レインボーリボン メールマガジン 第111号 「本当に必要な支援」とは
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■■ レインボーリボン メールマガジン 第111号
■■ 「本当に必要な支援」とは
2023/6/30
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毎月末、NPO法人レインボーリボンの活動報告と、代表、緒方の思いをお伝えするメールマガジンです。
先月腰を痛めたので6月は「そろりそろり」といきたかったのですが、そうはいかず、レインボーリボンの活動の3本柱、「PTAイノベーション」「いじめ防止」「こども食堂・フードパントリー」のすべてにおいて忙しい1か月でした。
月末になって神戸で6才の男の子が遺体で発見されるという悲惨な虐待事件が発覚しました。
その報道に触れるたびに今月出会った人々の言葉、出来事が頭の中をループしています。
PTA研修で6月2日に川崎市中原区に、17日に群馬県みどり市に呼んでいただきました。
群馬県のPTA研修の最後に会場から質問してくださった方が「学校単位のPTAでは子どもの幸せのために頑張っているけれど、上部団体や行政の取り組みが本当に子どものために必要なことなのか分からない」とおっしゃっていました。
私は「行政にどんどん関わって、どんどん意見を言いましょう。私たちのミッションが子どもの幸せのために働くことであれば、何も怖いものはないです」と答えました。
虐待を受けている子どものSOSをキャッチして、命を守る方向に踏み出すきっかけを作ることができるのは、子育て、子ども支援の現場にいる私たちだと思います。
私たちが発言しなければ、大きな組織や行政が自動的に動いてくれることはないものと思っています。
今年度、葛飾区から社会教育委員を委嘱され、今月その初会合があったのですが、社会教育委員からの選出で「教育振興基本計画策定委員」の委嘱も受けることとなりました。
いわゆる「教育プラン」5ヵ年計画の策定委員会で、昨年度から議論が始まっている委員会の第5回会議からの出席となりました。
教育委員会の教育プランに対しては言いたいことが山ほどあります。
葛飾区では10月に児童相談所が開所する予定で、同時に「子どもの権利条例」も制定されることになっています。
区の子育て支援関連の部署の方の話を聞くと、「子どもの権利」を守るためには行政の縦割りを排し、民間との協働を進め、「子どもの参加」を求める――という方向性を示してくださいます。
しかし、教育委員会の教育プランには、この理念が見いだせないのです。
学校教育は学校で、家庭教育は家庭で、生涯学習は地域で…という、縦割り、管理型の発想で次期プランの議論が進んでいることに危機感を覚えました。
今月は、葛飾区内の公立中学校で「いじめ防止教室」の授業を3回担当させていただきました。
「被害者・加害者・傍観者」という構図を意識して、第1回は主に「被害者」に焦点を当て、第2回は「加害者」、第3回は「傍観者」について考える授業です。
校長先生が「第2回の加害者についての授業に興味があります」とおっしゃっていました。
「私たちは加害者の背景をよく知っているので」と。
神戸の事件で家族を支配していたとされる「次男」は、小学校時代、同級生に大けがを負わせるような暴力を繰り返していたそうです。
当時の学校の先生たちには彼の背景が見えていたのではないかなと想像します。
今回、「被害者」として保護された「祖母」は、かつて「次男」を含むきょうだいに対して怒鳴り、殴り、虐待を繰り返していた母親だったとの報道もあります。
また、殺された6才の子の母である「長女」は妊娠期から行政が見守り対象とし、市役所職員が子育てにかかわっていたといいます。なぜ行政の見守りが途切れてしまったのか、検証が待たれます。
暴力の連鎖を止めるために、学校と地域、行政は連携しなければならないと強く思います。
今月は1年に1回のレインボーリボンの総会を開催し、昨年度の事業報告、決算が無事承認されました。決算書をHPで公開しております。
http://rainbow-ribbon-net.org/cms/wp-content/uploads/2023/06/53a445a5d1dc206d47ab4c0e1bfb6c42.pdf
2022年度は受取寄付金が730万円余、葛飾区や東京都からの助成金が250万円余あり、収益がついに1千万円を超えました。
事業費支出は毎年、こども食堂・フードパントリー事業に充てる食料消耗品費、事務所家賃が最も大きな金額となりますが、昨年度は「外国人一家帰国支援」が140万円余で最大の支出でした。
昨年の7月から10月までの100日間ほどで、葛飾の柴又に住んでいた5人家族の帰国費用に充てるための寄付金を集め、すったもんだの末、成田空港からアフリカのギニアに向けてなんとか送り出すことができました。
こうした緊急の、ある意味、「特殊な人道支援」に素早く取り組むことができたのは、地域密着型の小さな団体だからこそ、でした。我々が行動を起こさなかったら、幼い子どもを含む一家の命が危機に瀕していたと思います。
私が代表を務める「かつしか子ども食堂・居場所づくりネットワーク」の1年に1回の運営委員会も、今月開催しました。
2018年の発足当初はほんの数団体と、子ども食堂に関心のある個人がメーリングリストで繋がるネットワークでしたが、今年度は23団体が運営委員会に登録し、メーリングリスト登録者数は150人を超えました。
区内の子ども食堂は20か所、子どもの居場所は8か所、フードパントリーは6か所となる見込みです。
子どもの成長を見守る温かい「居場所」が地域にたくさん出来てほしいと思った、当初の願いはかないつつあります。
運営委員会の機会に、コロナの3年間ほとんどできなかった交流の場を設け、各団体が抱えている悩みを出し合い、お互いにアドバイスをし合いました。
一番多く出された悩みは「本当に必要な支援が届かない」「来てほしい子に来てもらえない」ということでした。
子ども食堂については、「貧困対策」ではなく、地域の誰もが集える多世代交流型の「居場所」であるという認識がかなり広まっていますが、フードパントリーは食品等を無料で配布する取り組みなので、やはり「本当に必要な人に」と、誰もが思います。
「コロナが落ち着いても同じ人が通ってくる」「利用者が固定している」という悩みも出されました。
しかし私は、通ってくる人には通う「必要」があるのだと思います。
レインボーリボンのフードパントリーは、コロナ危機が始まった当初こそ緊張感がありましたが、利用者とスタッフが顔なじみになり、笑顔が生まれ、「支援の場」でありながら「居場所」の雰囲気がどんどん強くなっています。
「私にとって(フードパントリーは)一石二鳥どころか三鳥四鳥だなと感じました。
① 食材をいただける。
② 細やかな会話で平常心正常心が保てる。
③ 外に出る機会を与えてくれる。
④ 私だけじゃないんだと前向きになれる。」
利用者さんからのメッセージです。
子ども食堂やフードパントリーで一人ひとりの利用者と実際に会って、話を聞いたり、子どもの様子を見ていると、その人にとって、その子にとって「本当に必要な支援」が見えてきます。
「派手な服を着て、困窮しているようには見えない」とか、「あの子は気に入らないことがあるとすぐに暴れる」といった目に見える事象から、その「背景を想像する」ことが我々にできることだと思います。
背景を想像し、自分にできることを探し、救済につながる情報にアンテナを張り、行政に対して「現場の声」を届けます。
「誰ひとり取り残さない社会」をつくるためには、まだまだ「居場所」も足りません。
総会で確認したレインボーリボンの活動方針は、こども食堂・フードパントリーを継続しながら、PTAイノベーションの波を全国に広める事業に本格的に取り組もうということでした。
全国のPTAが子どもの命を守り、親たちの「居場所」になり、不幸な事件を未然に防ぐ仕組みの一端になれば、世の中が大きく変わるというビジョンをもって、「PTAイノベーション」に取り組みます。
(代表・緒方美穂子)
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