいと子どもに教えているという話も、この勉強会で聞きました。
警察には「少年係」という子どもの権利を守る部署もあるということ。
我々支援者も、子どもが「家に帰りたくない」と訴えるなど虐待の危険が迫っていると感じたら、その時は110番して良いのだということ。
今月は「葛飾区子ども・子育て会議」に初出席しました。
区の次期「子ども・子育て支援事業計画」を策定するための審議会ですが、私が意見したのは、「子ども子育て計画、子ども若者計画、かつしか教育プラン、この3つを統合した大きな枠組みが必要」ということです。
28日に川崎市でスクールバスを待つ小学生の列を襲った51歳の男が「引きこもり」になった原因はまだ分かりません。親がいるのかどうか、どんな家庭環境だったのかも分かりません。
あってはならない事件、二度とこのようなことが起きないために何ができるのか……、ニュースに触れて誰もが思うことです。
現段階で軽々に論じることはできません。あくまで仮定の話ではありますが、もし犯人が、自分の子ども時代に深い傷を負っていたのだとしたら、51歳まで怒りや悲しみを一人で抱え込んでいたのだとしたら……。
人生のどこかで我々のような「地域のおばちゃん」の「おせっかい」に出会えていたら、事件は起きなかった可能性もあるのだろうか……と考えずにはいられません。
子どもの年齢や行政組織の縦割りの都合で、ぶつっと途切れてしまう「成長支援」。
人は一生、成長していくもので、一生、成長を見守られ、応援される、そんな地域や社会になって欲しいと私は願います。
子ども子育て会議で報告されたのですが、葛飾区にも3年後の2022年度、児童相談所・一時保護所が設置されるということです。
どんな児相が欲しいですか。どんな地域にしたいですか。
子ども支援の市民活動を日々頑張っている仲間から送り出してもらった貴重な一議席ですから、しっかりと議論したいと思います。
(代表・緒方美穂子)
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http://rainbow-ribbon-net.org/category/mailmagazine/
▼葛飾区社会福祉協議会講座 始めてみよう子ども食堂(初級編)
http://www.katsushika-shakyo.com/files/2915/5597/8599/186.pdf
日時:6月30日(日)13:30~15:30
場所:ウェルピアかつしか
講師:レインボーリボン緒方、認定NPO法人パルシック大坂智美さん
申込み・問合せ:電話03-5698-2511、FAX03-5698-2513、お問い合わせコーナー
http://www.katsushika-shakyo.com/other/contact/
6月28日(金)まで。
▼レインボーリボンの「いじめ防止教室」ガイダンス(保護者等大人向け説明会)
日時:①7月7日(日)13:00~15:00 ②7月9日(火)10:00~12:00(①②とも同じ内容です)
場所:株式会社テクネス内会議室(東京都台東区東上野5-1-8 上野富士ビル8階)
最寄り駅:JR上野駅浅草口徒歩7分、日比谷線上野駅1番徒歩5分、銀座線稲荷町駅徒歩1分
参加無料、レインボーリボンのHPお問い合わせコーナーよりお申込みください。
http://rainbow-ribbon-net.org/blog/ijimebousi-guide/
▼重江良樹監督動画(11分)「こども食堂のカタチ」
https://creators.yahoo.co.jp/shigeeyoshiki/0200020063
▼湯浅誠さんヤフーニュース「孤立する人のいない“にぎわい”をつくるこども食堂とSDGs」
地域交流拠点と子どもの貧困対策の両面をもつこども食堂は、「にぎわいをつくりたい。そこからこぼれる子どもを減らしたい」という思いで成り立っている――という湯浅さんの鋭い現状分析。
https://news.yahoo.co.jp/byline/yuasamakoto/20190409-00121364/
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子どもに提供する1食分の食材費300円を1口として、12口3600円の寄付(こども食堂の1食オーナー)を募っています。
口座名義:特定非営利活動法人レインボーリボン
- 郵便振替口座:00170-7-449974
- りそな銀行 青戸支店(店番号470)普通預金1520535
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