レインボーリボンのメールマガジン第56号「少数派を排除しない「居場所」かどうか」

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■■  レインボーリボン メールマガジン 第56号
■■   少数派を排除しない「居場所」かどうか

2018/11/30
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早くも明日からは師走ですね。

時の流れは本当に早い・・・。

先日、5年前にドイツに移住した友人が一時帰国し、こども食堂に多額の寄付金を置いていってくれました。

ドイツといえば、メルケル首相の寛容な難民受け入れ政策が批判にさらされています。

友人が住む小さな町でも、交流のない異文化の人々が突然、大量にやってきて、心を通わせる機会もないまま滞留している状態には、やはり恐怖を感じるそうです。

 

私たちレインボーリボンは「多文化共生」を旗印に、他者を排除せずに、認め合い支え合う温かいコミュニティ作りを目指しています。

しかしそれを実現することは本当にたいへんなことなのだと、今になって痛感しています。

 

今月の初め、首都圏のこども食堂運営者が集まって小さな勉強会を開きました。

美談やハッピーエンドだけではない、私たちがリアルに向き合っている子どもの「困りごと」について、事例を共有して考え合おうという試みです。

中には、背景に外国の文化、考え方が影響している事例もあります。日本人とは違う「常識」や「善悪」の感覚を、ただ「私たちとは違うから」という理由で否定しようとは思いませんが、その「常識」、「善悪」の考え方が女性や子どもの人権を損なうものである場合、私たちにはどうしても受け容れられないのです。

 

日本でも国会で外国人労働者の受け入れについて議論されています。

日本人と一緒に働く、地域で暮らす、そうなれば当然、結婚して家族になることも、子どもが生まれることも想定しなければなりません。

想定どころか、いま現実にそうなっているのですから、どうしたらお互いに理解し合い、尊重し合う関係を作ることができるのか、将来ではなくて今現在、突きつけられている問題です。

我々、こども食堂運営者が、もしかしたらこの社会問題の最先端にいるのかもしれません。

 

かつしか子ども食堂・居場所づくりネットワークは今月、4回連続学習会の第1回、第2回を開催しました。

第1回は「アレルギー対応。しかも安くておいしい料理のレシピ、教えます!」と題して、イタリアンのシェフ、辻正博さんの講演を聞きました。

飲食店でアレルギー対応をして良かったと思ったことは、「子どもの笑顔」だそうです。「アレルギーのない子の10倍は喜んでくれますよ」という辻さんの言葉に、なるほどと思いました。

会場にはアレルギーがある小学生も来ていて、手帳にびっしりとメモを取りながら聞いていました。

後日、その子のお母さんから、この講演がきっかけで自分でアレルギー対応の料理を作りたいと言っている、こども食堂の調理ボランティアに参加させてもらえないかというメールが届きました。

すごいな~と思いました。

 

何らかの食物アレルギーがある子どもは、公立学校に45万人以上、児童生徒全体の4.5%だと言われています。

各地のこども食堂のチラシを手にすると、よく「アレルギー対応はできません」と書かれています。3、4年前、全国でこども食堂が立ち上がり始めた時期に多くの運営者が参考にした「マニュアル」に、チラシにそのように表記することも一つの方法だと記されていたことが今も影響しているのかもしれません。

命に関わる問題なので、簡単に考えないように、という注意喚起には納得しますが、しかし、「対応できません」の文字を見る度に、私は4.5%の子どもの悲しい顔が目に浮かんでしまいます。

 

こども食堂は、アレルギーがある子どもを排除しない「居場所」であってほしいと思います。

排除さえしなければ、子どもは自分自身で「料理をしたい」とまで意欲を見せてくれるのです。

 

学習会の第2回は「こども食堂も子どもたちも地域ネットワークに支えられます。」と題して、贅沢にも4人の講師をお迎えしました。

こども食堂運営者として、台東区の石田真理子さん、江東区の永井万美さん、足立区の長場美智代さんの3人、行政側からの支援者として江戸川区子ども家庭部児童女性課成長支援係の上坂かおり係長においでいただきました。

3人のこども食堂運営者が、行政の子ども家庭支援の部署や、学校、スクールソーシャルワーカーなどの福祉職、教会やお寺、町会や地区センターなど、地域の社会資源に根気強く働きかけ、重層的なネットワークを作り出している実績には感服し、とても参考になりました。

上坂係長の江戸川区の施策は素晴らしすぎて、一つ一つここで紹介する紙幅がありませんが、その施策展開の理念として「成長支援」という言葉がとても印象的でした。

「子どもの貧困対策」という負を補う取り組みではなくて、すべての子どもの成長を支援するという未来志向の考え方が、具体的には行政の「縦割りに横ぐしを刺して」、子どもの幸せのために貢献したいと考える区民の善意を、すべての子どもたちに届ける行動につながっています。

 

連続学習会の第3回、第4回のご案内を文末に掲載しております。近隣の方はぜひご参加ください。

 

さて、「いじめ防止」活動に関しては、今月、葛飾区内の公立小学校5年生2クラスで夏休み前から実施してきた「いじめ防止教室」の最終回を行いました。

その時の様子をブログに書きましたので、ご覧ください。

http://rainbow-ribbon-net.org/blog/ijimebousi20181110/

 

先日、都内の大学で「いじめ防止」について調査研究をしている学生さん7人が葛飾区までいらして、インタビューを受けました。

レインボーリボンの来し方を語りながら、今まで書いたり言ったりしてきた経験談だけでは表せない、いろいろな変化が自分の中で起きていることに気がつきました。

いじめ防止教室の話をしていると、その教室にいなかった不登校の子が思い出されます。

不登校の子の親の、「生きていてさえくれればいいと思うけれど、毎日苦しい」という言葉が頭をよぎり、胸をつきます。

 

学生たちを混乱させてしまったかもしれません。

一昨年12月に成立した教育機会確保法で、「学校以外の学びの場」を子どもたちに保障すべきだという理念が謳われたとはいえ、現実には、子どもたちが毎日、成長するための糧を得る場は、今の日本では学校以外にはほとんどありません。

その学校では集団教育が行われ、子どもたちは集団としての秩序を保つことを要求されます。

集団行動についていけない子や、「異質」な子は排除される構造の中で、そもそも「いじめ防止」とか「暴力防止」なんてできるのだろうか・・・という疑問まで口走ってしまいました。

 

物事は一足飛びには進みません。

ああだこうだと考えながらも、やっぱり目の前の子どもや親の顔をよく見て、一つでも多くの笑顔に出会えるように、明日もこども食堂を開催します。

 

そうそう、今月の最も重要な活動報告が最後になってしまいました。

場所が変わって、常連さんたちが来てくれるかどうか心配だった「あおとこども食堂」。ふたを開けてみれば、常連さんもご新規さんも、たくさんの子どもたち、親御さんの笑顔があふれ、大成功でした。

http://rainbow-ribbon-net.org/kodomosyokudou/aoto-kodomo-no24/

 

終了時間になってもなかなか帰ろうとしない子どもたち。

「もっと遊びたい」ではなくて、「もっとここに居たいの!」という言葉に、本当に「居場所」になれたんだなあ・・・と、スタッフ一同しみじみと嬉しさを噛みしめました。

 

(代表・緒方美穂子)

 

▼かつしか子ども食堂・居場所づくりネットワーク連続学習会「こども食堂のいろは――安心安全な居場所づくりをめざして」

【第3回】12月9日(日)14:00~16:00「けが、アレルギー、感染症、子どもの居場所の危機管理」

もしも子どもがけがしちゃったら・・・、アレルギーのショック症状が出ちゃったら・・・そんな時どうしたら良いのか、現役看護師でDMAT(災害時に活動できるトレーニングを受けた医療チーム)隊員の講師に直接指導を受けます。

【第4回】2019年1月11日(金)18:30~20:30 湯浅誠氏講演会「いま、なぜ『こども食堂』?」

ホームレス支援や生活困窮者支援のNPO活動から内閣府参与までを経験された湯浅さんが、現在、子ども食堂を全国に広めるために奔走しています。いま、なぜ「こども食堂」なのか?社会に、地域に、求められている私たちの役割とは?

【参加申込みフォーム】

https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSd5MPBaoBKhSPJywcbGjGBc2G9KLFVLRI09-dNWY7wPRnshwA/viewform?c=0&w=1

【メール・電話 申込み先】

mincafe.kameari@gmail.com

070-2156-9179(みんかふぇ)

 

▼日本生活協同組合連合会が主催し、内閣府、文部科学省が後援する「子どもの未来アクション」ホームページで、レインボーリボンが8月に実施した「こども食堂ボランティア・スキルアップ講座」を紹介していただきました。

https://miraiaction.org/news/event-repo/post-11.html

 

▼レインボーリボンへのご寄付がホームページからもできるようになりました。

http://rainbow-ribbon-net.org/entry/

子どもに提供する1食分の食材費300円を1口として、12口3600円の寄付(こども食堂の1食オーナー)を募っています。

口座名義:特定非営利活動法人レインボーリボン

  • 郵便振替口座:00170-7-449974
  • りそな銀行 青戸支店(店番号470)普通預金1520535

ご寄付くださった方はお名前、連絡先を下記レインボーリボン宛てにお知らせください。

「レインボーリボンのこども食堂通信」へのご芳名記載の諾否もお知らせいただけますと幸いです。

 

このメールマガジンは、代表の緒方はじめ、スタッフと名刺交換させていただいた方、

弊団体のイベント・講座にご参加いただいた方にお送りしています。

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